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フィンランドのカレワラとリョンロット

殊にフィンランドにおいては「カレワラ」は画家や作曲家やその他の芸術家らの豊富な資源となった。そして将来もなるであろう。
── G. J. ラムステッド

カレワラ「序」講談社学術文庫より

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フィンランドの国民的叙事詩『カレワラ』をご存知ですか?

フィンランドの神話、伝説、民話、それとも昔話? 叙事詩というものがよくわからないので、とても難しそう。調べてみると「叙事詩」というのは、物事や出来事を題材にした長い韻文のことをいうそうです。

ぼんやりと琵琶法師のうたう『平家物語』のようなものをイメージします。きっとフィンランドの人たちもカンテレ(フィンランドの民族楽器)を奏でながら、『カレワラ』をうたっていたのではないでしょうか。

2024年4月には「19世紀において最も影響力をもった叙事詩」として、欧州委員会よりヨーロッパ文化遺産に認定されました(YLE)。

ここですこし『カレワラ』についてご紹介したいと思います。

フィンランド各地に伝わる民間伝承の詩を集めた『カレワラ』は、医師エリアス・リョンロットによって編纂されました。

1835年2月28日に『Kalevala taikka vanhoja Karjalan runoja Suomen kansan muinosista ajoista|カレワラまたはフィンランド民族に代々伝わる太古のカレリアの詩』として出版。これを『古カレワラ』と呼びます。

その増補版として1849年に出版されたのが、現在一般に認識されている『新カレワラ』。全50章 22,795行からなる詩集です。

ちなみに今回、解説を読んで驚いたことがあります。それは編者であるリョンロットの創作が一部あるということ。それは全体の5%ほどあると考えられています(結構多い、笑)。

ところでこの『カレワラ』をフィンランド語で書くと『Kalevala』。普通に読むと「カレヴァラ」でしょうか。また Elias Lönnrot という名もリョンロットではなく「リョンロート」と表記されることが多いようです。外国語の表記というのもなかなか難しいものがあります。

とりあえずここでは『カレワラ』。そして岩波文庫版でも講談社学術文庫版でも「リョンロット」とされているので「リョンロット」を採用したいと思います。

今回なぜ『カレワラ』について書こうと思ったかというと、フィンランドの芸術家や建築家などを調べているうち、その多くが『カレワラ』の影響を受けていることを知ったからです。

『カレワラ』を読むことで、もっと彼らのこと、そしてフィンランドのことを理解することができるのではないかと考えました。とはいえ、ひとりでは読破できそうもないので、こうしてみなさんに紹介するかたちで書いていくことにしました。

どうぞ『カレワラ』の世界を一緒に歩いてみませんか?

参考図書
『フィンランド叙事詩 カレワラ』岩波文庫
 エリアス リョンロット著/小泉 保訳

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