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MIUもアンナチュラルも観たことないけど「ラスト・マイル」を観た

ツイッターで「ラスト・マイル」の感想を見かけ、「社会問題がテーマ」「評判が良い」ということで観に行った。

面白かった…!
最近は舞台ばかり見ていたので、久しぶりに映画館で映画を観た。映画って、視点も場所もバンバン切り替わって画面の変化がすごい…! シーンごとに背景が全部違う…! 本当に面白い話というのは、媒体を問わずあっという間に感じるものだな。

「全てはお客様のために」

この言葉は、Amazonの物流問題がモデルであろう今作のマジックワードだ。大義のために従業員や関係者をすりつぶす構図に、最近最終回を迎えたヒロアカを思い出した。ヒロアカも、ヒーローを抑止力として社会全体の利益のため、ヒーロー個人の家庭を(結果として)蔑ろにした結果、社会に大きな影響を与えるヴィランが生まれる…という話だった。
社会と家庭、個人は地続きであり、最小単位の社会である家庭が立ち行かないと、より大きな社会にも影響をもたらす。この構造は、今回の一人の社員の自殺未遂をきっかけに事件が起きたストーリーと近い。

最近の「移住したら60万」の話もそうだが、個の感情や人生、問題の解像度が低い仕組みは上手くいかないなと思う。じつは人間ってパーツじゃないので、ボタン推したら特定の反応をするものして扱うと不具合出るんですよ

この世にアンサンブルの人なんていなくて、一人一人に人生があるんだよね。八木さんの「これで住宅ローンが返せる…!妻と娘に報告だ!」という台詞や、ワタルさんの前職の家電メーカーの話など、メインではない役のちょっとした台詞にその人の人生を感じられて良かった。配達ドライバーのワタルさんが最後、自分が誇りを持ってやっていた仕事によって人命を守るヒーローになったのが嬉しかった。

「ラスト・マイル」の良かったところは、問題の仕組みに焦点を当てつつ、個人の人生や悩みも描いているところだと思う。

ただ、こういう既存の仕組みを変える話でいつも感じることなのだが、変えるには頭が良くて力がある人物がいないと無理なのだろうか。たまたまそういう人がいない限り、社会の仕組みって変わらないものなのだろうか。モヤモヤ考えるが、特に答えは出てこない。

↑読み返して追記
この物語も、1人の社員がきっかけで最終的に満島ひかりが動き、僅かながら世界が変わったし、ヒロアカはまさに無個性がヒーローになったお話だ。
1人でも行動することに今はあると描いている。
書いたらそれはそうという感じではあるが、前より納得に近づいた気がする。

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