ミナペルホネン /皆川明 つづく
ミナペルホネンというブランドのことは知っていた。
皆川さんが素敵なテキスタイルを生み出すデザイナーということや、服やバッグを見かけては素敵だな、でも結構高いし、私の体型では着こなせないだろうな、と思っていた程度だけど。
ミナペルホネンのアイテムを手に入れたことはなかったし、お店を訪れたこともなかった。
一度、東京で「call」に行ってみたくて目指してみたことはあったけれど、土地勘がないせいで辿り着けなかった。
縁がなかったのでしょうか。
先日友人に誘われて、皆川明さんの「つづく」展を見に行った。展示してある美術館の立地や雰囲気が好きで、「少し気になる」程度の展示でも足を運べるお気に入りの場所だ。
かわいい、素敵なファブリックがたくさん展示してあるのだろうから、きっと目で見て楽しいに違いない、と当日まで思っていた。
実際、展示は素晴らしいものだった。
これまでに発表されたお洋服が展示室の360°に飾られていたり、展示の入り口にはクッションカバーがずらりと並んでいるのは圧巻としか言いようがなかった。
そして、そのひとつひとつのテキスタイルに込められたコンセプトやストーリーを、原画で見せてくれる。
様々な手法で繰り出されるテキスタイルデザインはとても興味深かった。
色紙を細かく切って散りばめたデザインでは、そのひとつひとつの重なりを布に忠実に再現するように指示が書き込まれていて、ここまでのこだわりを持った繊細な仕事だから多くの人が魅了されるのだなぁと感心した。
ものづくりをしている人、デザインを生業にしている人はより深くこの展示が刺さったんじゃないかな、て思いました。
私がこの展示で最も心惹かれたのは皆川さんが紡ぐ「言葉」だった。
デザイナーというと、右脳の感覚に優れた人間という勝手なイメージがあって、言葉を紡ぐというイメージと重なり合わなかったのだけど、
ミナペルホネンのお洋服は、デザインのコンセプトも考えて作り込まれているのが多くて、これまで抱いていた「デザイナー」のイメージが良い意味で裏切られた。
思えばデザイナーって、アーティストとは違うのだから、きちんと目的やコンセプトを持ったものづくりが求められるわけで、当然といえば当然なのかもしれないけど。
ミナペルホネンのファブリックに絵画的な要素も感じていた事もあって、なんだか意外に感じられたのかもしれない。
スケッチに混ざって、ノートにメモ書きみたいにされた言葉にも含蓄があって、すっかり惹き込まれた。詩的な言葉だな、と思っていたら詩も書かれているんだそうだ。
すごい人だな。
詩的な言葉に混ざって、ものすごく思考的なメモ書きもある。
頭の中の断片をのぞかせてもらっている気がして、ものすごく興味深かった。
私も日々、やらないといけないことや欲しい物、思いついたことをメモに書き連ねる癖があるんだけど、見返すのも時間がもったいないくらいうっすいうっすい内容しか書いていないので、
メモ書き一つにも人間としての厚みの差を見せつけられたようです。
つづく 展で私が一番引き込まれたのは
「平常心」というタイトルで書かれたノートのページです。
心に正直であること
怒るもまた心に正直であること
悲しむもまた心に正直であること
「仕事」って結局の所一人ではできなくて、人と人とのかかわり合いだと思うのでそこを乗り越える、というか自分なりの処世術を身につけることも大切なんだろうな、ってこれに続く言葉を読みながら思いました。
人と人との関わり合いは、仕事だけではないけどね。
この時の展示で皆川さんの言葉に出会い、興味をもったので、
見終わったあと皆川さん関連の書籍をいくつか読んでみることにしました。
まずは9月に出版されたばかりの
Hello!work 僕らの仕事のつくり方、つづき方
読んだとりとめのない感想も、また書けたらなと思います。
最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。
toimo
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