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TOKECOM卒業生、学会で発表する

この春、コミュニケーション学部を卒業した原草太さんが、卒業研究「電車移動における乗客の振舞い方―100件のスケッチとインタビュー調査より―」(指導教員:大橋香奈)の内容を、6月12日(日)に開催された日本生活学会第49回研究発表大会にてポスター発表しました。原さんの卒業研究は、コミュニケーション学部の2021年度優秀卒業論文にも選ばれていました。

来場者の質問に答える原さん

原さんが参加した日本生活学会が掲げる「生活学」は、日本で生まれた学問です。生活学は、建築学者・民俗学研究者の今和次郎(こんわじろう)が戦後、1950年代に提唱しました。その後、20年間かけて「日本生活学会」が設立され、さまざまな専門性を持つ研究者が集まり、「生活のなかで人間を発見し、人間を通して、生活を見つめ、そのことによって、人間にとっての‘生きる’ことの意味を探求する」ことを目指し研究しています。会員が研究成果を発表する大会は、新型コロナウイルスの影響で、今年3年ぶりに対面での開催となりました。

原さんの研究は、今和次郎が「生活学」の前に提唱して実践した「考現学」の影響を受けています。考現学は、観察・記録・考察を通して、これからの人間の生活のあり方を考える学問です。原さんは、「人は電車に乗っている際、どのように振舞っているのか、その振舞いにはどのような意味があるのか」という問いを立て、電車での観察から100件のスケッチをした上で、背景の異なる9名の方にインタビュー調査を実施して、電車という環境での人びとの振舞い方とその意味について考察しました。

大会の会場では原さんのポスターの周りに、都市計画やまちづくりの専門家をはじめ、さまざまな分野の研究者が集まり、研究についての質疑応答が行なわれました。ポスターにまとめられた分析結果以上に注目を集めたのは、電車での観察から生まれた100件のスケッチそのものでした。

100件のスケッチのうちの一部

多くの研究者の方々と交流することができ、原さんは「おそらく一生でも数えるくらいの素晴らしい経験をしました!」と興奮していました。卒業後は、地域生活を支える多様な事業を展開する企業で働いており、卒業研究で実践した現場を観察する力や、異なる背景の人にインタビューをして話を聴く力を活かしたいと話してくれました。

(大橋香奈)

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