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『「育休世代」のジレンマ』から『なぜ共働きも専業もしんどいのか』へ

わたしには小1(2012年生まれ)と年少(2015年生まれ)の子供がいる。いわゆるワーママになって今年で7年目。

わたしと中野円佳さんの著書『「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか?』との出合いは、第2子妊娠中の2015年初頭だった。

中野さん、今はいろんなメディアでご活躍されている有名人だけれど、当時はまだ無名(失礼…)で、書店の新書コーナーにてタイトルに惹かれた、運命の出合いだった。

ナニコレ!!!わたしのことが書いてある!!!と衝撃を受けて食い入りながら読んだこと、よく覚えている。

それもそのはず、中野さん、東京大学教育学部を卒業、2007年に就職して、2012年に第1子をご出産されている。
同世代の中野さんの著書、共感しないわけがない。書かれていること、わたしの頭の中そのものだった。

わたしの頭の中そのものな理由のひとつ、それはその半年後にわかったんだけど、『「育休世代」のジレンマ』に登場するインタビュイーの一人がわたしの大学時代のクラスメイトだった。

2019年になり令和を迎えた今は、総合職女性が産休育休取って復帰するのが当然になっているけれど、2012年頃は今とは状況が全然違っていた。高学歴女性のライフコースについて、メディアなどで取り上げられることなどほとんどなかった。

その点、『「育休世代」のジレンマ』は画期的で、お勉強ができて優等生で弱音を吐かずに男性社会になじもうとしながらもワーママとなった、あるいはドロップアウトしてしまった先人たちがひた隠しにしてきた部分を世に認知させた存在で、当時としては本当にセンセーショナルだった。

そして時を同じくして、女性活躍が叫ばれるようになり、さらには保育園落ちた日本死ね問題もあり、ワーママの声はどんどん世に出るようになった。

いろいろ思い出すと、わたしは激動の2010年代にワーママをやってきたなぁ、と感慨深い。

さてさて、今年の中野円佳さんの新刊『なぜ共働きも専業もしんどいのか 主婦がいないと回らない構造』。こちらも購入し、とても興味深く読ませていただいた。

中野さん、2015年に第2子をご出産(またしてもわたしと同じ!)されて、いったん復帰したものの、その後シンガポールにて駐妻になったようで、新刊ではわたしとは違う視点の情報が多く、新鮮だった。専業、ワーママ、男性視点、多面的な見方ができて、とてもおもしろかった。

特に、専業主婦についての歴史的?考察が非常に興味深かった。

団塊世代の主婦が夫に家事を一切やらせずに「靴下のありかもわからないようにしておく。私がいないとダメだと思わせる」ことが上の世代から学んだ生存戦略で、専業主婦の立ち位置を安定させるための方法だったと思われる。
愛がなくなったとしても、経済的自立がなくても、主婦が夫に養ってもらう方法。つまり家事(と育児)を独占することにより、夫の家庭における妻への依存を招くというわけだ。

なんだか奇妙な共依存関係のように思えるけれど、これにより日本は高度経済成長を遂げたのだと思うと、なんて言うべきなのか、言葉が見つからない。

身近に専業主婦のいない環境で育ったわたしにとって専業主婦というのは今も昔も未知の世界の人々なのだが、この本と出合ったことで専業のしんどさについて考える好機になった。

小1の壁真っ只中の今、どうにかがんばってワーママやっているが、今後、子の状況次第では一時的に専業もありうると思っている。そういう意味で、専業のしんどさについて考えるきっかけを与えてくれて本当にありがたい。

中野円佳さん、最近はトークショーなども頻繁に開いているようだし、いつかお会いしたい。