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良いお年を

今年初めて、「良いお年を」と言った。

毎年「もうそんな時期だね」とお互いに1年を労いながら手を振り、東京駅の改札前で別々の方向へ歩き出す。

僕はあえて電車に乗らず、散歩がてら有楽町まで歩いた。

丸の内の街並みは今年も綺麗にライトアップがされていて、クリスマスの雰囲気を味わう老若男女で賑わっていた。

イルミネーションを眺めて頬を緩める人たちを、一歩離れたところから見ているのが結構好きだ。

恋人同士で、友達同士で、家族で。

それぞれの形で楽しんでいる様子を見ると、なんかいいなあって思ってしまう。


東京駅では今日もあちこちでブライダルフォトを撮っていて、

銀座ではあちこちで大切な人や自分へのプレゼントを選ぶ人でごった返している。

ああ、年の瀬だなぁ。

そんなふうに思いながら、あてもなくのんびり歩いたりするんだ。

2023年も終わろうとしていて、僕は29歳になろうとしている。

「もう30代」なのか「まだ20代」なのか。

童顔なこともあり幸い「おじさん」と呼ばれたことはまだないが、

年齢的にはなんとも絶妙な世代の狭間に立たされて、この話題になる度に愛想笑いをすることが増えた。

いつしか思い描いていた「ライフプラン」的なやつはせいぜい28歳くらいまでのもので、そこから先の人生なんて、深く考えたことすらなかった。

何になるかはわからないけど仕事はしていて、多分結婚はしていて、早ければ子供がいるんだろう。くらいでしか未来のことなんて考えてなかっただろう。

実際どうなのかと言うと、Instagramで次々に流れてくる友人たちの婚姻届と指輪の写真や可愛い赤ちゃんの写真にいいねをつけながら、僕が投稿しているのは最近食べた美味しかったご飯の写真だ。

総じて、人生なんてそんなもんだろう。

計画通りに進んでしまったら、面白くない。

ということにしておく。

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いろんなご縁が繋がって、少しの間オーストラリアに行くことになった。

今向かえば夏真っ只中で、だいたい20℃くらいの気候らしい。

冬が好きな僕が、なぜ逆行するのかと自分でも不思議だ。

ただ、ぽろっとチャンスが来て

ただ、心が踊ったからそうすることにした。

それだけだ。

「今じゃなくていいかな」

「忙しいし次の機会でいいや」

そうして後回しにしてしまうことがどれだけ大きな後悔につながるかということを、この3〜4年で多くの方が身をもって痛感したのではなかろうか。

そんな中で、ここ数年で僕が自分のことを好きになれたなと思う唯一のポイントは

「行動を起こせるようになった」

ということだ。

行きたいと思った場所。

見たいと思ったもの。

会いたいと思った人。

何か直感で感じたら、足を運べるようになった。

そうして足を運んだ結果、

ああ、こんなことならば行かなきゃよかった。

と思ったことは一度も無い。

ほんの少しの期間ではあるけれど、行ったことのない国で、不慣れな言語で、1人異国の地を歩く。

そんな時間が、多分未来の僕が振り返った時に

「あん時、行っといてよかったぞ」

と言えるように

今できることは、今のうちにやってみようと思うんだ。

未来の僕よ、「良いお年を。」

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