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慶應通信の学部・塾生・SNS雑感

塾生(学生)になって(2023/4)、それからしばらく自分なりに観察したまとめです、参考までに。文体が若干不統一&まとまってません。そのうち追記&整理予定。


1.学部ごとの違い

1.1.前提

 私は文学部3類(文学を主とする)で、狭義の文学(詩や戯曲や小説)が専攻(仕事はIT関連)。ただ、もともと社会科学系の学部を卒業していて学士入学なので、多少は法学や経済学も勉強したことがある感じ(具体的には宅建持ってるし、判例や財務諸表もいくらか読める)。そういった視点での雑感です。

 また、慶應通信は文学部、経済学部、法学部と3学部があり、文学部は1類(哲学を主とする)、2類(歴史を主とする)、3類(文学を主とする)に分かれ(以下、文1、文2、文3とする。)、法学部は甲(法学科)、乙(政治学科)の2つ(以下、法甲、法乙とする。)がある。
 経済学部は1つなので、合計で6つ区分けがあるというわけ。

1.2.必修科目の違い

 総合教育科目(48単位)+専門教育科目(68単位)+卒業論文(8単位)= 合計 124単位

というのが卒業に必要な単位だが、学部によっては必ず取らなければいけない科目というのがある。

文学部  なし(文1~3のそれぞれ専攻の類で28単位)
経済学部 
 総合教育科目 統計学 4単位
 専門課程 経済原論(ミクロ経済学)、経済原論(マクロ経済学)、経済政策学、経済史、財政論、経営学、金融論 17単位
法学部
 甲 憲法、民法総論、刑法総論 10単位
 乙 憲法、政治学 10単位

 さすがに法学部で憲法を勉強しない、ってこともないし、経済学部で経済学(ミクロ・マクロ)の単位を取らずに卒業ってのも無理。
 でも、文学部については1~3類に共通した必修科目というのはない。バラバラなのだ。自由と言えば自由で、逆に経済学部は必修科目が多く自由度が低いとも言えるし、学生同士の共通の話題が多いというのがある。だから、
「ラーメンってのは価格弾力性が案外大きいんだよ」
みたいな会話がされてる? いや、わからないが。
 まあ、統計学のレポートが大変とか、マクロ経済、ミクロ経済ともに苦戦みたいな話題はよく見る。

 法学部も、自衛隊違憲訴訟とか尊属殺重罰規定の違憲判決とかそういうのを憲法学で大抵くぐるはずで(尊属殺人の判例はみなトラウマに…)、共通の話題がある。
 なのだけど、文学部はそういう共通の話題は無いんだよねえ。

1.3.人数順1。経済学と言う大所帯、文1という雑多な集団、法甲という王道

https://www.tsushin.keio.ac.jp/about/data.html 
 慶應通信のサイトを元に、6分類で2022年度の数字を人数の多い順に並べると、

経済学部 236人、文1 142人、法甲 114人、文3 57人、法乙 37人、文2 25人

という順になる。以下、順に述べる。

 大所帯はやっぱり経済学部、看板学部なだけある。ビジネス寄りとも言えるし、起業がどう、ビジネスがどう、といった話題をする人も多い印象。SNS(X・旧ツイッター)でもプロフィール欄の立てつけが違う。
 もっと人脈広げていきましょう! なお、科目としては通学課程の商学部もプラスされた形になっている。繰り返すが、必修科目の統計学が大変らしい。

 文1は雑多。学位としては、学士(哲学、美学、人間関係学、図書館・情報学)の4種類だが、専攻領域としては美学の美学美術史、図書館・情報学、哲学は哲学、倫理学、人間関係学は社会学、心理学、教育学、人間科学、に分かれる。人文学から社会科学と幅があるのだ。
(追記:通学課程の文学部だと、5学系17専攻(+2部門)。そのうち
1.哲学系:哲学、倫理学、美学美術史学
2.図書館・情報学系:図書館・情報学
3.人間関係学系:社会学、心理学、教育学、人間科学
の3学系に対応。
4.史学系が文2、
5.文学系が文3)

 人文学の一つの極と言えるのが哲学で、社会科学の極が社会学だろうか? いや、図書館・情報学だろうか。それとも教育学? そんなに詳しくないが、毛色が結構違うような。
 独断と偏見を持って述べると、哲学専攻(西欧哲学とか)の人はひねくれている。世界の在り方に疑問を抱いて、その真理を探究するみたいな? 逆に、教育学専攻の人は教師だったり、塾講師だったりで(学士入学なら)、まあ教育者ってのも特有の雰囲気がある。

 あと案外、英語をメインにする人も多い。何かの学問に興味があるというよりも、英語に興味がある―――いや、英語自体が学問で、英語という言語を探求する学問もあるし、極めるのも簡単なわけではないのだが、文1だけでなく文3(英米文学)も含め文学部については「英語クラスタ」が集まっている印象。TOEIC900点とか、英語教育関連の仕事とか。

