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国内アメフトと他スポーツのデータ分析を比較する

アメフトの魅力を語る上で、「頭脳戦」、「情報戦」という要素は欠かせません。
しかし、他のスポーツと比べると実態はどうなっているのでしょうか。
頭脳戦、情報戦に必要なものはなんといってもデータです。今回は、データを作る、取得するという点に絞って私なりに3つの観点から考えてみました。

①競技の特性から考える

そもそも競技的に、アメフトでのデータ取得は難しいと言って良いと思います。
原因は2つあると考えています。

1、データの取得機会が少ない
データ分析を行うためには、当然多くのデータが必要となります。
しかしアメフトは非常にタフなスポーツで、試合は週に一度程度しかできず、
一試合の中でも150プレー程度しかありません。

一方野球やバスケットボールはシーズン中はほぼ毎日試合ができ、投球やシュートの試行回数もアメフトより多く、データ量は豊富です。

2、結果の定量化が難しい
アメフトにおけるデータといえば、簡単なところで言うと得失点、獲得ヤード、パス成功率のようなものがあります。

しかし得られるデータの多くはQB、RB、WRといったボールを扱うポジションに限られてしまいます。(pass rush rating等どのポジションも一応ありますが)
ボールを扱うポジションはキャッチ回数、獲得ヤード等結果を数値で表すことが容易です。しかし他の多くのポジションは結果が数値として表れるものは少なく、成功/失敗の判定すらも難しいため、定量化できません。

一方野球ではピッチャーの投球一球ごとにストライク/ボールの結果が表れ、打者に関してもヒット/凡打といった結果が明確に表れます。セイバーメトリクスの概念はマネーボールで始まったようにもはや常識になりつつあります。

②テクノロジー面から考える

続いて、データ取得技術の観点から考えてみます。
それぞれの競技に導入されている技術は多種多様で、アメフトという括りで考えた時に他の競技に劣っているわけではないと考えています。

例えば、NFLのNext Gen Statsというシステムがあります。
選手のショルダーにGPSが埋め込まれており、座標、スピード、方向というデータを取得することができます。
またNFLはMicrosoftと提携しており、試合の映像を試合中に見ることができるようになっているようです。surfaceを見せながら選手に指示を行うコーチを試合映像でも確認できます。

https://youtu.be/-Fmfn254-3c

他の競技を見てみると、野球ではトラックマンホークアイといった製品で、ボールの回転数や打球角度などが取得できます。球場に設置されたカメラで取得しています。日本でも徐々に導入が進んでいるようです。

Jリーグでもトラッキングデータの取得は進んでいます。スタンドに設置されたカメラから、1秒に25フレームの細かさで座標を取得し、走行距離やスプリント回数といったデータが計算されます。(2015年の記事、今はもっと発展してるかも)

現状の国内リアメフトではまだデータ取得方法がたくさんあるわけではありません。しかしxリーグではAIカメラを通じた試合中継も試されており、徐々に進化し始めているのかなと思います。
国内ではこれから様々なテクノロジーが導入されていくことを期待しています。

https://www.youtube.com/watch?v=cCFf8CeWBa0

③人材面で考える

データを作る、取得するには人の手が必ず必要になってきます。実際の作業としては、映像を撮る、タグを付ける、データを整理するといった面倒なものが多く人数を集めると言う点で苦労することが多いのではないでしょうか。
この面では、アメフトは他の競技よりも優れていると考えています。

特に大学アメフトでは、1チームにおけるマネージャー、トレーナー、ASといったスタッフの数は他のどの競技よりも多いのではないでしょうか。
「どんな人でも活躍できる場がある」というアメフトの魅力が生んだ結果だと思います。
社会人チームではなかなか人が集まらないことも多いようですが、人が集まるポテンシャルは十分にあると思います。

他競技では近年になりアナリスト部門が設置されることが増えたようですが、アメフトでは以前から人材の確保は進んでいたようなので、強みであると言えそうです。

一方データ活用の点では他のスポーツと比べるとかなり出遅れている印象があります。

理由の一つとして、競技人口の少なさがあげられると思います。最近は増えていると思いますが、議論の場がなかなか無かったのではないかと推測できます。
また情報の不足ということもあげられるかと思います。実際には情報が少ないわけではなく、日本では文化として根付いていないため、アメリカに行ったり英語で調べる必要があるため、何ができるのか把握するのが難しいという現状があると思います。

まとめ

競技の人気度で言うと、野球やサッカーとは比べるまでもなく低いのが現状ではあります。しかしアメフトのスポーツとしての魅力は野球やサッカーと比べて劣っているわけではなく、むしろ上回っている部分も大きいと思っています。

もっともっと人気が出てもおかしくないし、人気が出るとさらに面白みが増すと思います。色々な考えを持っている人がたくさんいると思いますが、時にはデータ分析という斜め上の視点から考えてみるのも面白いのではないでしょうか。

以上です。

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