「チャット」について その2~1973年

 前々から日本語で「チャット」の歴史について書いておきたい、と思っていながら中々やれてないので以下略。

 その1のほうでは「チャット」という単語の意味と、コンピュータを使った会話による「チャット」としての意味が日本のでで出てくるまでのあれこれのメモをいちおうかく。
 このその2ではいちおうのれきしを何とか並べはじめる。世界でのあれ。
ちゃんとした記事ではないので(それにできるかすらわからんので)歴史を書く時系列としては前後するのでいろいろアレ。



1971年


まず関係するか微妙なラインだけど並べるだけ並べて置く何か

 コンピュータのタイムシェアリングから発展して生まれた電子メールの発祥ともいえる同一コンピュータでのメッセージ交換のあれこれ、みたいな歴史的話も本来なら必要なんでしょうけど、あえてパス。
 何かとの対話という意味では最初期の人工無能と言えるELIZAの話もチャットに入りそうだけどパス。
 Unixのtalkに関連する会話プログラムのあれこれもなんかありそうだけど、パス。
もうわざとこうしてまともじゃないって証明してるんで無理に読まないでください。
前からやろうとして力不足でまとめきれてないんだから。

https://www.wikihouse.com/imnet/index.php?%BB%E4%C5%AA%C5%C5%BB%D2%A5%B3%A5%DF%A5%E5%A5%CB%A5%B1%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3%C7%AF%C9%BD


 とりあえず「チャット」自体の歴史をまず書く。


世界初のマルチチャットシステム「Party Line」

The Emergency Management Information Systems And Reference Index (EMISARI) system included functionality providing the first multi-machine chat system.

In 1971, Murray Turoff created EMISARI for the US Office of Emergency Preparedness. The original purpose of the system was to help exchange information on opinion surveys between people in geographically distributed locations.

In 1971, EMISARI was put to one of it’s first practical uses to coordinate policy information for U.S. President Nixon’s wage and price control program to fight high inflation. Users of EMISARI accessed the system through teletypewriter terminals linked to a central computer through long distance phone lines.

EMISARI - Murray Turoff, IRC History, Internet Relay Chat | LivingInternet
https://www.livinginternet.com/r/ri_emisari.htm

 1971年、米国緊急事態対応オフィス向けシステム「EMISARI」が作られ、それは電話回線を通じてユーザーがテレタイプ端末で中央コンピュータにアクセスできるシステムであり、そのシステムにおいて「Party Line」という名前でマルチユーザーチャットシステムが提供されていたそうです。

The EMISARI chat functionality was called the Party Line, and was originally developed to replace telephone conferences which might have 30 or so participants, but where no-one could effectively respond and take part in a meaningful discussion.

Party Line had a range of useful features familiar to users of modern chat systems, such as the ability to list the current participants, and the invocation of an alert when someone joined or left the group.

First chat program of Murray Turoff - History-Computer
https://history-computer.com/technology/first-chat-program-of-murray-turoff/

 参加者のリスト表示や、入室退室時のアラートなどの、基本的な機能も存在していたとか。

 1986年まで使われたというこのシステムで提供された機能。
世界初のマルチユーザーチャットと言われたりもしてるそうですが、限られた場所での提供なのもあって、あまり知られてはないみたいです。
(ふつうそこまで遡ることもないだろうし、知らなくても「チャット」は誰にだってできる)

The original Talkomatic was the first multi-user online chat system, with the possible exception of the Party Line function of the Emergency Management Information Systems And Reference Index (EMISARI) system, created for the US Office of Emergency Preparedness by Murray Turoff in 1971.

Talkomatic - Wikipedia
at 03:30, 25 April 2024
https://en.wikipedia.org/w/index.php?title=Talkomatic&oldid=1220658384

 でも、いちおう世界初のチャットシステムではあるらしいので、名前はあげておくもの。

1974年の日本の雑誌記事での紹介

 この「Party Line」、1974年に日本でもいちおう紹介されてたみたいで、NDLデジコレで検索したらなんかみつかりました。

“PARTY-LINE”は会議電話と非常によく似ている。ディスカッションをしたいと思う人々は,皆で決めた時刻に各人の端末の所へ行き、そしてコンピュータのシステムを呼びだせばよいだけである。...

コンピュータ・エージ社 [編]『コンピュートピア』8(94),コンピュータ・エージ社,1974-09. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3249963 (参照 2024-05-05)
https://dl.ndl.go.jp/pid/3249963/1/21

 「コンピュータ会議方式について」という題で書かれた記事にて名前の出ている「Party Line」。
「チャット」という単語は出てきてませんが、日本語ででチャット機能の紹介をしているという点で重要な存在かもしれません。
機能面についてもあれこれ紹介されてるから、どんな機能だったか少しはわかるかなあこれで。
 これで挙げられている「DISCUSSION」って機能のほうは掲示板的なものに近いのかもしれない。よくわからん。


科学技術文献速報 11(12) 経営管理編 - 国立国会図書館デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/pid/7902479/1/34
科学技術文献速報 年間索引11 経営管理編 - 国立国会図書館デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/pid/7902481/1/33

どうやら「PARTY-LINE and discussion computerrized conference systems」というタイトルでの72年に書かれた記事があるらしい、のだけどよくわからない。