 雑に語るなら、哲学徒と英語教師(学士入学)だと、だいぶ違うと。人間的にも、方向性としても。

 法甲は、法学部法学科ということで王道。まあ将来的には弁護士か公務員試験、会社の法務部って感じか? あるいは既に在籍中か。まあ憲法、民法、商法、刑法、民訴、刑訴の六法がメインか。司法試験なんかもそのあたりが中心だし(必須は憲法、民法総論、刑法総論)。

1.4.人数順2。数が少ない上に幅のある文3、法乙(政治)、文2(歴史)

 文3 57人、法乙 37人、文2 25人

 文3は、国文学、中国文学、英米文学、仏文学、独文学といった具合に専攻がさらに分かれる。
 なので、「平安文学がやりたいんです!」(国文学)って人と、「ゲーテのファウストをドイツ語で読んでいく」(独文)という人と、取って行く科目も違ってくるし、同じ学部でも1科目も被らない可能性もある。
 じゃあお前はどうなんだ、と言われると、仏文・英米文・国文学(近世、近代)あたりの科目を取る予定で、中国文学まで手が回らないかな、という感じ。仏文好きだが、フランス語やる余裕はないので英語。文3についてはあとでもうちょっと述べる。

 法乙は、アメリカ政治に興味があるとか、戦後の政党史について~、とかそんな感じか。たとえば、NATOとか国連とか、そういうのは文学部はもちろん、経済学でもやらないし、六法がメインの法甲でもやらない(法甲だと国際法は必須科目ではないしね)。法乙(政治学)の領域は絶妙に法甲と違う。他にも地方行政とかもか。

 文2は日本史、東洋史、西洋史、民俗学・考古学と分かれているが、これも「ロシア革命について探求したい」って人と、「インディージョーンズとか好きで」って人で違う? (文2については、だいぶ解像度が低い)

2.学部内の違い

2.1.法甲と法乙の違い

 繰り返しになるが、法甲は六法を勉強する。そして、六法というのは、憲法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法、の6つ。
 たとえばX(旧ツイッター)で名誉棄損とかそういった問題は、わりと法甲の学問領域に合致する。「法クラ」みたいなところだ。この場合は民法と民訴、場合によっては刑法と刑訴(侮辱罪)。憲法も「表現の自由」で関係するか。
 なお、この六法をちゃんと理解したら弁護士だし、行政法を加えれば公務員試験がOK。

 と、ここまでで出ていないのが「国際」というところ。そう、法学部法学科って、あんまりインターナショナルじゃない。「国際法」「国際私法」という科目はあるが卒業に必須ではない。だから、
「国際刑事裁判所がプーチン大統領に逮捕状」
といったニュースでも、あんまりわからない法学部卒の人は多いはず。もっと言えば弁護士なんかでもわかっていない人は多いんじゃない? まあ、六法だけでも大変なので仕方ないのかもしれないが、国際関係でずれた発言する法曹関係者がいたとして、それは端的に知識不足、勉強不足?
(雑に語ると、日本国内は司法警察がほぼ全てを掌握しているが、世界全体では世界警察みたいなのはないから、国際刑事裁判所が何か言っても非加盟国にとってはそんな痛くもないとか、そういう感覚は「リーガルマインド」とはちょっと違うかも)

 で、法乙。たとえば、戦後の日韓関係についてとか、日米関係とかについて探求したいならここだろう、たぶん。
 国際司法裁判所と国際刑事裁判所の違い、アメリカ政治史、日本の外交まわり、「自由で開かれたアジア太平洋」とか? 戦後の自民党史? 慶應で政治学者というと、テレビにもよく出ていた故・中山俊宏教授(アメリカ政治)が思い浮かぶのだが、法学と政治学というのは対象領域が結構違う。

 民法や刑法といった国内法の科目が必修ではなく、憲法が必修なのが法乙の特徴。法甲(法学部法学科)はやはり国内の裁判所というのを注視する。判例(裁判所の判決文と解説)をどんどん読む。対して、法乙(政治学科)はその他(国内の内閣や国会、海外、国際的な組織)を注視する、そんな感じか。

2.2.文学部内でシミュレート

 同じ文学部で、1つも科目が被らずに卒業は可能か、というので簡単にシミュレートしてみる。結論から言えば可能っぽい。
※総合教育科目はいったん無視。また、スクーリングは無視でテキスト科目のみで構成

ケース1:文3仏文専攻
必修外国語 フランス語
専門教育科目(68単位)(専攻の類で28単位必修)
文3:フランス文学史1、フランス文学史2、フランス文学概説、中世英文学史、近世英文学史、現代英文学、英文学特殊、英語史、アメリカ文学、近代ドイツ小説、ロシア文学、近代日本文学、イギリス文学研究1~3、アメリカ文学研究1~2、シェイクスピア研究、近代ドイツ演劇、ラテン文学というので西欧文学ばっかで44単位。
文1:西洋哲学史1、西洋哲学史2、科学哲学で12単位
文2:世界史概説、西洋史概説1、西洋史概説2、西洋史特殊1,2,3で12単位

ケース2:文1教育学専攻
必修外国語 英語
専門教育科目(68単位)(専攻の類で28単位必修)
文1:国文学、心理学A、心理学B、教育学、教育思想史、教育心理学、教育史、教育社会学、社会心理学、心理・教育統計学 ここまでで28単位
文2:日本史など?
文3:国文学、日本語学とか

