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【拙訳】「カルドハイム」リミテッドガイド・パート2 by COMPULSION(MTG Arena Zone)

 新エキスパンションの時期ということで、MTG Arena Zoneの看板ライター・Compulsion氏のリミテッド研究記事が更新されています。今回は3記事に分けてボリュームたっぷりに書かれています。

 まだパート3を読んでいないのですが、パート2が非常に面白い内容だったので、邦訳をお送りいたします。これを読んでぜひ今週末のプレリリースイベントに備えてください!

※例によって例のごとく、全文無料で公開しています。余裕があればパート3も邦訳してみたいと思っています。応援していただける方は、ぜひ文末の「サポート」や記事購入からご支援をお願いいたします!

▼原文は下記▼

Kaldheim Limited Guide: Tips, Tricks and Interactions
BY COMPULSION · PUBLISHED JANUARY 23, 2021 · UPDATED JANUARY 23, 2021

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■はじめに

 「カルドハイム」リミテッド記事のパート2へようこそ! パート1では「カルドハイム」の様々なメカニズムについて掘り下げていきました。このパート2では、概ね環境のカギとなるであろう要素、使われ得るコンバットトリック、そして皆さんのリミテッドデッキを強化するであろう様々なカードの組み合わせやシナジーを紹介していきます。さあ、準備はいいですか?


■環境俯瞰

1.「ボム」が非常に少ない

 とんでもない効果のカードは概ね7マナ以上で、このぐらいの重さであれば別にこのセットでなくても強力ですし、ほとんどは「ぶっ壊れ」レベルまでは達していません。

2.クリーチャーが普段より弱い

 2マナ域は大体1/3で、付随する能力を持っています。実際に、2マナ域のパワー3はコモンには不在です。

3.「飛行」が非常に多い

 飛行といえば青、というのが通説ですね。このセットでも例外ではありません。しかし本セットでは白も、コモンやアンコモンに飛行持ちが大勢います(なにせフィーチャーされている部族が「天使」ですからね!)。赤や緑にはほとんど飛行or到達持ちがいないので、火力(や、《壊れた翼》などの、通常、魅力に欠けるカード)の重要性は増していると考えるべきでしょう。

4.ライフを得る手段は豊富にあるものの、見返りはない

 絆魂持ちはやたらたくさんいるのに、そのライフを何かに変換する機能がほとんど見られません。レアまで見れば《正義の戦乙女》や《星界の霊薬》のような強力なカードがあり、余計な動きをすることなくカードを機能させることができる可能性もあるものの、コモンやアンコモンにはそうした手段がありません。


5.上記が示すこの環境は「低速」

 ほぼすべてのメカニズムにおいて、遅めのプレイが推奨されています。「誇示」は戦場への展開を遅らせることを推奨し、「予顕」や英雄譚は機能するのに複数のターンを必要としますし、「2回目の呪文」メカニズムはマナカーブ通りの展開よりゲーム後半での一挙展開を推奨しています。ライフを得る手段がたまたま多いこと、そして2マナ域の強力なクリーチャーが不在なことも鑑みると、かなりの低速環境であることが導き出されます。同時に、戦場を構築しつつ「予顕」を活用し、最初の数ターンで爆発的な戦線を築き上げることができるシナジーがいくつかあります。

 さて、カードの「組み合わせ」を知る前に、「カルドハイム」のコンバットトリックをおさらいしておきましょう。

■コンバットトリック

 「カルドハイム」は他のセットと比較してコンバットトリックと他のカードの結び付きが希薄です。とはいえ戦闘が冗長になるというわけではなく、「誇示」や他の能力と含めて、プレイヤーがコンバットトリックをどう生かすか、十分に考える余地があります。
 以下、色別にコンバットトリックを並べてみましたが、各色バランスよくコンバットトリックが存在する中、緑だけはやや少ないということが分かります。

 コンバットトリックの多くは「予顕」持ちです。なので、この環境で最初に覚えるべきはコンバットトリックなのです。対戦相手がカードを裏向きに伏せていて、戦闘中にアンタップ状態の土地があるのであれば、コンバットトリックがあることは明らかです。通常は、コンバットトリックを知ることは、特に新しい環境の場合に、リミテッドで自分自身に与えることができるステップアップ方法のひとつです。(個人的には、新しい環境で勝つ可能性を高めるため、周囲が多くの知識を持たない間は、コンバットトリックを多めにプレイすることが多いです。)


