【拙訳】M20のベストカードは《発現する浅瀬》だ by EMMA HANDY(StarCityGames)

http://www.starcitygames.com/articles/38832_Risen-Reef-Is-The-Best-Card-In-Core-Set-2020.html

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Risen Reef Is The Best Card In Core Set 2020
EMMA HANDY
7/05/19

 あれ、またこんな感じのカードが来たんですか?

 《発現する浅瀬》

 確か、この手のカードが環境に存在した時、デッキの環境が歪んだ覚えが……

 《ならず者の精製屋》

 確かに全く同じ、というわけではありませんが、考えは浮かぶでしょう。シミックカラーにおける3マナ域のクリーチャーでEtB能力を持つクリーチャーには十分な注意を払いましょう。理由ですか? より多くのリソースを必要とする質の高いカードをプレイするデッキに影響を与えるからです。《発現する浅瀬》や《ならず者の精製屋》系のカードを評価する場合には、《エルフの幻想家》とはまた違うものと捉える必要がありそうです。

 《エルフの幻想家》

 《エルフの幻想家》が最初に印刷されたときは、出てすぐはかなり控えめでしたが、徐々にレガシーのエルフデッキで最も重要なカードのひとつとなり、やがてスタンダードでも再録されるたびにプレイされるようになりました。シナジーのパーツとして機能することができ、同時に他のシナジーパーツを掘り下げることができるカードがクリーチャーとして登場することで、ゲームに永続的な影響を与えることになるのです。

 《先祖の結集》

 4色ラリーがスタンダード環境にあった際、《エルフの幻想家》は部族デッキではないにも関わらず採用されていました。4色ラリーは構造的に「他のクリーチャーを引っ張ってくるためのクリーチャー」を必要としていたのです。カードを引くことは土地を伸ばすことにつながり、またデッキを掘り下げることにもつながる素晴らしい行為なのです。高速のアグロデッキに対しても、《エルフの幻想家》は小型クリーチャーとのトレードという明確な役割があったのです。

 《ならず者の精製屋》の話に戻りますが、一回り大きなサイズをもっていたため、コンボ中心の《霊気池の驚異》デッキだけでなく、他のフェアデッキのスロットにもすんなりと収まりました。(おなじみのあのデッキですよ?)

 《翡翠光のレインジャー》

 《翡翠光のレインジャー》は《ならず者の精製屋》と同じような役割を担っていました。しかし最大の欠点は、《ならず者の精製屋》と違い、サイズが担保された場合はカードを引けない、という不安定性を抱えていることです。

 《発現する浅瀬》はそういった問題とは無縁です。サイズは劣りますが、複数回誘発しうる効果を持つことでその欠点は帳消しになります。皆さんは《発現する浅瀬》の能力がエレメンタルすべてで誘発するという事実を乱用する方法を探し始めています。私はこのコンボデッキで少し早く成功することができました。


Temur Elemental Combo
Emma Handy

creatures (32)
4 《チャンドラの火炎猫/Chandra's Embercat》
4 《這い絡む火跡/Creeping Trailblazer》
4 《生ける竜巻/Living Twister》
4 《発現する浅瀬/Risen Reef》
4 《遁走する蒸気族/Runaway Steam-Kin》
4 《駆け回る物焦がし/Scampering Scorcher》
4 《焦がし吐き/Scorch Spitter》
4 《乱動の座、オムナス/Omnath, Locus of the Roil》

planeswalkers (4)
4 《炎の侍祭、チャンドラ/Chandra, Acolyte of Flame》

lands (24)
2 《山/Mountain》
2 《繁殖池/Breeding Pool》
4 《根縛りの岩山/Rootbound Crag》
4 《蒸気孔/Steam Vents》
4 《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
4 《硫黄の滝/Sulfur Falls》
4 《手付かずの領土/Unclaimed Territory》

 《発現する浅瀬》以外は、デッキ内のすべての呪文が赤です。《遁走する蒸気族》が《実験の狂乱》があってこそのカードだと思ったのであれば、《発現する浅瀬》と《遁走する蒸気族》の連携について理解する必要があるでしょう。

 最終的には、このデッキのゴールは《遁走する蒸気族》と《発現する浅瀬》を戦場に揃えることです。カードをプレイし《発現する浅瀬》でカードを引き、《蒸気族》の上に彼らのマナ能力を使ってまたプレイ、というチェインコンボが発生します。2枚目の《遁走する蒸気族》を設置することができれば、土地を何枚かまとめて引き込むまでプレイを続けることができます。

 《乱動の座、オムナス》はドローと追加のコンボパーツとしての二つの役割があります。土地が《発現する浅瀬》からめくれるたびに、それはエレメンタルの上にもう1個追加で+1/+1カウンターを置くことができます。《遁走する蒸気族》がマナを生成するために+1/+1カウンターを持っていることに依存するため、かなり役に立ってくれます。

 ある時点で、《オムナス》が戦場に出る土地でカードを引くことを始めるのに十分な土地が戦場に並びます。私が最初にデッキでそこまで辿りついたのは5ターン目でしたが、それは珍しいことではありませんでした。 5ターン目の戦場のように見えますか?(大量のエレメンタルと土地が並んだ画像)

 フォーマットにおけるコントロール戦略に対するこのデッキの利点は、すべてのカードが最終的に自分自身で先を見越しているということです。確かに、《チャンドラの火猫》はそれ自体のカードパワーは低いですが、デッキ内のほとんどのカードは何らかのバリュー、もしくはダメージソースとしての役割があります。

 ここまでの特化はしないデッキでは、《発現する浅瀬》をどう使うことができるでしょうか?


