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【リベラルアーツ・サロン】      森に学ぶ子育て 〜”育てる”より”育つ”〜

 子どもを育てるってどういうことなのでしょうか?
 私たち大人は、子どもを習い事に通わせたり、進学先を勧めたり、就職先をアドバイスしたりと、子どもが失敗しないように親が環境を整えようとします。でも、これって、やりすぎると(過保護になると)子どもは自分で自分の人生を生きていく(選択する)力が育たなくなるように思います。

 植物の世界を見てみると、子ども(種子)はその子なりに、落ちた場所で学び(水を吸い、光合成を行い)成長していきます。「勝手に育つ」のが植物です。親(古木)は子(若木)の成長を見守るだけです。子は(根を張った場所の)環境に合わせて、何を学ぶかを選びます(枝を伸ばす方向を決めます)。

 もちろん、人と植物とでは、生存戦略は異なりますから、植物と比較して同じように論じることは無理があります。しかし、親の育った環境と子どもの育った環境が異なる中で、次の世代が育つことに変わりはありません。親の考える生存戦略が、子どもにも通用するとは限らないわけです。

 どんなことを植物から学ぶことができるか?
▽それは種が芽を出す(子どもが興味を持つ)力を信じること
▽そして出した芽が伸びる(興味を持ったことを探求する)力を信じること
ではないかと思います。「見守る」という言葉に置き換えられるでしょう。さて、この「見守る」という行為は、人間の親にとって忍耐を求められる難しいことだと思います。やっぱり怪我しないように、失敗しないように、親としては周りの環境を整えたくなってしまいます。
 けれど、過保護にならないよう、何を学ぶかを決めるのはできるだけ子どもに任せたいと思っています。とはいえ、世間一般から外れる方向に学び出すと、指示したくなってしまうのも事実(笑)。
 で、私はどうするかというと、時々、山の中を歩いて、森林の世代交代に思いを馳せます。落ちているどんぐりを見て、芽を出す力を信じる。小さな苗木を見て、成長する姿を想像するのです。
「子どもは育てるものではなく育つもの」
山の木々からのメッセージです。

※次のシリーズをスタートするまで、しばらく時間をいただきます。

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