▼白

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 白は上記に加えて《神に愛された者、シグリッド》と《栄光の守護者》というレアの瞬速コンビがいます。

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▼青

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 青は《星界の軍馬》という瞬速生物もいますし、打ち消しもいくつか備えているため、コンバットトリックを無効化してくる可能性があります。

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▼黒

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 黒は《マーンの戦慄の隆盛》という恐ろしいレアのコンバットトリックがあるので要注意です。

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▼赤

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 赤は上記に加えて《大当たり》で戦闘中に装備品や機体を割ってくることがありますが、(よもやメインボードで)デッキに入れることには懐疑的です。

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▼緑

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▼マルチカラー/アーティファクト

 ありません! せいぜい《背信の王、ナーフィ》が戦場にタップ状態で(!)戻ってくることがあるぐらいで、それもまぁ見え見えなので、実際にコンバットトリックとして数えなくていいでしょう。

■カードの相互作用

 ここからは少し掘り下げて、興味深い、あるいは役立つシナジーを見つけていきましょう。多様なメカニズムと誘発型能力をうまく連携させる能力は、調和良くまとまったリミテッドのデッキを構築するのに欠かせません。
 メカニズムやキーワードは多数あり、一部は非常に複雑なため、一例にしかなりません。それでも、このセットにアプローチするため、また「どのカードが一番デッキにフィットするか」を判断する際にしっかりとした土台をつくっておくことは非常に大事です。


■……いいえ、間抜けなコンボのことは話していません

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 このセットに限らず、カード2枚のコンボはしょうもないか、ひたすら便利かのどちらかで、今回は前者ですね。あまり進んで採用したくない2枚のカードの相互作用に期待が持てても、リミテッドのデッキ40枚の中に収めるのがよいとは限りません。とはいえ、《巨大な鋤》のように即時的なマナを生み出す手段がいくつか見られ、「予顕」メカニズムとは上手く噛み合います。

■「予顕」シナジー

 「予顕」カードはマナの使い道として優秀で、数枚を採用したデッキではマナがうまく使えるように工夫が必要です。しかし問題は、「予顕」を最大限に活用する方法は何か、です。「予顕」をただ使うだけでは、十分に活用しているとはいえません。

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 というのも、「予顕」経由で支払うコストの総量は、大抵の場合、本来のマナ通り(か、それ以上)になるからです。一見、後のテンポよい展開が約束されているため、良い投資のように見えますが、カードを追放することでテンポを失っているのです。確かに《見張るもの、ヴェイガ》のように直接的なリターンを得られるカードもありますが、必ず用意しなければならないものではありません。たとえば「2つ目の呪文を唱えたとき」ボーナスを持つカードは、「予顕」を生かす優れた方法のひとつになります。

■「2つ目の呪文」ボーナス

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 「2つ目の呪文を~」という条件では、上記6枚しかリターンが得られるカードがないので、この6枚は非常に価値が高くなります。特に《血空の狂戦士》と《クラリオンのスピリット》は非常に強力で、多くのプレイヤーが誘発の機会を虎視眈々と狙っているでしょう。表面上はそこまで誘発するような能力でもなく、せいぜい1~2回使えればいい、程度のものでしょうか? そうですね、そこまで早く機能するものではないのですが、上記のカードは「予顕」の支払に役立つだけでなく、さらにアドバンテージを生み出す方法があるのです。

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 《○○のルーン》サイクルは、以下の理由で「2つ目の呪文」との相性がばっちりです。《ルーン》自体が軽量なだけでなく、キャントリップが付いているため、《ルーン》を唱えたターンも、あるいはその後のターンでも「2つ目」ボーナスを得られるチャンスが増えるのです。
 最も重要なのは、《ルーン》自身が単体でも有用なカードだということです(赤はちょっと力不足ですが)。低速環境では、カードの消費なくキーワード能力を付与できるのは僥倖というより他ないでしょう。パーマネントなら何でもエンチャントできるので、つける先がない、という事態もないでしょう(除去には注意してくださいね!)

