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パイオニア環境分析のつもり(6/5~6/8)ルールスの霊圧が消えた

■はじめに

 何……だと……?

 こんばんは。先日の記事で、各デッキの変化やメタゲームについていくつかの仮説を立てました。サンプルが少ない中ではありますが、最新のメタゲームをチェックするとともに、復活してきたデッキの紹介をしていきたいと思います。あなたが昔使っていたあのデッキが復活しているかもしれません!


▼Pioneer Preliminary 06/05

5-0
Dimir Inverter
Jeskai Fires
 
4-1
Heliod
Orzhov Constellation
Boros Feather
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Esper Control
Lotus Breach
Lotus Breach
Lotus Breach
 
3-2
Mono-U Tempo
Mono-B Aggro
Mono-B Aggro
Mono-B Aggro
Mono-G Aggro
Mono-G Aggro
Mono-G PWs
Heliod
Orzhov Aura
Boros Aggro
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Jeskai Fires
Jeskai Fires
Sultai Delirium
Lotus Breach


▼Pioneer Challenge 06/07

6-X
Mono-R Aggro(準優勝)
Mono-B Aggro
Dimir Inverter(優勝)
Dimir Inverter
Esper Control
 
5-X
Orzhov Human
Boros Aggro
Boros Aggro
Boros Aggro
Boros Heroic(TOP8)
Dimir Inverter(TOP8)
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Esper Control(TOP8)
Esper Control
Esper Control
Niv-to-Light
 
4-X(~32位まで)
Mono-B Aggro
Heliod
Boros Aggro
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Izzet Phoenix
Jeskai Fires
Bant Spirit
Sultai Delirium
Niv-to-Light
Niv-to-Light
Lotus Breach
Lotus Breach


▼Pioneer Showcase Challenge 06/08

7-X(優勝)
Bant Spirit
 
6-X
Mono-B Vampire
Dimir Inverter(準優勝)
Dimir Inverter
Naya Winota
Lotus Breach
 
5-X
Mono-B Aggro
Mono-R Aggro(TOP8)
Mono-G PWs(TOP8)
Heliod
Heliod
Azorius Control
Orzhov Human
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Gruul Aggro
Jeskai Fires
Lotus Breach
Lotus Breach
 
4-X(~32位まで)
Mono-B Aggro
Mono-R Aggro
Heliod
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Dimir Inverter
Jeskai Fires
Jeskai Fires
Lotus Breach

■メタゲームブレイクダウン

画像1

・コンボ2種が上位を独占

 分かりきっていたことではありますが、「相棒」を使ったアグロが弱体化したため、環境最強コンボ:ディミーアインバーターの一強となりました。同じくコンボのロータスブリーチの使用率は2位ですが、倍以上の開きがあります。

 これはディミーアインバーター側が対同系、対ロータスブリーチを意識しており、しっかりとサイドで対策している結果です。主に《ナーセット》《神秘の論争》採用率が高く、《墓掘りの檻》《減衰球》も見られます。そもそもメインボードからのハンデスが厳しい上、サイドボード後は打ち消しや《悪夢の詩神、アショク》も襲ってくるため、ロータスブリーチ側は非常に厳しい戦いを強いられます。

 ディミーアインバーターは相手への干渉手段もある上、勝ちパターンが多様で(《ジェイス》絡み、《真実を覆すもの》によるビートダウン、サイドボードからのPW戦略、等)対策しづらい点がデッキの強みです。一方のロータスブリーチは、コンボスピードが速いものの干渉手段に乏しく勝ちパターンも少ないため、対策されやすいという脆さがあります。

・相棒なしデッキが7割超

 思った以上に「相棒」を見かけなくなりました。パイオニアの環境は非常に速いため、(3)を支払って手札に加えている猶予はない、ということが鮮明になりました。なお、集計期間中に採用された相棒はヨーリオン、ルールスの2種のみです。

・アグロ弱体化

 特筆すべきは、6/8のPioneer Showcase Challengeにおいて、《夢の巣のルールス》の採用が0件だった点です。やはり相棒ルールの変更は厳しいものだったようです。ボロスアグロやオルゾフオーラは土地枚数を切り詰めており、相棒への(3)の支払が重くのしかかるようです。6/7以前は従前のリストのままの入賞も見られましたが、今後の動向に注目です。

・一人気を吐く《ヨーリオン》

 唯一といっていい「相棒」はヨーリオン。ジェスカイファイアーズはコンボ相手に厳しい戦いを強いられますが凡百のデッキには強く、スタン&ヒストリック禁止の《ルーカ》+《工作員》パッケージで戦います。それとは別に、改訂前から少しずつ見られたエスパーコントロールが増加、使用率がかなり増加しています。

■注目デッキ1:エスパーコントロール(ヨーリオン)

KILLERSUV (3RD PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12165585 ON 06/06/2020
 
Planeswalker (12)
4《覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veils》
4《時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler》
3《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》
1《悪夢の詩神、アショク/Ashiok, Nightmare Muse》
 
