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図書館ポルノ

有性生殖をテーマにしたSF小説『子猫ちゃん、どこイクの?』を全編公開したので、連動企画として、元・文学オタクの知識をフル動員し、(たぶん)図書館で借りて読める、ちょっと知的?な《古典ポルノ小説》をいくつかご紹介します。

ちなみに、古典ポルノ小説の情報はほとんどが大昔に買った『リテレール別冊 読書の魅惑』っていう雑誌から得てます。ここに載ってたから読んじゃった、買っちゃったってのが多いです。1993年発行。この雑誌は他にも本をあさるのにムチャクチャ使用しましたね~この編集者さんはウィキペディアによると色々いわくがあるみたいですけどね。

リテレール別冊② 読書の魅惑


リテレール別冊② 読書の魅惑
  • 『O嬢の物語』

いきなりナンですが、実は私、この小説は読んだことがないです。しかし、やはり古典ポルノといえばまずはこれかなっという気がしたので入れておきます。翻訳澁澤龍彦だし。読んでないのであっさりと次にいきます。

  • 『ファニー・ヒル』

これもその界隈(どの界隈?)ではムチャクチャ有名な小説。たぶんここで紹介している本の中ではいちばん大衆的で読みやすいです。内容もほんとに通俗的というか、ドラマ性が低くて刺激に慣れた現代人からするとつまらなすぎるかも……なにせ18世紀の作品ですから。
これを読んで感動したのが、大昔の男性作家が女性を主人公に書いた純粋なポルノなのに、女性が主体的に描かれていること。いま話題の「モノとして扱う」感じがしない。女の私が読んでもぜんぜん嫌な感じがなかったです。逆に昔の男性はこれ読んで興奮できたのかな?
刺激は少ないですが、その界隈ではミーム的?に扱われる表現である「彼のお道具」「一戦交える」などの文章を楽しむのが乙なのです。
※ファニー・ヒルのウィキペディアには古典的なイラストがいっぱいあって面白いw

  • 『ガミアニ』

ショパンの恋人としても有名な作家・思想家で男装の麗人ジョルジュ・サンド。作家のアルフレッド・ド・ミュッセが彼女に振られた腹いせで書いたと言われているのがこのポルノ小説です。
Amazonでも中古しか無いので絶版ってことですよね。私はこれ古本屋さんで見つけて、上の『リテレール』に載ってたので買って読みましたが、かなり本格的にエロかった記憶があります。
腹いせで思いつくかぎりの冒涜的な行為をさせてみたみたいな感じらしいのですが、当時の小説としては奇抜で面白かったですね。
もし見つけたらかなりレアだと思うので、ぜひ読んでみてください。

  • 『城の中のイギリス人』

こっちは普通に新品がAmazonで買えるみたいでビックリw
安定の澁澤龍彦翻訳書です。これはまあ、ポルノとしてはたぶんエロくない。たぶんとっても文学的。なんていうか、実存的小説なのかなあ?
これとかジョルジュ・バタイユの『眼球譚』とか、澁澤龍彦系のエロみたいなグロみたいな実存みたいな?
文学的って書いたけど、私はこの小説には特に《文学》は感じなかった気がする。たぶん文学的なんだろうなあとは思うんだけど。20年くらい文学オタクしてたのに文学がよくわからんw
いまだに新品が買える状況なのでたぶんきっと評価されているんでしょうね。澁澤龍彦だし。

  • 『新ジュスティーヌ』

ということで、澁澤龍彦といえばマルキ・ド・サド、《サディズム》の語源の人ですね。いちおう私は澁澤龍彦を通ってきた文学少女だったので、SMには興味ないけど1作くらいはサドも読んでおくかな~って思ってこれ読んだんですが、まあエグいです。
いわゆる様式化された《SM》の世界じゃなくて、普通に女性蔑視の暴力ふるいまくりの世界です。
まあ、『ソドム百二十日』なんかだと男性(少年)にも暴力ふるってるっぽいから、とにかく暴力ふるって支配したい系の作品ですかね~
そっち系のAVとかに近い世界かもしれない。
正直いって、私はマルキ・ド・サドは思想的に過大評価されてる気がするんだけど、まあ刺激的だから作品としてはずっと残っていくんだろうなと思いますね。
人間の暗黒面を探るという点でいえば、私はコリン・ウィルソンの著作が好きです。コリン・ウィルソンも『スペース・バンパイア』っていう映画になったちょっとエロいSF小説を書いてますけどね。

マルキ・ド・サドは普通にAmazonで著作が読めるし、図書館によっては全集が置いてあったりしますけど、けっこう残虐描写まみれで鬱になるかもなので、取り扱いにはご注意ください。
私にはちっとも理解できないサドの思想についてちょっと調べてみたら、noteで面白い記事を書いてる方を見つけたのでリンクしておきます。


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