エルデンリングは英語から日本語に翻訳されてなんかいない
22/5/10:元記事の方が取り下げたのでこっちも下げます。
事実関係がごちゃごちゃしたときのために元記事は返金可能設定付きの有料記事として隠しておきます。
22/10/14:またぞろエルデンリングは英語から日本語訳されたんだー! みたいな話が出てきたので再公開します。なんでファンって自称してるのにローカライズしてる会社を調べないのか全くわかんない。
noteでエルデンリングについての感想をザッピングしているとこんな記事が出てきた。
最初に感じたのは強烈な違和感だ。まず、フロム・ソフトウェアは日本の企業である。
前提としてこのようにこの記事を執筆した方は述べている。
この前提が前提になっていない。そもそも日本企業であるフロム・ソフトウェアのスタッフは大半が日本語話者である。テキストをメインで担当しているディレクターの宮崎氏も日本人である。
ゲーム開発とは集団で行う作業であり、その場のマジョリティの母語で作られるのが、情報伝達コストを下げる基本である。日本企業がゲームの根幹部分である設定について、英語をベースにして開発するというのは、すべての人間が英語話者である外国企業ならまだしも、いかんせんコストを度外視しすぎている。
そのような特異な開発が行われたなら、間違いなくインタビューなどで話されているはずだ。
更に言うなら、デモンズソウルの時代からFrognationというローカライズ企業がフロム・ソフトウェアのゲームを担当してきている。果たして今回は変わったのだろうか?
そう思って調べてみた。
あるじゃん翻訳者インタビュー。
2022年3月11日、エルデン発売後にすぐに投稿されている。そこにはこう書かれている。
拙訳はこんな感じになる;
完全に『通常、翻訳は情報量が原語より多くなることはない(なっていた場合、それは翻訳の枠を超えた創作である)』というのは間違った前提である事がわかる。間違った前提からは間違った答えしか出てこないのは当然だ。
なぜテキストが膨らむのかについて、同インタビュー内でFrognationの翻訳担当者であるRyan Morrisは答えている。すべて翻訳するのもあれなので詳しくは原文を当たって欲しいのだが、ざっと言えば宮崎社長の作風が原因だそうだ。
彼は古典的ハイファンタジーの日本語訳に合わせたややこしい漢字や言い回しを使い、雰囲気を出す。その上でそこに様々なポップカルチャーネタを追加する(筆者注:例えばスペースリパー・スティンギーアイズのパロディとかね)。宮崎社長の文章には非常に曖昧で語らない部分が多いため、結果的に内容について後から詰めていくことになり、どんどん内容が膨らんでいくのだそうだ。
要するに日本語に翻訳した際に意味が抜け落ちたというのは誤りだ。もともとの宮崎社長の「語らずに残す」作風で残された隙間を、英語は翻訳の際に埋めている、そういうことなのである。
すごい長文を書いているのを見るに、彼はよほど作品に腹を立てたのだろう。それはいい。誰だって作品が気に入らないことはある。
エネルギッシュなのは良い。が、フロム・ソフトウェアの翻訳についての意見を述べるなら、事前にちょっとエルデンの英訳担当者についてググり、FrognationのTwitterを遡ってインタビューを見つけるとかできたはずだ。というか一番上に書いてある。
怒るのはいい。が、あやふやな根拠を軸に論を展開する前に、少し頭を冷やして下調べをし、それから何かを書いた方がいい。というか、ファンジンとして振る舞うのに、根拠を調べずに主張するのはどうかしているんじゃないか?
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