【拙訳】M20環境で話題沸騰!「シミックフラッシュ」 by Martin Juza(Channel Fireball)

 https://www.channelfireball.com/articles/the-hottest-deck-in-core-set-2020-standard-simic-flash/

 Martin Juzaによるデッキ解説とサイドボードガイドが載っています。某ハゲに関する言及もあり。
 ところで「ジュザ」さんなのか「ユーザ」さんなのか未だに知りません。

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The Hottest Deck in Core Set 2020 Standard: Simic Flash
By Martin Juza // 11 Jul, 2019


 エスパー在らずとも、打ち消しの時代が戻ってきた!

 基本セット2020が実装され、非常に多くのデッキ構築の可能性がもたらされた。昨日、特別ゲストにFrank Karstenを迎えて、8つの新しいデッキに関するストリーミング放送を14時間も(!)お届けした。その中でも、パフォーマンスが最もよく、僕が一番興味をもったのがシミックフラッシュだった。

 Austin CollinsがMOで5-0したリストを基に、調整を重ねて辿りついたのがこのリストだ。

Simic Flash in Core Set 2020 Standard

lands
8《島/Island》 (335)
5《森/Forest》 (347)
4《繁殖池/Breeding Pool》
3《神秘の神殿/Temple of Mystery》
4《内陸の湾港/Hinterland Harbor》
 
creatures
4《エリマキ神秘家/Frilled Mystic》
4《塩水生まれの殺し屋/Brineborn Cutthroat》
3《幽体の船乗り/Spectral Sailor》
4《夜群れの伏兵/Nightpack Ambusher》
4《マーフォークのペテン師/Merfolk Trickster》
 
spells
4《本質の散乱/Essence Scatter》
4《悪意ある妨害/Sinister Sabotage》
2《否認/Negate》
2《選択/Opt》
2《中略/Syncopate》
3《送還/Unsummon》
 
sideboard
4《幻惑の旋律/Entrancing Melody》
2《ビビアン・リード/Vivien Reid》
1《霊気の疾風/Aether Gust》
4《変容するケラトプス/Shifting Ceratops》
1《夏の帳/Veil of Summer》
1《打ち壊すブロントドン/Thrashing Brontodon》
2《否認/Negate》


 VODには、14時間のストリーミングが残されていて絶対に逆転されないようなゲームもあった。

■デッキの機能

 デッキの名前の通り、すべての行動がインスタントスピードで繰り出せる。自分のターンには決してタップアウトすることなく、相手の行動を見てから自分の行動を決められる。この手の戦略は非常に効果的で、相手の行動や脅威に合わせて自らの最善手を繰り出すことができ、一方で、相手からすればこちらの行動は自分が動くまで分からない。もし相手が何もしてこなければ、クリーチャーを繰り出してすぐさま攻撃に転じることができる。

 メインの勝ち筋はふたつ。ひとつ目は《塩水生まれの殺し屋》で、さしずめ青い《タルモゴイフ》といったところかな(笑)。そしてもうひとつは《夜群れの伏兵》で、基本的には毎ターントークンを生成してくれる。デッキの残りも役立つEtB能力持ちや打ち消し呪文で構成されている。

 《時を解す者、テフェリー》について? こちらのうまみである瞬速戦略を真っ向から否定してくるから、当然相対する場合は最もタフな相手になる。しかし前回のミシックチャンピオンシップの4割がエスパーデッキだったけど、M20が発売されたらそこまでラダーでは見かけなくなるだろうね。みんな新しいデッキを試したがっているからね。その上でエスパーとマッチングされたとしても、打ち消しや瞬速クリーチャーで対抗することができる。

■カード選択

・19の青マナ源、16の緑マナ源、0《爆発域》
 いつでも呪文を唱えられる状態にしておく必要がある。メインデッキとサイドボードに(緑)(緑)を要求するカードは16枚ある。同種のデッキを緑マナ源12枚で組んでいるデッキがあるが、ちょっと気が狂ってるとしか言いようがないな。《森》を1枚減らして4枚目の《神殿》にしてもいいけど、アンタップインの土地が多い方がいいと思う。

・《本質の把捉》より《本質の散乱》
 マナベースによるところが大きい。+1/+1カウンターを置くことよりも、同一ターンに2回以上の青い呪文を唱えられる状態を維持することの方が大切だ。さらに《本質の散乱》は今のクリーチャー偏重のメタゲームでは使い得だろう。

