雑記:武蔵小金井、城塞都市メガドンキ
思い立って武蔵小金井へ向かった。
娘を習い事に送っていきすがら、エクセルシオールなどでコーヒーを啜りながら読書をするのが、このところの週末の過ごし方だった。
程よく読書をし、アイスコーヒーの氷も解け切って、ちょっと疲れたなと感じる頃、娘も習い事が終わっている頃合いになっていてそのまま一緒に帰宅するのだ。
それ自体は非常に有意義な時間なのだが、ある程度同じことを繰り返してくると変革を求める自分もいる。改革派参上。
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先日、Amazonの欲しいものリストを再確認していた。
リストに入れておいて、中古で出物があったら購入しようなんて思っているものが溜まっていたのだ。
これは本当に欲しかったのか?と確認したり、中古で安いなら買ってみるか、など検討してみる。
そんな欲しいものリストの棚卸、時々やっておくタイミングだった。
その中に1枚のCDがあった。
私は60年代の音楽が好きで、特にアメリカのガレージバンドと言われるようなギリギリプロの音源がとても好きなのだ。なぜそんな有象無象のバンドの荒い音源なんか聴いているのか、好きなのだからしょうがないとしか言いようがない。
自分が10代の頃からずっと変わらずに好きでいられている、いよいよ飽きただろうと思う時もあるのだけど、気がついたらまた聴いている。
なので、これは趣味ではなく私の一部なのだと思う。
さて、肝心のCDだが、アメリカのローカルなレーベルのコンピレーションアルバムでシリーズ全8作あるのだけど、当時なぜか2作目だけ買い逃していた。
それがAmazonでお手頃価格で売っていたのだ。
これは購入するしかないなと、手続きを進めていたらその出品者がレコファン武蔵小金井店だった。
レコファン、懐かしい響きだ。
まだ残っていたんだなと言うことにまず甘酸っぱいものを感じて、武蔵小金井店というところに驚きがあった。
レコファンといえば渋谷だ。
高校生の頃、少し背伸びした気分でレコファンで中古レコードをサクサクしていた。買えたとて1枚がいいところなのだけど。
レコファンはとにかく量がある印象で、時間がある時に寄るところで、お金がない当時の私はピンポイントで欲しいものを買うしかなく、少し縁遠いレコード屋という位置付けだった。
そんなレコファン、現在は渋谷店、秋葉原店、そして武蔵小金井店があるという。
その並びに違和感を感じたが、自宅から30分程度の場所なので足を延ばしてみることにした。
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武蔵小金井には宮地楽器という楽器店がある。
駅前の大きなホールは宮地楽器ホールだ。宮地楽器による統治が進んでいる文化的な街なのだ。気持ち、外車が多く走っている気もする。
私と武蔵小金井の接点は、娘がトロンボーンを始めた頃、宮地楽器のスクールに通っていて、そのスクールが開講されていたのが武蔵小金井だった。
そのころは駅の北口、少し歩いたところにある宮地楽器まで、トロンボーンを持って送迎していた。
夕方の時間に通っていたので、娘を送った帰り道、駅まで戻る道でラーメン屋や、焼き鳥屋やら洋食屋に寄って夕飯を食べて帰ったこともあった。
焼き鳥屋では現金かPaypayしか使えず、手持ちの現金が足りない上に、銀行のカードも持っていなかったので、保険証を預けていったん家に現金を取りに帰ったこともあったな。
あの焼き鳥屋は美味しかった。娘も少しはあの時のことを忘れずにいてくれるのだろうか。
武蔵小金井のことを思い出しつつ、レコファンについて確認する。
調べてみると、駅前にあるメガドンキの中に入っているとのこと。全く知らなかった。メガドンキの脇の道は通ったことがあったが、メガドンキにはまったく興味もなく素通りしていた。
娘を送迎している頃に知っていたら、待っている間にレコファン行ってたな、なんて考えた。
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そして今日、娘の習い事が終わるのを待つ間、武蔵小金井のレコファンに行ってみることにした。(ちなみにこれは宮地楽器ではなく別の習い事だ)
懐かしのレコファン。特にこれという目当てがあるわけではないけれど、中古レコード屋に行くというのはテンションが上がった。
バスに乗って武蔵小金井へ向かう、メガドンキはいつも自転車に囲まれている。バリケードのように止められた自転車は近年では中々お目にかかれない。昭和・平成の風景だ。さすがメガドンキ。防衛意識が強いのだろう。
店内にも強そうな人がたくさんいる。大坂冬の陣、夏の陣のように浪人を募って城塞化されているのだろう。
レコファンは4Fにあった。
エスカレーターを上がったら、すぐにあって拍子抜けした。あまり感慨深いと感じるものもなく、レコファンらしいカンバンなども特になかった。
入店する、レコードを見るような気分ではなかったので、CDの棚を物色することにした。しかしながら、入店してCDの棚を見た段階で、目的のものを探しにくそうでなんだか急に面倒になってしまった。
まあ、店舗に到着した、入店した時点で8割がた目的は果たしていたのかもしれない。
お目当てのガレージコーナーは少しだけで、20枚程度の小さな一角だった。それでも枠があるだけマシな方で。置いてあるものはそこまで目を引くほどではなかったが、よく知らないコンピレーションアルバムが安かったのでひとまず購入しておくことにした。
せっかく来たのだしという気持ちも半分くらいはあった。
まあ、こんなもんだろうなと目的を果たした気分になりエスカレーターを下っていると地下にくまざわ書店があるのを目にした。
そういえば、妻がメガドンキのくまざわ書店は品揃えが独特と言っていたなと思い出し、まだ時間に余裕があったので寄ってみることにした。
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くまざわ書店はそこそこの広さで漫画コーナーが充実していて、特設コーナーも風変わりでなかなか楽しめた。
購入こそしなかったが、文芸書コーナーも妙な品揃えで、Zine的なものも置いてあったりして興味深かった。
バスで戻る時間を考慮すると、もうそろそろ戻る時間。
後ろ髪をひかれつつ、くまざわ書店を後にした。
こちらはまた時間に余裕がある時に寄ってみたいものだが、武蔵小金井に来る用事はない。くまざわ書店を目的にするしかないのだ。
バスに揺られて戻る。
よく空調の効いたバスの一番前の座席に座って、運転手の動きと前方を見ながら過ごした。車道を走る自転車が増えてきて、バスの運転手も大変なのだろうなと、横目で運転手を覗き見たが運転手の表情から感情は読み取れなかった。
その後はずっと運転手を覗き見てしまった。
今度くまざわ書店に行くときもこのバスに乗るのだろうな、なんて思いつつ。
その後はまたエクセルシオールカフェに入り、アイスコーヒーを啜りながらいつも通り、何食わぬ顔で娘を待った。
持ってきた本を読み終えるころ、アイスコーヒーも空になった。
音楽を聴きながら、読書をして、コーヒーを啜る。
私の好きなものが一体となっているこの時間がちょっとした外出の最後にあって良かった。
サポートをしていただけたら、あなたはサポーター。 そんな日が来るとは思わずにいた。 終わらないPsychedelic Dreamが明けるかもしれません。