米国の電話にはparty-lineというシステムがあり,何人かの人々が米国各地に散在しながらも同一時に電話で会議をすることができるので,旅費・時間の節約のために大変有効である。

コンピュータ・エージ社 [編]『コンピュートピア』8(92),コンピュータ・エージ社,1974-07. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3249961 (参照 2024-05-05)
https://dl.ndl.go.jp/pid/3249961/1/23

Party line (telephony) - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/w/index.php?title=Party_line_(telephony)&oldid=1219516048
Chat line - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/w/index.php?title=Chat_line&oldid=1198144299

 これが「Party line」の名前の由来とかそんなのだろう。


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 もうちょっと前の73年においても紹介されてるっぽいんですけど、コレは国会図書館限定公開資料なんで今これかいてる時点では確認とれず。
なのでいちおうメモ的にいちおうかくだけかいとく。

Bit : コンピュータサイエンス誌 [5](6 臨時増刊)(55) - 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3299331/1/70

 電話のほうについての記事でした。
コンピュータ会議的なこともちょこっとかいてはあったとはおもうものの、具体的ではなかったのでよくわからず。


1976年

 PARTY LINE
 コンピュータ会議の最も単純な形態で,会話を記録できるようにした会議電話に相当する。これは,大統領府の緊急準備局(the Office of Emergency Preparedness)で緊急事態の処理のために開発されたものである。

『海外電気通信』8(10),マルチメディア振興センター,1976-01. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3233409 (参照 2024-05-05)
https://dl.ndl.go.jp/pid/3233409/1/44

 コンピュータ会議方式として名前が挙げられている。
(年月の関係でPLATOの名前などもでてている)
EMISARIの紹介がなんかアレなあたりまだよくわかってないのかあれなのか、もうこっちもよくわからん。


おまけ

 また、1971年には世界初の電子メール送信(@のアドレス区切りも)があったそうな。直接チャットとは関係ないけど、まあいちおう

The program was extended by Ray Tomlinson in 1971 to allow sending to users on other computers accessible over the ARPANET, addressing them by appending the other system's host name after an "@" sign.

SNDMSG - Wikipedia
at 20:51, 30 December 2023
https://en.wikipedia.org/w/index.php?title=SNDMSG&oldid=1192693944




1972年

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PARRY was an early example of a chatbot, implemented in 1972 by psychiatrist Kenneth Colby.

PARRY - Wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/PARRY

 チャットボットなので直接的なあれじゃないけど、一応並べて置く

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88



1973年

チャットシステム「Talkomatic」

In the fall of 1973, Doug Brown designed a program that let several users chat as a group. He wrote a simple prototype to demonstrate the concept and called it Talkomatic.

PLATO: The Emergence of Online Community
https://web.archive.org/web/19990202164056/http://www.thinkofit.com/plato/dwplato.htm

 1973年にイリノイ大学でPLATOというシステム上に作られたオンラインチャットシステム「Talkomatic」。

 前述の「party-line」の存在があるので最初というには難しいとこがあるかもしれませんが、とにかく最初期のマルチユーザーチャットのシステムには違いないでしょう。

PLATOはコンピュータ支援教育向けに設計されたが、コミュニケーション支援機能によって生まれたオンライン・コミュニティが最大の遺産だとされている。デイビッド・R・ウーリーが1973年に開発した PLATO Notes は世界初の電子掲示板であり、後の Lotus Notes に影響を与えた。1976年までに様々なオンライン・コミュニケーションのツールが開発されている。Personal Notes(電子メール)、Talkomatic(チャットルーム)、Term-Talk(インスタントメッセージ)、monitor mode(遠隔スクリーン共有)などが開発され、顔文字もPLATO上で生まれた

PLATO - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=PLATO&oldid=91712467

 電子掲示板としても最初な存在があったらしい。いろいろあったっぽい。

 こっちのほうは当時の大学のあれこれだからか、日本でではそれらしいの資料はネットの雑な検索では見つからず。

PLATO (Programmed Logic for Automated Teaching Operations) は、ILLIAC I を使って1960年ごろ始まった世界初の汎用コンピュータ支援教育 (CAI) システムで、1970年代末には十数のメインフレームを使った世界各地のネットワークで数千の端末を接続したシステムへと成長した。イリノイ大学で構築され40年間機能し、同大学の学生の教科学習、周辺の学校や大学の教材などに使われてきた。いくつかの後継システムが今も運営中である。

PLATO - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=PLATO&oldid=91712467

 PLATO自体は前からあるけど、Talkomaticができたのは1973年、ということに。

とにかく、この年にこのマルチユーザーチャットシステムが生まれていたわけです。


おまけ

 この年(1973年)の4月、最初の携帯電話が生まれていたり、


カリフォルニア大バークリー校のコミュニティーメモリーが世界初のBBSになる
(8/1973)

メッセージアプリの歴史を年表で振り返る | readwrite.jp
https://web.archive.org/web/20190507065115/readwrite.jp/trend/13399/

 カリフォルニア大学バークレー校でタイムシェアリングを利用した「Community Memory」という初の電子掲示板システム、があったらしい、

のだけど、上で出た「PLATO Notes」がどれでどうなのかよくわかってない。
一応1973年に最初のBBSが出来たことには違いないらしいけど、ここは掘らない、俺は掘らない。



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