『BCG リーダー就任 最初の100日間』を読みこむ
プロマネをする上で、何から行ったらスムーズに進むのか良いのかわからない……。そんな経験はありませんか?私もかつてそうでした。
この記事では、そんなときに私が参考にした『リーダー就任 最初の100日間』をご紹介します。私が実際に読み込んで影響を受けた、10の原則を参考に会社の内省やプロマネをする上で活かせる大切なポイントについて解説します。
『リーダー就任 最初の100日間』とは
ボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)が出版しているレポートです。このレポートにはCEOである20名が述べた、成功事例やアドバイスについてがまとめられています。
BCGは、経営戦略コンサルティングファームを行っている企業であり、世界100拠点以上のネットワークで、企業の経営戦略策定等を支援しています。
リーダー就任 最初の100日間:
https://web-assets.bcg.com/img-src/japan%20tembo-147-Assuming%20Leadership%20The%20First%20100%20Days_1feb2003_tcm9-169994.pdf
ここに書いてあることを実践するにあたって、私が普段行っている経験に置き換えてご紹介します。
新規でプロマネを行っていく場合、そこの会社の社員たちが築き上げてきた業績や記録などにまず一通り目を通します。そして、その中から信頼できる人や、自分の味方になってくれそうな人、要注意が必要そうな人などを、記録ベースで読みこんでいきます。
そこから最初に巻き込む人というのを決めて、その人とまずは面直で話していく、という形を取るのです。キーパーソンを見つけて巻き込んでいくということですね。
一方で、古参の社員も軽視してはいけません。バランスよく信頼できる人を見つけていくことが大切です。
こうして最初の30日で、改革の第1ラウンドという下地を作っていきましょう。
これは所謂、ビジョンとそれに対するマイルストーン(中間目標地点)という話になります。ここで重要なのは、解像度の高さを示すことだと考えます。
長くいるリーダーであれば、割とふわふわしたことを言っても、下にいる信頼のできる人が意図を汲み取って行動してくれることが多いです。
プロマネをする上でよく体験する出来事を挙げますと、プロマネをする会社先でリーダー不在の場合が多かったりします。解像度の高いリーダーがいない組織というのは、不安が発生し、業務を進まなくなってしまうことがあります。
なので、まずは不安を解消するためのビジョンとマイルストーンを明らかにします。
そしてどのような質問が来ても正確に答えていけるようにします。特に私の場合は、現実的に答えるようにしています。プロジェクトのここまでは着手できて、ここまでは着手しないですよ、とかですね。
東海エイチアールでは、東海地域のお客さんに対して数多くのプロマネをしてきました。
この地方でよくあることが、会社の社長さんが張り切っていて壮大なビジョンを持っている一方、現場の従業員の人はビジョンが見えておらず、「何をやったらいいのか分からない…」と思っていることが多かったりするのです。
そのため、現場の社員の解像度を高めるために社長さんが抱くビジョンを私なりに解釈し、今後はこういう風にやっていきましょうということを示すことで会社全体の解像度が上がっていくのです。
ここでははっきり「営業」と言ってます。これは営業の人たちがトップラインを上げる存在だからです。
営業のトップラインの社員たちは全てのお客さんに何を聞かれたりするのかなどについて全て分かってます。
コンサルタントには色々なアプローチ方法があります。例えば、財務諸表を見て赤字がこのぐらいだからどうするかなど、数字で判断していくというやり方などです。
しかし、私のプレイスタイルではそういった方法は難しいため、まず私は営業で売上を上げてくれている人たちがサプライチェーンの最前線でどういうことをしていて、なぜ売上がいま立っているのか、財務諸表で見る数字というのはいま何によって作られているのかを見ています。
支出なども同じです。実際に支払の意思決定をしている人、最前線で意思決定をしている人たちは、どういうことを考えて支払などをしているのかを聞きます。
これらを知ることで初めて、トップラインを伸ばしたり支出を減らしたりすることができます。最前線にいる人たちの意見を聞かず数字だけを見て、ここの数字が課題なのでまずここを削ぎ落としていきましょう、上げていきましょう、ではいけないのです。
まとめると、まずは最前線にいる人たちと会い、ここで私は何をすべきかを突き詰めていくことで「こうすべきだと思うんだけど、どう思いますか?」というアプローチをとっていくことをしましょう。
これは書いてあるそのままの意味になります。顧客と会わずして何か改善ができたりはしません。
しかし、新規事業などでは顧客がそもそもいなかったりします。その場合は、試しにお問い合わせをしてくれた企業や、製品をとても気に入ってくれて実証実験をしてくれる企業が「主要な顧客」に当てはまります。最初の主要な顧客というのは、結局その人たちは製品のファンであるか製品をとても必要としているかのどちらかなのです。
そのような人たちに会いに行き、お金を払うかどうか意思決定する人だけではなく、その会社の社長さんや、実際に製品を使用する作業員の人がどう思っているのか知ることが大切です。
私が携わっていた作業ロボット製品で実際に体験したことですが、支払の意思決定を持っている顧客は製品は問題ないと言っていたが、実際に作業ロボット製品を使っている現場に足を運んでみると作業員の人が製品の使い方がよく分からず使われていない。なんてことがありました。
