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初心者向け確定拠出年金の【メリット3選】

会社に入社した際に「確定拠出年金」というワードを聞いたことがないでしょうか。この記事では確定拠出年金とは何か、この制度に加入することで得られるメリットは何かを解説します。

この記事を読むことで、今から始める人はもちろん、既に始めている人にとっても有益な情報を得ることができます。

結論としては、以下の3つがメリットになります。

メリット① 給与にかかる税金の負担軽減
メリット② 運用により得られる利益が非課税
メリット③ 受取方法で享受できる税控除

一つにまとめて言えば「税制優遇」になりますが、そこから大きく3つに分けて解説します。

確定拠出年金とは「年金の積立投資」

確定拠出年金とは、まとめて退職時に年金を現金でドサッともらわずに、毎月一定額を投資し、積み立てられた金額と運用益の合計を60歳以降受け取るという仕組みです。

そもそもなぜこのような年金の受け渡し方法を導入する企業が増えてきたのでしょうか。

確定拠出年金制度の導入背景として2つ挙げられます。

公的年金の観点

給付水準と支給開始年齢の引き下げが進んでいること。

雇用環境の観点

終身雇用制度による退職金としての給付(会社側での積立)が会社側の負担であったこと。加えて昨今は雇用の流動化や能力主義、政府の投資を推進(貯蓄から投資へ)する動きもあること。

確定拠出年金は企業型年金とも呼ばれており、類似の意味で使われる個人型年金というのがiDeCoになります。また、企業型年金の中でも更に分かれており、「事業主掛金」と「加入者掛金」に分かれます。

違いは以下の通りです。

事業主掛金

会社が会社の規定・規約に基づいて決めた金額

加入者掛金

「事業主掛金」に上乗せして拠出できる金額 「マッチング拠出」とも言う

では、ここまでの情報をもとに実際の手続きの流れを全体を通してみていきます。

実際の流れ

【拠出編】
①所属する会社が「確定拠出年金制度」を導入していれば会社に申込
②拠出額(毎月いくら掛け金として出すか)を決める
③運用管理機関で使用するIDやパスワードの登録
④運用管理機関で選択できる商品を選択
※会社が提携している運用管理機関以外は選択できませんのでご注意を。
⑤実際に給与明細で拠出(給与天引き)されていることを確認
【運用編】
⑥自分の投資スタイルに合わせて運用
【受取編】
⑦60歳になった時、一括で受け取るのか、取り崩して受け取るのか考える(出口戦略と呼ばれているものです)

メリット① 給与にかかる税金の負担軽減

確定拠出年金制度が採用される理由としては、税制の優遇が挙げられます。その一つが掛け金に対して非課税であることです。

通常、所得(給与)は税金や社会保険料などが差し引かれて「手取り」として銀行口座に振り込まれます(この手取りのことを可処分所得という言い方をします)。

例えば、NISAや個別の投資を行なう場合は、この手取りで一旦収入を得てから投資を行うため、こと所得時における税制対策という観点では恩恵を得ることはできません。

確定拠出年金の拠出のタイミングは手取りでもらう前になります。そのため、拠出した金額については税金がかからないということになります。

仮に10,000円を拠出した場合と、給与としてそのまま現金でもらう場合で比較すると、拠出した場合の方が1ヶ月あたり約2,000円程度の税金削減効果を得ることができます。(所得税住民税をそれぞれ10%で仮定)

これを続けると1年で約24,000円、30年で720,000円の税金削減効果が得られます。

長期的に続けることが最大限メリットを享受できるポイントになります。

メリット② 運用により得られる利益が非課税

二つ目のメリットは運用益に対しても税金がかからないことです。

通常、確定拠出年金やNISAなど税制優遇の制度を使わずに投資を行なう場合、その運用結果で得られた利益には所得税15%、住民税5%、合計20%の課税がなされます。

例えば、100万円の拠出額(投資額)に対して10万円の利益が出ていたとします(総資産としては110万円になります)。

通常であればこの利益10万円に対して20%の税金がかかるため、10万円×20%=2万円が税金としてかかってしまい実際に得られる利益は8万円になってしまいます。

確定拠出年金ではこの税金がかからず利益10万円がそのまま得ることができるため大きなメリットの一つと言えます。

メリット③ 受取方法で享受できる税控除

三つ目のメリットは60歳以降で受け取る際の方法によって税金の控除が受けられます。

一時金(まとめて)として受け取る場合と年金(分割して)として受け取る場合の2パターンあります。

一時金(まとめて)として受け取る場合

「退職所得控除」という控除に該当します。
退職所得控除は、退職金にかかる所得税の一定額を控除するものです。

20年以上積み立てて、受取時に確定拠出年金以外の退職金の受取が無い場合は1,500万円まで非課税として受け取ることができます。

この金額を超えた場合でも、控除後の課税所得となる金額が1/2となり、ここでも優遇を受けることができます。

年金(分割して)として受け取る場合

「公的年金等控除」という控除に該当します。
こちらは公的年金との合算で控除を受ける対象となるため、受取時の年齢やその時点での所得に応じてどの程度税制優遇されるかが決まります。

他の公的年金と合算であることで課税が多い状況になることもありますが、一時金とも併用することができるため自分なりに検証を重ねてみるのもよいですね。

デメリット3選

最後にデメリットを3つ挙げます。

①投資のリスク

確定拠出年金は年金とは名前が付くものの中身は投資信託になります。
拠出した金額に対して、運用結果がそれを下回る可能性もあるためこのリスクを負う必要があります。

②運用管理機関は自分で選べない

運用管理機関を選択するのは会社側になります。
会社が選んだ運用管理機関で選択できる商品の中でうまく運用を進める必要があります。

③受取は60歳以降

途中で取り崩すことはできません。
60歳以降になり受け取る方法を選択して受け取ることが可能になります。

税制優遇があるとはいえ、自身の生活費までつぎ込むと「今」の生活を楽しむことができなくなります。
自分の生活にあった掛金での拠出をしましょう。

加入者が掛け金を上乗せして追加で拠出することができる「マッチング拠出」は会社によっては採用しているところもあります。

実際に私も確定拠出年金制度を利用していますが、将来必要なお金を積み上げているのと同時に税制面においてもかなり優れていると感じています。

ふるさと納税やNISAなども政府が推進している税制優遇の施策になりますが、これらをまとめて実施することでその恩恵も将来的には計り知れないものになるのではないでしょうか。

学生は就職活動にあたっての検討ポイントの一つとして、また転職を考えている人は転職先の選択肢の一つとして、既に制度を利用している人は改めて運用を見直してみるのはいかがでしょうか。

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