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「リベラルアーツとは」 はじめに(3/6)

「生きる力」ついて考える上で「リベラルアーツ」を避けて通ることはできないでしょう。ここで「リベラルアーツ」について触れておきます。
※「はじめに」が長くなり、なかなか本編にたどり着けませんが、この記事が折り返し点です。

最近、耳にする機会が増えてきた「リベラルアーツ」という言葉ですが、カタカナ用語は意味があやふやなまま使われてしまう傾向があると感じています。どう説明したら良いか考えてみましたが、簡潔に漏れなく説明することは非常に難しい。で、わかりやすいリンクを見つけました。
米リベラルアーツの名門校の一つに「オーバリン大学(Oberlin College)」があります。そのオーバリン大学にちなんで名付けられたのが桜美林大学ということをご存知の方もいらっしゃるかもしれません。その桜美林大学のHPにわかりやすくまとめられているので引用します。

【リベラルアーツとは】
社会のありとあらゆる問題にさまざまな角度から立ち向かうことができる、
それがリベラルアーツの「学び」です。複雑化した現代社会では、ある特定分野の専門的な知識が求められる一方で、幅広い知識を身につけ、異なる考え方やアプローチ方法が理解できるような総合力が必要とされています。リベラルアーツはさまざまな学問領域を自由にそして積極的に学ぶことで、実社会で活躍し豊かな人生を送ることができる総合力のある人間の育成を目標としています。
(ここまで引用)

私なりに表現するとリベラルアーツとは「あらゆる時代、あらゆる場所で、人が自由に生きていくのに欠かせない技と(それを支える)力」です。そのリベラルアーツを学ぶ場が、全米に600程あると言われている「リベラルアーツカレッジ」です。アメリカの大学といえば日本ではアイビーリーグが有名ですが、少人数制のディスカンションと深い思索による学びで特徴付けられるリベラルアーツカレッジの人気も高いそうです。一学年の人数は300~500人、世界各国から留学生が集まり、4年間寮生活を送りながら「学び」を探求します。リベラルアーツカレッジの多くは大学院を持たないので、さらに専門的に学びたい人が総合大学の大学院に進むというのが一般的です。
教授1人に対して学生の数は多くても10人程度。しかも、その教授は学生の指導を使命としています。一学年の数が多く、学部生の授業は大学院生に任せるなどして自分の研究を重視するリサーチ系の総合大学との一番の違いとも言えます。
※誤解のないように言っておきますがリサーチ系の総合大学の意義を否定するものではありません。リベラルアーツカレッジにはない、総合大学ならではのメリットも多数あります。リベラルアーツカレッジで2年学び総合大学に編入する学生もいます。(オバマ元大統領はオクシデンタルカレッジ→コロンビア大学)

ちなみに、日本で最も有名なハーバード大学も設立当時はリベラルアーツカレッジでした。今でもハーバードの中にはUniversityとCollegeがあります。※UniversityとCollegeの違いについては「栄陽子留学研究所のHP」に詳しく記載されていますので詳しく知りたい方は参照してみてください。

日本では「リベラルアーツ=一般教養」と置き換えられ、「高等教育は専門性重視」という観点から軽んじられていた傾向がありましたが、近年、専門性を生かすための土台としてもリベラルアーツが重視され、東京工業大学、立命館アジア太平洋大学、ICU、国際教養大学(AIU)、などリベラルアーツで注目される大学が増えてきたのは喜ばしいことだと思います。

さて、ここで偏差値至上主義に終止符を打ちたい者として、ちょっと横道に逸れます。アメリカのリベラルアーツカレッジは日本ではあまり知られていません。その理由の一つがTHE(Times Hier Education)」の世界大学ランキングが偏差値の代わりに注目されだしたからだと思っています。
このランキング上位には、アメリカのリベラルアーツカレッジは出てきません(最近、リベラルアーツカレッジだけのランキングがつくられたようです;笑)。それは「THE」のランキングを決める指標がリベラルアーツカレッジが目指しているものとベクトルが異なるためです。
さらに言えば、世界大学ランキングは「THE」だけでなく「QS」など様々な指標から計算されるものが複数あります。アメリカ国内だけでも「US News」や「NICHE」などがランキングを作っています。ユニークなところでは卒業生の稼ぐ能力を指標に取り入れている「Forbes」のランキングもあります。そうしたランキングを見てすぐに気づくことがあります。それはランキングを作っている団体によって順位が大きく変わるということです。そりゃあそうです、どの団体も大切だと思う指標が異なるわけですから・・・つまり、世界の大学は日本のように偏差値で輪切りにされていないということです。「THE」のランキングで東大よりハーバードが上だからハーバードを目指そう!なんていう「ひと昔前の偏差値的な価値観で海外大を目指す」という愚かな風潮が生まれないことを願っています。誰かが(意図を持って)決めたランキングではなく、自分が大切だと思う学びを基に進学先を選ぶことが当たり前になる流れが望ましいと思います。

※次は長女がお世話になった方々、NPO、立命館宇治中学・高等学校について書きます。「はじめに」は、あと3回です。
(不定期に更新します。興味を持たれた方はフォローお願いします)



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