#29アービトラージ入門

裁定取引に関する自分の理解の確認と、その他有益なトレードに使える情報が無いかを調べる為に本書を読んでみた。概念や数理的な意味では特段新たな発見はなかったが、概念として改めて裁定を捉え直す良い機会になったと思う。以下学びになったポイントを箇条書きにしてまとめておく。

裁定とは価格の不一致を特定し、それを利用する取引戦略のことを言う。一物一価の法則が行き着く先を定めるルールだとすれば、裁定は行き着く先へ導く取引である。

裁定機会が無いことと、価格が適正な水準にあることは似て非なる状態である。

一期待リターン一価の法則もできるわけで、ファクター分解を丁寧にすることができれば十分な成果を上げられうる。

裁定の種類として、税裁定(所得の種類間で税率が異なるのを利用するべく、所得をある課税上の分類から他の分類へと移すことを指す。)、規制裁定(企業が規制の緩やかな方へと移っていく傾向を指す。)と言う概念も念頭に入れておくこと。Put-Call Parityは非常に良い例を示している。規制上のキャッシュフローの課税利率が異なる場合、現物ロングと合成現物は異なったプライシングをされる余地が残る。

将来実現しうるすべての場合で、常に一定のリターンをもたらす投資は無リスクであり、したがってそこから得られるリターンは無リスクとなる。

経済的インセンティブにしたがって将来全く同じ結果をもたらす二つの投資は価格も全く同じである。

裁定とは、入念な分析と多くの場合大きなプレッシャーのもとで下さなければならない厳しい判断、そして平均回帰に基づく法則なのである

裁定機会が発生していても必ずしも収束しない場合もありうる。例えば、空売りに伴うコストが割高であること、規制上の理由、ペアトレードの場合に収束する比率の乖離等々が挙げられる。何が理由で現在機会ができているのかを調べること、そしてそれが収束する方向に果たして正しく行くのかを見ることが非常に大切な行動である。

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