・0《ムー・ヤンリン》
 元のリストには3枚採用されていたけど、デッキに合っていない気がしたし、何をしたいのかよくわからない。全てをインスタントスピードで展開するようデッキを構築すべきだし、即時的に何かをするわけではないPWのためにタップアウトしたいデッキではないんだ。

・3《送還》
 最初は懐疑的だった。クリーチャーを手札に戻す効果は単純にアド損で、リミテッドでは通用する効果かもしれないけど、構築で上手く行くことは稀なんだ。このデッキでは、しかし驚くべきことに、うまく機能する。テンポ戦略を取りたいときに使うこともあるけど、一番使うシーンが多いのは《エリマキ神秘家》を手札に戻してもう一度《対抗呪文》を打つ動きだったり、《夜群れの伏兵》を除去から守るときだろう。とはいえ複数枚手札に合っても嬉しくないので、4枚目を加えることはお薦めしない。

・0《呪文貫き》、0《火消し》
 《呪文貫き》や《火消し》は青単テンポで効果的に使われているけど、有効なのは最初の数ターンのうちだけだ。イゼットフェニックスで使われているけど、あのデッキには《苦しめる声》で使わなくなった《呪文貫き》を捨ててしまう、という手段が備わっている。このデッキはロングゲームを前提にプレイすることもしばしばあるから、どのタイミングでも使いやすい選択肢を選ぶべきだ。10ターン目以降にこういったカードをトップしてしまうと、そのターンは実際に何も出来ないターンになってしまう。

・3《幽体の船乗り》
 僕の意見だけど、このデッキでは一番弱いカードだ。ロングゲームになった際は心強い能力ではあるけれど、このカード自体を複数枚引きたくないから、3枚が適正だろう。

・0《執着的探訪》0《嵐呼びのセイレーン》
 このデッキはテンポデッキでも、アグロデッキでもない。テンポゲームをすることもできるけど、それはこのデッキのメインの勝ち筋ではない。《執着的探訪》は《塩水生まれの殺し屋》や《マーフォークのペテン師》といった地上勢力より、回避能力持ちに持たせてこそ価値を発揮する。既に8枚の4マナ域を採用したこのデッキでは《薬術師の眼識》もデッキに採用しない理由だ。

 他にも試していないカードはあって、このデッキならうまくいくことがあるかもしれないよ:

《夢食い》は面白いカードで、1~2枚の採用に留まるとしても、土地は24枚以上が必要になる。《俊敏な番人》もまたコスパのいいクリーチャーで、《塩水生まれの殺し屋》や《マーフォークのペテン師》を除去から守れる。緑ダブルシンボルが重荷になるけど、うまく機能するだろう。
 
《フェアリーの決闘者》は白黒吸血鬼や白単ウィニーが人気になったらサイドボードへのオプションとして採用し得る。2/1を無条件で打ち取れるのは大きい。《ヴィトゥ=ガジーの目覚め》も9/9瞬速・速攻というスペックになる。一番気に入っているのは、(青いクリーチャーではないので)《変容するケラトプス》を打ち取れる点だ。また赤緑恐竜相手にも9/9というサイズを乗り越えさせることは難しいので、効果的なカードになるだろう。
 
・最後に、コントロール相手のサイドボードとして《アズカンタの探索》は非常に有効だ。

■サイドボード・ガイド

・4《幻惑の旋律》
 白ウィニーや吸血鬼のような超高速アグロには完璧な回答になる。赤単の《遁走する蒸気族》に退場してもらうという重要な役割もある。

・4《変容するセラトプス》
 僕はこのデッキがかなり人気になることを期待していて、メインデッキで青くないカードは4枚だけだ。ミラーマッチでは最高のカードであり、また《テフェリー》を使用したコントロールデッキに対しても最高の回答になる。両方とも彼らの対象にはならず、どちらの《テフェリー》でも一撃で沈めることができる。

・2《ビビアン・リード》
 このカードには複数の重要な役割がある。このカードはコントロールデッキに対して《エリマキ神秘家》を探すという重要な脅威となるし、また《黎明をもたらす者ライラ》や《破滅の龍、ニコル・ボーラス》への回答でもある。こういったデッキが少ないのなら、別のカードに置き換えよう。

