#138モチベーション3.0

モチベーションの大家であるダニエル・ピンクの著作。時代が変わった際に、古い報酬構造を引き続き用いることは果たして正しい結果に結びつくのかということを起点に内発的動機に裏付けされた目標設定と連続した行動がより高い成果を上げることにつながるという視点を提供している。一個人としても、また一組織としても欠かせない視点であり、特に今のチームをまとめ次のレベルに進める為には必要な考え方になる。

・他人と協力しあって何かを成し遂げることが必要になった際に、生理的動因に基づくOSのみでは対処できなくなったことから生まれたのが、信賞必罰制度で、正く行った際には報酬をあげるというもの。

・生産性をあげることには良いが、人間の動力の認識に欠けている。

・マイクロソフトとWikipediaの例は、必ずしも金銭が大きなプロジェクトの推進源にならないということを示している。

・報酬は行動に対して、興味深い仕事でも早く肩つけるべきものに、退屈な仕事に変えてしまう。

・人は意欲を掻き立てようと行動を促し、そこから利益を得ようとして報酬を用いるが、かえって活動に対する内発的動機を失わせうる。

・創造的な仕事に関しては、創造性の発露を失わせることにつながる。(画鋲と箱と蝋燭をいかにして壁に貼り付けるかというゲームでの実験での成果や、芸術家、建築家の仕事に関する実験。)

・本来倫理的な問題を経済の問題へと持ち込んでしまい、誤った動機づけを促すことがある。(保育園で時間に遅れた際に追加料金を支払えばお迎え時間を遅らせても良いという考えに繋がった実験例。)

・型通りに設計された仕事に関しては、その作業が必要な論理的な根拠を示す、参加者のやり方を示すといったアプローチをとることが一つの解決策になりうる。

・それ以外の創造性を要する仕事に関しては、自立性、熟達、目的を強調すること高い生産性を上げることの鍵となりうる。

・ここでの注意点としては、報酬はどちらのタイプでも必要であること。ただ、創造性を要する方に関しては、報酬を気にしなくても良いという水準を維持する必要があるという点に関しての相違はある。

・内発的動機を目的とした場合、長期的には外的同期を目的とした場合よりも多くを達成することが多い。大きな成功を収めている人は、従来の成功の概念を追求しているだけではなく、自分の人生をコントロールしたい。世界を知りたい、時の試練に耐えることを成し遂げたい、という自らの内側から湧き上がる欲求を満たすために猛烈に取り組んでいるため成果を出す。

・課題や時間、方法、チームを任せることが、目的に至ることの早道だと考えている。

・やらなくてはならないことと、できることの相関性がピッタリと一致する。課題は現在の能力よりも一二段高く、努力という行為がなければそこに辿り着けないことを無意識のうちにやっている状態。

・知的挑戦への欲求、何か新たなことや興味を惹かれることをマスターしたいという衝動が生産性を予測する上で的確な判断材料になりうる。

・熟達は時には苦痛でもあるが、プロフェッショナルとは、自分が心から愛するものを、気乗りしない日にあっても変わらず行うことから訪れる。そこにフローという考え方が必要になる。


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