 「2つ目の呪文」や「予顕」で得られるリターンの可能性は、これだけに留まりません。

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 3点のライフ自体は絆魂・接死といったキーワード能力より価値がぐっと落ちるため《活力回復》はアンプレイアブル寄りのカードですが、皆さんが思うよりはずっとプレイしやすいカードだと思います。
 私見ですが、《嘲笑の人形》は予想外の活躍をするような気がします。たとえ、予顕コストが(0)でなく(1)だったとしても。様々な誘発に使用する選択肢があるだけでなく、2/3という体躯はあらゆる2マナ域を受け止めるため、優秀だと感じます。特にアゾリウスカラーの飛行ビートを組む際、飛行で殴りつつ地上を2/3で止める、という戦略は非常に有効に思えるので、《嘲笑の人形》はよくマッチします。ただし、次のことに注意してください。


■欲しがりすぎると「誇示」で手痛いしっぺ返しを受けるかも

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 《恐れなき解放者》はそこまでのプレッシャーを感じないかもしれませんが、実際は2ターン目の「予顕」を咎める急先鋒です。3マナで2/1のドワーフを生み出すのは無害に見えますが、赤のドワーフトークンは、赤の「予顕」呪文のバックアップを受けてアドバンテージを生み出す術に長けています(《ドゥームスカールのタイタン》や《ドワーフの援軍》など)。さて、ドワーフといえば……

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 《練達のスカルド》も予想外の活躍を見せるかもしれません。このセットは回収対象に事欠きません。《傑士の隆盛》で回収し合う動きは、好きにはなれないものの特筆すべきで、セットに20存在する英雄譚との相互作用は魅力的です(各2色の組み合わせにおいてレアとアンコモンに英雄譚が1枚ずつ存在します)。
 セット内に多くの英雄譚があるので、エンチャントによって恩恵を受けるカードは価値が高くなります。懸念としては、エンチャントをピックできず、《練達のスカルド》が機能しない場面があり得ることです。ただし黒はリアニメイト戦略を取ることができる点に留意しましょう。

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 これらのカードは青のセルフミル能力持ちと噛み合いますし、ゾンビ部族デッキドラフトをする動機になります。詳細なアーキタイプ解説については次回のガイドに譲りますが、間違いなく強力なシナジーといえるでしょう。
 このセットの部族シナジーは非常に楽しいものですが、次のようなカードを使用して、特定の部族に進み得るケースもあるでしょう。

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 こうしたカードの大半はレア以上ですが、《氷結する火炎、エーガー》や《背信の王、ナーフィ》のようにアンコモンでも強力な部族押しカードが存在します。ドラフトを続ければ何回かは、部族推奨のレアにバックアップされたアーキタイプデッキが組めると思います。
 しかし、2パック目や3パック目で何を引くかを予め知ることはできません。したがって、全パックにおいて「クリーチャータイプを揃えてピックする」ことを徹底すべきでしょう。私も、特定の部族で揃える構築を強制するカードをピックするつもりはありませんが、ピック時に際立ったカードがなく、特に強い理由がなければ、部族を揃えるようにします。「カルドハイム」には疑似的なボーナスを得られる部族がいます。

■ゆきやこんこ、あられやこんこ

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 「氷雪」のリターンはそこそこな期待ができますが、こうした呪文のレアリティが安めに抑えられている点は高評価です。黒、緑、青には氷雪アーキタイプに進む強い動機があるので、ドラフト中、この色の氷雪パーマネントや土地は高めにピックすべきでしょう。

 私の場合、例えば、1パック目の途中までで青の方向性が固まっていて、《氷縛りの柱》や他の氷雪カードがピックできなかったとします。それでも、2・3パック目で専用カードが出てきた場合に備えて、氷雪関連のピックを意識的に行うと思います。
 繰り返しになりますが、将来のパックをあてにしたピックは危険な賭けです。それでも氷雪関連でまとめるのは部族よりも安全に見えますし、セットアップしておく価値はあるでしょう。

■パート3、近日公開

 この記事でも、アーキタイプ固有のシナジーに若干触れています。詳しくは、次回の記事で解説していきたいと思います。
 本稿だけでも、いくつかのアーキタイプが特定のカード群と合わさったり、ちょっとしたシナジーの絡み合いを創造できたのではないでしょうか。タップイン氷雪土地サイクルや、土地を探す効果によって、3色以上のデッキを成立させることもできると踏んでいます。

 いずれにしても、次回の記事ではドラフトにおけるボム、2色のアーキタイプ10通りの解説、そして各アーキタイプにおけるベストコモン、アンコモンを挙げていきたいと思いますので、ぜひチェックしてくださいね。
 「カルドハイム」が間もなくやってくるのをワクワクしながら待ちたいと思います!

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