・1《夏の帳》
 このカードはエスパーやグリクシスに対して、主に《強迫》や《思考消去》へのアンチカードとして素晴らしい働きをする。

・1《打ち壊すブロントドン》
 分かりやすく《荒野の再生》《実験の狂乱》対策だね。

 このデッキの主要な部分については、ほとんどレアや神話レアを必要としないんだ。もしワイルドカードをこのデッキの為に使うかどうか決めかねているなら、使っても安全だと思うよ。《世界を揺るがす者、ニッサ》が活躍していて、様々なバージョンの青緑デッキが存在するから、予測できない未来においても、青緑というカラーリングは一定の規模を保つはずだ。

■赤緑恐竜
Out:
《幽体の船乗り/Spectral Sailor》
《幽体の船乗り/Spectral Sailor》
《幽体の船乗り/Spectral Sailor》
《否認/Negate》
《否認/Negate》
In:
《霊気の疾風/Aether Gust》
《幻惑の旋律/Entrancing Melody》
《幻惑の旋律/Entrancing Melody》
《幻惑の旋律/Entrancing Melody》
《幻惑の旋律/Entrancing Melody》
※相手が《変容するセラトプス》を連打してくるようなら、こちらも《変容するセラトプス》で相打ちを取ろう。
■赤単
OUT:
《幽体の船乗り/Spectral Sailor》
《幽体の船乗り/Spectral Sailor》
《否認/Negate》
《否認/Negate》
《エリマキ神秘家/Frilled Mystic》
IN:
《幻惑の旋律/Entrancing Melody》
《幻惑の旋律/Entrancing Melody》
《幻惑の旋律/Entrancing Melody》
《打ち壊すブロントドン/Thrashing Brontodon》
《霊気の疾風/Aether Gust》
■白黒吸血鬼
OUT:
《エリマキ神秘家/Frilled Mystic》
《送還/Unsummon》
《送還/Unsummon》
IN:
《幻惑の旋律/Entrancing Melody》
《幻惑の旋律/Entrancing Melody》
《幻惑の旋律/Entrancing Melody》

■ボロスフェザー
OUT:
《否認/Negate》
《幽体の船乗り/Spectral Sailor》
《幽体の船乗り/Spectral Sailor》
《幽体の船乗り/Spectral Sailor》
IN:
《幻惑の旋律/Entrancing Melody》
《幻惑の旋律/Entrancing Melody》
《幻惑の旋律/Entrancing Melody》
《霊気の疾風/Aether Gust》

■シミックネクサス
OUT:
《送還/Unsummon》
《送還/Unsummon》
《本質の散乱/Essence Scatter》
《本質の散乱/Essence Scatter》
《本質の散乱/Essence Scatter》
《本質の散乱/Essence Scatter》
IN:
《否認/Negate》
《霊気の疾風/Aether Gust》
《打ち壊すブロントドン/Thrashing Brontodon》
《ビビアン・リード/Vivien Reid》
《ビビアン・リード/Vivien Reid》
《変容するケラトプス/Shifting Ceratops》

■ティムールエレメンタル
OUT:
《幽体の船乗り/Spectral Sailor》
《幽体の船乗り/Spectral Sailor》
IN:
《幻惑の旋律/Entrancing Melody》
《霊気の疾風/Aether Gust》

■エスパー
OUT:
《送還/Unsummon》
《送還/Unsummon》
《本質の散乱/Essence Scatter》
《本質の散乱/Essence Scatter》
《本質の散乱/Essence Scatter》
《本質の散乱/Essence Scatter》
《マーフォークのペテン師/Merfolk Trickster》
《マーフォークのペテン師/Merfolk Trickster》
IN:
《変容するケラトプス/Shifting Ceratops》
《変容するケラトプス/Shifting Ceratops》
《変容するケラトプス/Shifting Ceratops》
《ビビアン・リード/Vivien Reid》
《ビビアン・リード/Vivien Reid》
《夏の帳/Veil of Summer》
《否認/Negate》
《否認/Negate》

 このデッキを使う上でひとつ気をつけるべき点は、1ターン目に《選択》や《神秘の神殿》をプレイしないことだ。土地と呪文、どちらかをピンポイントで引きたい場合に備えて、《選択》を温存しておくことが必要になる。常に起こるとは言いがたいが、占術を待つべき状況は確かにある。

 さて最後に、ローテーション後に新しいセットがどのように機能するのか、どのセットがスタンダードで使えなくなるのかを見るにはwww.whatsinstandard.comが便利だ。セットが使えるかどうか、どのぐらいの期間使えるかが一目瞭然だ。

 いつも僕はtwitchでストリーミング配信を行っているし、Twitterをいつも更新しているので、見てくれると嬉しい。

 ここまで読んでくれてありがとう、またの機会に!


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