Creature (2)
2《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》
 
Sorcery (12)
4《至高の評決/Supreme Verdict》
4《思考消去/Thought Erasure》
4《思考囲い/Thoughtseize》
 
Instant (6)
2《ドビンの拒否権/Dovin's Veto》
4《致命的な一押し/Fatal Push》
 
Enchantment (13)
4《ケイヤの誓い/Oath of Kaya》
4《海の神のお告げ/Omen of the Sea》
2《太陽の神のお告げ/Omen of the Sun》
3《野望の試練/Trial of Ambition》
 
Land (35)
1《アーデンベイル城/Castle Ardenvale》
4《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
4《寓話の小道/Fabled Passage》
1《ガイアー岬の療養所/Geier Reach Sanitarium》
4《氷河の城砦/Glacial Fortress》
4《神無き祭殿/Godless Shrine》
4《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
2《島/Island》
3《孤立した礼拝堂/Isolated Chapel》
1《平地/Plains》
1《乱脈な気孔/Shambling Vent》
2《沼/Swamp》
4《湿った墓/Watery Grave》
 
Sideboard (15)
1《空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad》
2《ドビンの拒否権/Dovin's Veto》
1《戦慄衆の指揮/Command the Dreadhorde》
2《減衰球/Damping Sphere》
4《神秘の論争/Mystical Dispute》
1《否認/Negate》
2《安らかなる眠り/Rest in Peace》
1《残骸の漂着/Settle the Wreckage》
1《空の粉砕/Shatter the Sky》

 最近流行の兆しを見せているエスパーコントロール。集計期間の使用率は3位で、メインはハンデス重視、打ち消し呪文は最低限の採用(《ドビンの拒否権》2~3枚)に留め、ボードコントロールに重きを置いています。このリストでは《ヨーリオン》メイン採用など、以前では見られない工夫を凝らしアグロへの耐性を高めています(2T《野望の試練》や3T《ケイヤの誓い》を5Tにブリンクしないと、アグロ相手には間に合わない、という見立てのようです)。

 他のリストでは《試練に臨むギデオン》《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》《不可解な終焉》などの白いパーツが採用されています。コンボからアグロまで幅広く対応できるため、メタゲームの変化を受けてリストも都度変わっていきそうです。Core Set 2021の新戦力加入有無も含め、今後要注目のアーキタイプです。

■注目デッキ2:黒単アグロリバイバル

QBTURTLE15 (4TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12165585 ON 06/06/2020
 
Creature (26)
4《血に染まりし勇者/Bloodsoaked Champion》
4《戦慄の放浪者/Dread Wanderer》
2《どぶ骨/Gutterbones》
4《漆黒軍の騎士/Knight of the Ebon Legion》
4《屑鉄場のたかり屋/Scrapheap Scrounger》
4《残忍な騎士/Murderous Rider》
4《悪ふざけの名人、ランクル/Rankle, Master of Pranks》
 
Sorcery (4)
4《思考囲い/Thoughtseize》
 
Instant (6)
4《致命的な一押し/Fatal Push》
2《無情な行動/Heartless Act》
 
Land (24)
4《ロークスワイン城/Castle Locthwain》
1《イフニルの死界/Ifnir Deadlands》
4《変わり谷/Mutavault》
14《沼/Swamp》
1《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth》
 
Sideboard (15)
1《霊気圏の収集艇/Aethersphere Harvester》
2《減衰球/Damping Sphere》
2《見栄え損ない/Disfigure》
2《ドリルビット/Drill Bit》
3《強迫/Duress》
1《冥府の報い/Infernal Reckoning》
1《無限の抹消/Infinite Obliteration》
1《影槍/Shadowspear》
2《魂標ランタン/Soul-Guide Lantern》

 久しぶりに黒単アグロの元気な姿が見られました。元気に2/1で相手を殴り倒しています。

 従来のリストから特別なイノベーションはありませんが、少しずつ新しいカードが採用されています。除去枠に《無情な行動》が加入、《喪心》《闇の掌握》《究極の価格》といった従来の不安定な除去を採用しなくてもよくなりました。また、サイドボードの《魂標ランタン》は《虚空の力戦》と違いテンポよく繰り出せる墓地対策で、このデッキの複数回数行動を邪魔しません。

 《思考囲い》を有するアグロの急先鋒として活躍が見込まれますが、赤系ほどの速度はなく、ロータスブリーチやディミーアインバーターに「攻めが間に合う」かどうかが争点となります。《密輸人の回転翼機》を失って以来の2マナ域不足も解消していないため、追加戦力が待たれるところです。

■注目デッキ3:オルゾフ人間

URBANPOPE (17TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12165585 ON 06/06/2020
 
Creature (33)
4《スレイベンの検査官/Thraben Inspector》
4《ボロスの精鋭/Boros Elite》
4《万神殿の兵士/Soldier of the Pantheon》
4《不屈の護衛/Dauntless Bodyguard》
2《アクロスの英雄、キテオン/Kytheon, Hero of Akros》
2《マルドゥの悲哀狩り/Mardu Woe-Reaper》
4《サリアの副官/Thalia's Lieutenant》
4《ベナリアの軍司令/Benalish Marshal》
3《ドラニスのクードロ将軍/General Kudro of Drannith》
2《敬慕されるロクソドン/Venerated Loxodon》
 
