TTS17レポート 平和を考え, 感じるReading&Creating WS ~詩や小説を読んで問いや想いを表現してみよう!~
今回は問い立てラボではなく,「問い立てスクール」のイベントになります。問い立てクリエーター(学生スタッフ)が学びたいこと,ワクワクすることを挑戦する場が「問い立てスクール」です。
元演劇部だった教育学部の大学生のShinjiくんの発案で今回のイベントを企画運営しました。テーマは「演劇×教育」です。今回は,演劇の要素を取り入れた,朗読&表現を行いました。扱う作品はこちら↓ (時間の関係上,原民喜さん『夏の花』だけとなりました。)
イベントの流れはこちら↓
First Reading ~初見で「感じたままに」読んでみよう~
参加者8名で,ひとり一人音読しました。8人とも読み方,スピード,強弱が異なり,聞いているときもこの詩を考え,感じる貴重な時間となりました。
First Reading 後の問いや気づきを共有
・カタカナ読みにくい。
・絵が思い浮かぶ詩だ。
・ひらがなと比較したら面白いかも。
・なぜ馬が出てくるのか?この時代に広島の町に馬が走っていたの?
・「スベテアッタコトカ,アリエタコトナノカ」だけ「主観」で述べている。その他は客観視したものを述べている。
・なぜ「ブスブス」という表現なのか?その他にどんな表現する?
・「ブスブス」が高温で溶け始める感じ。
・作者の気持ちがよくわかる詩
2nd Reading 改めて考えたこと,感じたことをReadingで表現してみよう。
8名全員でもう一度,同じ文章を音読していました。明らかに読み方が1回目と異なることに気づきます。
【2nd Reading 後の気づき・感想】
・主観の部分に気持ちを乗せる
・(表現がリアルになっていく)素直に読めなくなる
・経験を残そうとする思い
・ブスブスなどの表現方法を考えながら
・悲しい気持ちが出てくる
・描写するなら黒い感じ
・作者の心情
・文字で受ける印象
・多様な読み方
ここで山﨑が勝手に日常風に文字(下側)におきかえてみました。印象はどうですか?原民喜さんがカタカナにした意図や,言葉のチョイスに感心してしまいます。
Creation Time ~Readingして感じたことを「絵」か「文章」で表現しよう~
これまでの感じたことを表現してみました。絵が苦手は人は文字でも表現しました。
最後のものは,山﨑の表現です。「喪」で目が点になっている様子,「失」で失っている様子,「感」では心がしぼんで消えてしまう様子を表現してみました。
いざ自分が表現をしてみると,原民喜さんのような少ない文字で,リアルを表現する技術を痛感しました。
終わりに・・・
これだけでほぼ2h経過しました。本当は2つ目の作品も扱いたかったのですが。あっという間でした。山﨑のまとめは2つです。
(1)「演劇の手法を取り入れたReading」で「感性」を刺激する学びができることです。このわずか9行の詩で,これほど想像力を働かせ,当時をリアルに感じることができました。この「感性」を刺激する学びが学校教育には足りていないと思います。社会見学や修学旅行や探究学習等で現場に行って本物を見て感じる「感性」もあれば,一つの作品を演じて感じる「感性」も教室で協働で学べる素晴らしいコンテンツだと思います。また,どの教科でも近いことができそうな可能性を感じました。
私は演劇を見ないし,経験したこともほとんどありません。今回のワークは演技力が必要なのではなく,少し自分なりに気持ちをいれて読む,ただそれだけです。一人参加者の演劇経験のある学生に「演劇の魅力って何?」の答えが印象的でした。その方は,
「演劇の魅力は,その人の生き方を感じることができること」(山﨑の解釈あるかも)
と言っていました。
(2)「わずか9行」で豊かな学びができることです。我々教員はどうしても教科書の内容をカバーしようとあれもこれも与えてしまいがちです。このひとつの文章や事象をじっとみつめ,問いを出し合い,想像し合い,表現し合うだけで,その周辺知識を知りたくなり,他教科も横断したり,自分ごとになることを我々教師は体験すべきだと思います。
そして,もう一つ印象的なことは,参加者の感想の多くに,「原民喜さんが,・・・」という言葉が多かったことです。どうやら,参加者の多くが作品をみるのではなく,作者の心情,生き方,人間性をよみとろうとしていたことです。芸術や文学や科学を学ぶときは,その作品や事象ではなくて,人の生き方,あり様を学ぶことが自然であり,大切なのかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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