2.3.文学部3類の中でシミュレート

 じゃあ、同じ文3でまったく科目が被ることなく卒業というのはあり得るのか。

ケース3:独文+西欧愛

ケース4:日本の古典愛+楽そうな単位

と、考えたが、なんか行けそうではある。
(そのうちシミュレートします。まあ、文3で意外と科目について共通の話題がないってのを示したいだけ)

2.4.まとめ:文学部の多様さ

 経済学部は必修が多い。法学部なら、少なくとも憲法は勉強する。それで最低限の共通の話題がある。しかし、文学部はない。多様さというのは、まとまりのなさとも言える… 

3.普通課程、特別課程、学士入学

 慶應通信としてX(旧ツイッター)始めてみて(趣味垢の流用)、しばらくして気付いたのが、すぐに専門科目に入る学士入学と、しばらく教養科目の普通課程や特別課程だと「情報共有」しても意味がないというか――意味がないは言い過ぎにしても、やる科目のタイミングのズレが大きいということだ。

 ここまで言ってきたように、学部ごと、そして文学部内でも類ごとのずれというのは多い。同じ文3でも、松尾芭蕉の研究やりたい人とフランス現代文学(ミシェル・ウェルベックとか)が好きな人で、会話が噛み合うかというと微妙だ。
(折り合うとしてスタンダールあたりか? フロベールなんかも案外行けるか、あるいは井原西鶴あたり? 案外、吉本ばななで分かり合える??)

 まあ、大きな目標(卒業)に対して、単位をとっていくその労苦を共有する、という意味では何かしら共有できるものはあるわけだが、文学(文芸)ということだと共通の話題はあんまりないかもしれない。
(繰り返すが、このあたり経済学や法学との違いは大きい)

4.多様な年齢構成? 社会人学生は多い?

4.1.年齢構成雑に

 結論から言えば、入学者は10代20代が半数近くいて、そのうち18~22歳が全体の3割で最大勢力だ。つまりフルタイムで働く「社会人」学生ではなく、高校卒業してすぐだろう学生が一番多いのだ。そして、SNS(X・旧ツイッター)だとこの層が一番多く(5~7割くらい?)、動きも活発というという印象。
 なので、「社会人学生が多い中で19歳の自分は浮かないか?」みたいに心配する必要はない。むしろ一番人数が多いのだ。

20代までは小刻みだけど、18~22歳が一番多い。

 円グラフにしてみるとこんなところ。10代20代で45%と半数近い。むしろ定年後に60代から入学みたいな層がマイノリティだと。

 SNS(X・旧ツイッター)だと高校卒業してすぐ通信大学という人も多い印象。ただ、高校→通信大学が増えたというのはここ数年の傾向という話も。

 だからなのか、在学生になるとまた違った結果になる。フローとしては20代までが最多で45%を占めるが、ストックとしては23%まで減る。


 あとは、SNS(ツイッター)をやる人ということだと、なんだかんだ若い人が多い(もちろん60代だろうと使いこなす人はいる)。
 このあたり、SNS上では必ずしも「社会人学生」が多いとも感じずーーいや、正確には、社会人経験のない専業の学生が思ったより多い、という印象だった。

4.2.2周目?3周目?

 たとえば一度読んだ小説や見た映画、クリアしたRPG(ロールプレイングゲーム)をもう一度初めから繰り返す、ということはあるだろう。二周目ということだ。
 あまり小説や映画だとそういう言い方はしない? 主にゲームかな? まあそれはいいとして、法学部を卒業して経済学部に入学、逆に経済学部卒業から法学部入学、という2周目の方が結構多い。中には3周目の人もいるっぽい。なぜか文学部は最後が多いみたいだが。

 ただ、文学部の中でも文1ですね。文2、文3はちょっと毛色が違う印象ということか。まあ、法学や経済学は社会科学で、その狭い範囲で色々と探求していくもので、文1は隣接領域とも言えるか。

4.3「慶應」への憧れの大小

 私はそんなにないほうだけど、グッズを買うとか、特に用事なくても「聖地」の三田への巡礼みたいな行動があったり。どちらかというと私は冷めていて、慶應だからちゃんとした教育が受けられるのだろう、という期待で入学したまでで、そのテンションの違いにちょい戸惑いはあった。もともとグッズとかあまり買わないタイプでもあるか。スポーツでもアニメでもなんでも。

5.まとめ

 これまで述べてきた通りで、慶應通信の塾生(学生)は雑多で、それこそ「学生」と言うか「塾生」と言うかも、人によって違う。貴方がどんな属性――年齢、職業、性別、学歴――かはわからないのだけど、他人と感覚が違うと感じたとして、特にSNSではわりと普通のことのはず。
 けれども、まあ、属性もだけど全然勉強する内容が違っても、レポートが不合格とか試験でD判定とか、逆にSとか、スクーリングが楽しみとか、そういうところの苦楽は同じ学生(塾生)という立場なら共有できるものがあるはず、うん。

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