そういう意味でも主要な顧客に会いに行くことはとても大切なのです。
常に内省をするようにしましょう。ここでの、常にビデオで撮られていてその映像をずっとみんなに見られているつもりでいること。これはとても例えがわかりやすいですね。
これはいわゆる精神論で、覚悟を決めろと書いてあります。簡単にまとめると、みんなに常に見られているということを意識しましょう。
これは少し独特な考え方になりますが、全ての支出に対して、なんとなくで他社への発注をしてしまうということは辞めましょう。
キャッシュフローが垂れ流しな状況の会社は、とりあえず全部止めてしまうのがよいでしょう。
新規事業なども、一番になにを優先してお金をかけるべきなのかが決まるまでは、裁量を持たせすぎないようにします。会社によっては、一人当たりの予算を決めているところもありますが、基本的には会社の戦略に基づいてお金は使われるべきだと考えられます。
何で利益が上がるのか、何で売れてるのか、などの事実についての解析をしましょう。
私が携わっているプロジェクトを例に挙げてみましょう。
機械商品のプロジェクトであれば基本的に売上は、商談数よりもデモをした数だけ売上があがっていきます。これは、デモをしてからクロージングする確率が高いためであり、基本的に顧客は機械商品を見る前に購入することが無いためです。
そのため、デモ数をKPIとしてその指標をミクロに報告してもらいます。要は、「大事な数字は細かく報告しましょう」という話です。
新規事業開発では、基本的には売上がレポートすべき数字です。売上に対して紐づく数字というのは、商談数やデモ数、過電数など。これらの数字が基本的には重要だと考えています。
それ以外のプロジェクト。既存事業をピボットして新規事業をする場合を例に挙げます。既存の顧客が新しく作った製品に対して興味を持ってくれる割合や、既存事業との連動などが数字になります。
他には、組織改革のようなプロジェクトであれば、共感してくれる人の割合などの数字が大事です。
レポートをすべき数字を絞って、その数字がどのようにして上げることができているかというのをメンバーなどに報告させましょう。
負の遺産によくあることは、古いシステム会社に依存し続けたまま多額の月額料金を払い続けてる状況などです。
また売上でいくと、売上の金額自体は大きいけど、実は利益がそこまで出てないような取引が10年20年続いている状況があり、辞めるに辞められないようなことが結構あったりします。
こういった大きな課題を解決する前に、私は基本的に新しく事業を作ってトップラインを伸ばすというアプローチをしています。
新規事業を作る上でも負の遺産は多くあります。例えば、意思決定ができる人材がいないためスピード感を持って意思決定できない組織文化になってしまっているなど。
もっと細かい話ですと、出張旅費が毎月とても多い状態にあるとします。原因として、アポが1件でも取れたら出張費出してもいいだろう、という考えが社内に蔓延していたりします。解決策としては、もし東京出張をするならば絶対に5件以上のアポを入れないといけないなどのルールを作るようにすると良いでしょう。
以上のような負の遺産や社内の人たちがなあなあで意思決定をしてきており、会社の成長を止めているようなことがあれば速やかに処理するようにしましょう。
クイックヒット策というのは戦術的な話になりますが、応急措置策のようなものを更新していきましょう。
私が携わっていた案件で、とあるレンタル商品の故障率がとても高い状況が続いているものがありました。
とても良くない状況ですが、こういったことを応急措置していくのです。この故障パターンだったらこうしよう、このパターンだったらこうしようというようにします。
このときの大きな原因の1つに、商品の品質が上がる前に顧客からのニーズが先に来てしまったというのがあります。
もちろん多くのクレームがありましたが、その都度、応急措置を行ってきました。また、キャンペーンを打つなどもしました。例えば、ある月ではレンタル台数が多い顧客に対してはディスカウントのキャンペーンを打つなど、これをやったらこういう結果を得られるみたいな種まきを行いました。そしてそういったキャンペーンなどのリストを貯めておくのです。
優先順位としては高くないけれど、これをやったらいいでしょうというようなもののリストを貯めていくというようなイメージです。
ここでは、ステークホルダーに関して期待値コントロールをし続けるというお話になります。
私はプロマネを行っていく会社先に行った際、現場の人たちと役員の人たちの間で経営資料などを作ったりすることが多いです。このとき私は、「私達は今こういう船(会社)に乗っていて行き先(未来)はどこへ向かっているのか」をプランで締めつつ、経営陣には夢を見せ、現場には現実ベースでやっていきましょうといったお話をさせてもらっています。
続いてはリスクです。経営陣には気になる情報をきちんとインプットしてもらい、現場には現場の気になる情報をインプットしてもらうということ。こうして常に期待値をコントロールしていくということです。
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まとめ
今回ご紹介したレポートは、PDF8枚分の資料となっておりとても読みやすいものとなっております。また短いがゆえに大事なことだけがまとまっているのも印象的です。
抽象的な説明のものは、今回私が行ったように自分の体験に落とし込むとわかりやすくなるでしょう。落とし込みつつ、会社の内省やプロマネをする上で活かせる大切なポイントを有効的に活かしていきましょう!
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