大学生×伝統野菜 飛騨美濃伝統野菜『伊自良大実柿』を学ぶ
東海学院大学管理栄養学科の伝統野菜プロジェクトチームの学生です。今日は朝から雨・・・昨日まで暖かかったけれど、今日は気温が下がってとても寒い日になりました。今回は、大学のある岐阜県各務原市から車で40分ほど北上し、山県市(旧伊自良村)に飛騨美濃伝統野菜『伊自良大実柿』の生産者の方のところにお伺いしました。
『大実』は『近江』だったのか!?
岐阜県山県市で主に栽培されている渋柿である『伊自良大実柿』。実が大きいのかと思っていたら、「あれ!意外と柿が小さい・・・」。お話をお伺いすると、もともと近江地方にあった柿をこの地区に持ち込み、栽培したことが名前の由来になっているとか・・・。『大実』は『近江』だったのか!
『伊自良大実柿』は、大正末期から昭和初期にかけて、この地区で栽培が本格化したそうです。小玉な柿でたくさんの実がなり、干し柿に適した柿なのだそうです。
『伊自良大実連柿』の干し柿が特徴!
『伊自良大実柿』は他の柿と比べ、渋がとても多いことと、ヘタの部分が取れやすいという特徴があるため、串に3つ連ねて刺して、すだれのように吊るすスタイルの「連柿」が特徴的だそうです。3つ串に連ねるのは、三世代が末永く健康でという願いがこもっているそうです。渋が多いので、糖度65%のとても甘い干し柿になるのだとか。
しかし、当初120人で生産していた生産組合の生産者の方も少子高齢化で現在約12名だそうです。ほとんどが80代以上で若手でも65歳以上。
「連柿」になくてはならない串を作る職人の方も他界され、現在は残された串を使って生産をしているそうですが、串がなくなったらどうなるのか・・・など、課題が大きいととても心配されていました。
気候変動の影響もかなり大きい
11月上旬から、『伊自良大実連柿』の生産が開始されています。本当はもう少し早い時期から初めていたそうですが、近年の気候変動の影響で気温が高く、カビや害虫(カメムシが深刻)などが年々深刻になってきているそうです。特に気温が高いとカビが発生し、1つカビが発生すると大半を破棄しなければならず、1年間丹精込めて育てた柿を廃棄してしまう深刻な事態にもなってしまうそうです。今年もやっと気温が下がってきた11月上旬から干し始めたということでした。お伺いした日はあいにくの雨・・・湿度が高いとカビが発生しやすいため、扇風機を設置しているそうです。
『柿渋』にも利用されている
『伊自良大実柿』は柿渋としても利用されているそうです。柿渋とは、青いうちに収穫した渋柿の未熟果を搾汁し発酵熟成させたものだそうで、日本では古くから、柿渋を塗料や染料、あるいは万能民間薬として、活用してきた歴史があるようです。
冬の風物詩『伊自良大実柿』に込められた思いを知る
干し柿作りは生産者の方々が親子代々継承している伝統文化だそうです。
少子高齢化と担い手不足によって、守られ、伝えらえれてきた地域の伝統文化の継承が難しくなっていることを知りました。
今年も来年も皆が仲むつまじく暮らせるようにという願いが込められた『伊自良大実柿』をぜひ味わっていただきたいと思います。
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