Simic Ramp
Emma Handy

creatures (16)
4 《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》
4 《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger》
4 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
4 《発現する浅瀬/Risen Reef》

planeswalkers (8)
4 《世界を揺るがす者、ニッサ/Nissa, Who Shakes the World》
4 《伝承の収集者、タミヨウ/Tamiyo, Collector of Tales》

lands (25)
10 《森/Forest》
2 《島/Island》
4 《繁殖池/Breeding Pool》
4 《内陸の湾港/Hinterland Harbor》
1 《天才の記念像/Memorial to Genius》
4 《神秘の神殿/Temple of Mystery》

spells (11)
3 《一瞬/Blink of an Eye》
4 《成長のらせん/Growth Spiral》
4 《運命のきずな/Nexus of Fate》

 スタンダードのシミックランプは《運命のきずな》《集団強制》をフィニッシャーとして運用しているものが存在しますが、究極的には、ランプデッキのゴールは、対戦相手の戦場にあるすべてのものに対する回答を叩きつけるという点では同じです。

 《発現する浅瀬》の一番大きな、一線を画する特徴とは、相手にその対処を強いるということです。《ならず者の精製屋》が3ターン目に登場したとしても、状況に応じてそれを無視し、処理しやすい時がきたら対応する、ということができました。しかし《発現する浅瀬》の場合、仮に無視されようものなら、2体目のエレメンタルが次のターンに登場し、アドバンテージを大量にもたらしてくれるでしょう。エレメンタル中心の構築では特に顕著ですが、いわゆるグッドスタッフ系のデッキにおいても、《発現する浅瀬》に相手が的確に対処することは難しいでしょう。

 マナクリーチャーやPWも同時にいるのなら、対戦相手は《発現する浅瀬》に的確に対処することは非常に難しいでしょう。この例では、対戦相手に除去を強要することで、マスト除去生物に対しての回答が非常に難しい状況をつくることがゴールになります。

 一方で、シナジーを前提としない構築でも威力を発揮します。

Sultai Midrange
Emma Handy

creatures (26)
4 《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》
4 《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger》
4 《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
4 《マーフォークの枝渡り/Merfolk Branchwalker》
2 《貪欲なチュパカブラ/Ravenous Chupacabra》
4 《発現する浅瀬/Risen Reef》
4 《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》

planeswalkers (4)
2 《ビビアン・リード/Vivien Reid》
2 《ゴルガリの女王、ヴラスカ/Vraska, Golgari Queen》

lands (24)
4 《森/Forest》
1 《沼/Swamp》
4 《繁殖池/Breeding Pool》
3 《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
1 《内陸の湾港/Hinterland Harbor》
4 《草むした墓/Overgrown Tomb》
3 《湿った墓/Watery Grave》
4 《森林の墓地/Woodland Cemetery》

spells (6)
2 《暗殺者の戦利品/Assassin's Trophy》
2 《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt》
2 《採取/Find》

 「灯争対戦」以前のスゥルタイミッドレンジは非常に基本的な方針を持っていました。生き残り、対戦相手に対して2対1交換を行える強力なカードを軸に戦いを進めることです。

 確かに、《発現する浅瀬》は《マーフォークの枝渡り》や《翡翠光のレインジャー》よりもひ弱ですが、それでもスゥルタイのゲームプランに沿うものです。除去によって1対1交換されることを相手が補っていない限り、クリーチャーがどのようなものであれ、スゥルタイ側はそのクリーチャーが倒されてもそれに悩むことはないでしょう。

 クリーチャーと除去を1対1交換を行っていく限り、例えば、除去側が2枚の除去を使っているとしたら、スゥルタイ側はそれぞれにつきもう1枚分のカードアドバンテージを得ているため、アドバンテージ差は雪だるま式に増えていきます。同じように、《ビビアン・リード》はそれよりも多いアドバンテージをもたらすカードを引き込めるわけで、アドの塊です。このデッキにおいては《野茂み歩き》というもう1体のエレメンタルが採用されている、という利点すらあります。

 スゥルタイ《戦慄衆の指揮》デッキが《小ヴラスカ》を採用しているのはたまたま、というわけではありません。環境に3マナのPWが跋扈しており、彼女の-3能力の対象には事欠きません。《発現する浅瀬》は彼女の+2能力にリソースを提供し、手元のエレメンタルから得る価値がなくなればに効果的な《予言》となります。それに加え《発現する浅瀬》は、多くの土地をコントロールしている状況を生み出す可能性が高く、《ヴラスカ》によって新しい手札に変換するという完璧な状況も引き起こします。

■アドバンテージの塊

 とはいえ、《発現する浅瀬》は伝統的なアグロデッキには向きません。クリーチャーではありますが、3マナ1/1というボディは貧弱で、他のクリーチャーなどに入れ替えた方が無難でしょう。

 前述のデッキは、《発現する浅瀬》が最も居場所を見つけやすいデッキです。エレメンタル部族、ビッグマナ、できるだけ多くの2対1の獲得に関心のあるデッキ。これら3つのデッキの共通点は? すべてリソースを多用する戦略をとっています。

 プレビュー期間においては、「スタンダードで通用するか否か」という議論が必ず行われます。ミッドレンジやグラインダー用のデッキを構築する場合は、《発現する浅瀬》が採用できるかどうかを必ず検討してください。ブロッカーとして、ドローエンジンとして、ランプデッキのマナ加速として、など様々な用途があります。

 《発現する浅瀬》のように、汎用性があり優れているものが「デッキに入るかどうか」を考えるのではなく、入れる入れないの検討をやめ、デッキに入れた《発現する浅瀬》の最良の役割が何であるかを見極めることを目標にしましょう。「もしデッキに入れたら……」ではなく「デッキに入れた時には……」という思考をすべきです。

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