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助詞の入れ替え


👇俳句についての記事をまとめてあります。
随時追記あり。ご参考になれば幸いです。
(´>∀<`)ゝ

品詞分類表


◆◆◆

助詞についての記事は、こちらのマガジンにまとめました🙌


さて、今回は助詞を入れ替えるとどうなるか?
色々やってみたいと思います🙌


助詞の入れ替えの例によく使われる句がこちら
👇

米洗う前〇蛍の二つ三つ

〇に入る助詞によって、蛍の様子が変わってきます。

【米洗う前蛍の二つ三つ】
「に」は存在している場所です。その場所に既にいます。蛍は動いていません。

【米洗う前蛍の二つ三つ】
「を」は動作の経過する場所や空間。蛍は動いています。

【米洗う前蛍の二つ三つ】
「へ」は動作が行われる方向です。その方向へ向かって行きます。蛍が前へ飛んできます。

【米洗う前蛍の二つ三つ】
「や」は詠嘆。「や」の前の語を強調して、場面が切り替わります。


次の例句です。住吉は地名です。

住吉に住みなす空〇花火かな   波多野爽波

【住吉に住みなす空花火かな】
「空の花火」と迷いなく読めます。最も一般的な形です。「の」は限定。前の言葉が後の言葉を限定します。

【住吉に住みなす空花火かな】
「私は長年住吉に住んでいた」「その空に花火が上がっている」住吉と花火の間に時間の経過が読み取れます。

【住吉に住みなす空花火かな】
空=花火。作者にとって空とは花火のこと。
こちらが元句です。

【住吉に住みなす空大花火】
切れが入り俳句らしい形です。


次は問題です。
【魚の目〇泪】
〇には何が入るでしょう?ヒントは「鳥啼き」です。

行く春や鳥啼き魚の目〇なみだ    松尾芭蕉

【行く春や鳥啼き魚の目泪】
泪は頬を伝っているかもしれないし、顎から垂れていているかもしれない。

【行く春や鳥啼き魚の目泪】
「に」は場所を表すので、泪は目の中に留まっています。

【行く春や鳥啼き魚の目泪】
「を」は経過していく時間や場所。じわじわ目に泪が溢れてきます。

【行く春や鳥啼き魚の目泪】
「は」は、いくつかあるものから限定して強調します。散文的になるおそれがありますが上手く使えば効果的です。
こちらが正解です。
啼き
魚の目泪、です。


最後に、超有名な句です。

五月雨や大河を前に家二軒   蕪村

名詞と助詞のみで完成している句。
こちらの助詞を全て「の」にしてみると・・・

【五月雨や大河家二軒】

うーん。
「の」は上の言葉が下の言葉を条件づける助詞なので、すべてが繋がってしまい、のっぺりした印象に・・・。

【五月雨や大河家二軒】

「大河の前」は家の説明になってます。主役は「家二軒」になりますね。

【五月雨や大河家二軒】

こちらが元句。
「大河」が主役になっています。
「大河を前に」とすることで、「家二軒」の頼りなさを表現しています。
ごうごうと流れる大河。水かさが増し、荒れ狂っている大河が見えてきました。その大河を前に、小さな頼りない家二軒。寄り添うようにブルブル震えているようにも見えてきちゃいます。

助詞だけで、こんなに変わるなんて!∑(๑ºдº๑)!!
助詞の扱い要注意です🖐

「の」は使いやすいのですが、使い過ぎるとしつこく感じられるので、私は「一句に〈の〉は二つまで」と心掛けています。
「の」と「に」は置き換えられますので、試してみて下さい。
スマホの傷・・・傷があるのを前から知っている。
スマホに傷・・・傷があることに今気付いた。


ではでは
読んでいただきありがとうございました。┏○ペコッ


袋小路 綴乃ふくろこうじ とじの



参考資料:
今回の記事は、夏井いつき先生のYouTubeチャンネルや下記の記事を参考にさせていただきました。

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