Instant (8)
4《精霊への挑戦/Brave the Elements》
4《不吉な戦術/Dire Tactics》
 
Land (19)
4《コイロスの洞窟/Caves of Koilos》
4《秘密の中庭/Concealed Courtyard》
4《神無き祭殿/Godless Shrine》
7《平地/Plains》
 
Sideboard (15)
3《アラシンの僧侶/Arashin Cleric》
3《無私の霊魂/Selfless Spirit》
4《帆凧の掠め盗り/Kitesail Freebooter》
3《不可解な終焉/Baffling End》
2《試練に臨むギデオン/Gideon of the Trials》

 パイオニア誕生後、ありそうでなかった白単アグロが満を持して登場しました。タッチ黒で新戦力の《ドラニスのクードロ将軍》、万能除去の《不吉な戦術》を採用しています。1マナ域20枚からテンポよく展開、横並べ状態で4種のロードを展開して相手に絶えずプレッシャーをかけ続けます。最終的には《精霊への挑戦》もからめて強引にフィニッシュします。

 《ドラニスのクードロ将軍》の墓地追放能力がトップメタのコンボ2種に効果的で、かつ《大物潰し》能力は《ウーロ》などの大型生物にも対応できるなど多彩です。さすが最強軍・銅纏いの将軍です(某「のけ者」の活躍ばかり目立っていましたが)。《不吉な戦術》も非常に信頼性の高い除去で、《ウーロ》の他《タッサの神託者》など墓地送りをためらう生物も後腐れなく処理できます。

 コンボ相手には速度勝負が鉄則。速度では赤単に見劣りしない速さを誇ります。黒単と比べ《太陽の神のお告げ》に強く、対アグロ後手番の安定性に勝りますが、全体除去からのリカバリーが難しく、エスパーやジェスカイファイアーズなどのスイーパーが間に合ってしまうと厳しい展開になります。

■注目デッキ4:ナヤウィノータ

DAKING3603 (4TH PLACE)
PIONEER CHALLENGE 12165550 ON 06/07/2020
 
Creature (34)
4《エルフの神秘家/Elvish Mystic》
4《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
2《金のガチョウ/Gilded Goose》
4《復活の声/Voice of Resurgence》
2《無私の霊魂/Selfless Spirit》
1《ゴブリンの扇動者/Goblin Instigator》
4《軍勢の戦親分/Legion Warboss》
2《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》
1《駆け回る物焦がし/Scampering Scorcher》
4《軍団のまとめ役、ウィノータ/Winota, Joiner of Forces》
2《帰還した王、ケンリス/Kenrith, the Returned King》
4《アングラスの匪賊/Angrath's Marauders》
 
Sorcery (4)
4《異界の進化/Eldritch Evolution》
 
Land (22)
2《森/Forest》
2《感動的な眺望所/Inspiring Vantage》
2《マナの合流点/Mana Confluence》
1《山/Mountain》
1《平地/Plains》
2《根縛りの岩山/Rootbound Crag》
2《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
4《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
2《陽花弁の木立ち/Sunpetal Grove》
4《寺院の庭/Temple Garden》
 
Sideboard (15)
2《無私の霊魂/Selfless Spirit》
3《砕骨の巨人/Bonecrusher Giant》
2《静寂をもたらすもの/Hushbringer》
3《秋の騎士/Knight of Autumn》
2《漁る軟泥/Scavenging Ooze》
3《絹包み/Silkwrap》

 ヒストリックで急遽出禁になった《ウィノータ》のパイオニア版です。前回紹介のリストと違い、「当たり」は《アングラスの匪賊》と《ケンリス》のみに絞り、展開力重視の内容となっています。

 マナ加速から3T《ウィノータ》を目指すこのデッキでは、2マナ域には《復活の声》をフル採用。面展開重視のリストなので、トークンのサイズアップが見込める点でデッキにマッチしています。クリーチャーしか採用されていないデッキにあって、全体除去からのリカバリーに一役買うこのカードは《無視の霊魂》と併せて非常に重宝されます。《異界の進化》との相性も見逃せません。

 前回紹介の通り、《毅然たる刃の達人》《爪の群れのウルリッチ》などの「当たり」を増やすことも可能です。パイオニアのウィノータガチャもぜひ楽しんでください!

■終わりに

 事前の予想通り、ルール改訂影響の全くなかったコンボ一強状態となりました。これを受けて対コンボ態勢が敷かれると思いますが、ディミーアインバーターの牙城をどれだけ崩せるかにかかっています。《試練に臨むギデオン》擁するヘリオッドコンボの入賞率が低く、このあたりのデッキが躍進するかどうかも注目です。

 基本セット2021のプレビューも始まっています。1マナ5/5だとか令和のアンリコだとか、色々なカードがプレビューされていますが、パイオニアに影響はあるのでしょうか。当面はフルスポイラー公開を座して待ちましょう。

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