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3.お好み焼き屋をインドで300軒作れるか?

インドに到着してすぐにお好み焼きの市場テストをさせてくれるレストラン探しを開始した。前職で適切なマーケットテストをせずに開発を進めた結果、開発費が高騰して売るに売れなくなったクソゲーの死屍累々を見てきたので、自分のお金を動かして店を開く前に、お好み焼きが実際に売れるのか必ず確認しなければならないと考えていた。

知人の知り合いの知り合いという、ほぼ他人のレストランオーナーに頼み込んで、2016年の11月末、一週間の和食イベントをやらせてもらう契約を取り付けた。売れた分の原材料費のみ先方持ち、売上はすべて相手に渡す条件だった。

メニューはお好み焼き、たこ焼き、日本式カレーライスにした。お好み焼きソースは日本からベジのおたふくソース持ち込んでいたので、ほぼ日本と同じ味に仕上がった。また、牛脂の代わりにバターを使ったり、豚肉の代わりにチーズやマッシュルームを使ってベジタリアン対応も行った。

↓↓ベジお好み焼き

↓↓ベジたこ焼き



海外でお好み焼きを売る際に味が好まれるのはもちろん重要だが、それだけでは十分でなく、お好み焼きを見て食べたいと思うのかお好み焼きを食べて盛り上がれるのかがとても重要だと考えていた。そのため、料理を食べる様子だけでなく、メニューを読みながら注文する商品を選ぶ姿を詳細に観察した。また、お客様の行動観察だけでなく、食後のアンケートも準備した。

結論から言えばテストの結果は最悪だった。

計測は以下の3点に分けて行ったが、どの項目から見ても、お好み焼きは低評価だった。

1.  アトラクト力 (見て食べたいと思うか?)
お好み焼きを選んだお客様は全体の2割で、お好み焼きを選ぶお客様がとても少なかった。Savory Pancake(おかずパンケーキ)、Japanese Pizza (和風ピザ)、どちらの説明にもあまりピンと来てない様子だった。メニューを読みながら、和食なのにどうして寿司が無いのかと話しているお客様もいた。

2.  味
お好み焼きの味に対するアンケート結果は良かったが、あまり美味しそうに食べてる様に見えなかった。にほんのお好み焼きソースの味だけだとパンチが弱すぎたのだと思う。あと、日本のルーを使ってデフォルトのレシピで作ったカレーを完食したインド人が一人もいなかった。

3. 盛り上がり
お好み焼きをウェイターがサーブした時にハッピーな顔をしたお客様がほとんどなかった。食べてる最中もあまり楽しそうでないお客様が多かった。

もちろんテストは一週間継続したが、初日のお客様の反応を見て、僕はお好み焼きを諦めた。「お好み焼き屋を300軒インドでやります!」と結婚のごあいさつで義父に言った自分の姿が脳裏をよぎったが、現実を直視すれば方向転換しなければならない事は明らかだった。

お好み焼きがダメっぽいということがわかった以外に、お好み焼きイベントでは大きな収穫が二つあった。

①シェフは扱いづらい
インド人のシェフ(料理人)は経験が長ければ長いほど、自分のやり方に固執する傾向がある。和食をする場合彼らの経験は野菜のカッティングでしか生かされず、衛生面・味付け方法を再教育することは非常に難しい。この経験は今も生かされており、Yugo Sushiではいまだに一度もシェフを雇ったことがない。

②ムンバイには和食に飢えた日本人がたくさんいる
大して宣伝してもいないにもかかわらず、日本人の客が大量に来た。中には一週間のイベントに四回来てくださる方もいた。和食を食べる場所が無い、早くお店をオープンしてほしい、定食とか弁当が欲しい等々、色々なリクエストがあった。

そのため、イベント後はインド人向けでなく、日本人をターゲットにした飲食店を作る事に方針転換した。

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お好み焼き屋は本当にだめなのか?

僕は和食を食べなれていないインド人向けに多店舗展開する際の商品としてお好み焼きは適正なしと判断した。

しかし、鉄板焼きを既に知っているインド人を対象に、お好み焼き&鉄板焼き屋として経営することは十分に可能だと思う。 ただ、お好み焼きの存在を知っているインド人がほぼゼロなので、多店舗展開を行う上では適した商品ではないと思う。

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