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正直さに欠けると気づいたら切り替える(C-015 2018.08.14)

2018年7月の西日本豪雨。断水被害が長期化した場所の一つである広島県呉市川尻地区を訪れた時の話のつづきです。一週間前の正直でない自分のあり方に気づき、それを告白しています。

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この記事は、メールマガジン【前進の軌跡】(2018年8月14日配信)の転載です。

呉市川尻町を訪問しました(つづき)

暑い。とにかく暑い。「暑いですね~」という挨拶をこれほどした夏は43年の人生で記憶にありません。2007年に猛暑日が定義されたときは驚きましたが、35度なんてなんだかもう当たり前ですね。

体調は万全ですか? 私は昨晩ぐっすり眠れスッキリと目覚めました。自然の中で生きるには、逆らわず順応することが大切ですね。

今日のコンテンツは、呉市川尻町での話の第2弾。
正直な気持ちです。

ついつい出てくる自分の本音

前号で冒頭に「悩みながら選んだ話」と書きましたが、格好つけてました。本当は「選んだ」のではなく「ためらった」だけ。後から読み返して、正直ではない自分に気づきました。

川尻町で挫折感を味わいました。
携帯トイレは選ばれませんでした。

中原祐美さんらお尻愛プロジェクトのメンバーと一緒に水や携帯トイレを届けたお宅を再訪しました。高齢者の方、5人。2人は大満足。3人は1回使用しただけでした。「本当に助かった。こんなにいいものがあるとは知らなかった」と、使い続けた方は嬉しそうに教えてくれました。応急給水で運ばれた水は浴槽に溜められます。お風呂からトイレに水を運ぶのが大変だったそうです。

片や使わないことを選んだ方は、
● 汚物を触りたくない
● 面倒
● やってみたけどできなかった
など、こちらも正直な感想を聞かせてくれました。

これまでも分かっていたことではありました。全員に選ばれる方法ではない、と。一ヶ月近い断水で、不便を強いられているなか、一回使用した方の「使わない」という選択。「やっぱりか」という言葉だけでは表現できない複雑な気持ちが胸の中をグルグルまわりました。

この気持ちは何だろう。

「排せつの選択肢に携帯トイレを加えませんか」と提案し続けています。実際に今回の5人の方は選択肢が増えました。うち2人は携帯トイレを選び、3人は選ばなかった。ただそれだけです。5人がそれぞれに不便な状況に順応しました。1人として「快適」になったわけではありません。

自分のしていることを認めて欲しい。
自分のやったことで喜んでもらいたい。
挫折感は、それが叶わなかった結果でした。

選択肢が増えることの価値をわかっていなかったのは、他ならぬ私でした。排せつに自由であること、生きること。これが活動の目的です。全員が携帯トイレを使うことではないし、喜んでもらうことではありません。
選択肢が増えることの価値を実証できたこと。ついつい出てくる自分の本音に気づいたこと。これが今回の最大の収穫でした。

自らも被災者でありながらボランティアに奔走したお尻愛プロジェクトの皆さん。夜中に携帯トイレを運んでくれた福山の伊勢本さん。トイレの備えを見つけてくれた東広島の三宅さん。声を聞かせてくれた被災者の皆さん。ありがとうございました。

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◇今回の気づき
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ついつい出てくる自分の本音
大切なのはそれに気づいて切り替えること

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この記事は、メールマガジン【前進の軌跡】(vol.015  2018年8月14日配信)のコンテンツ部の転載です。(タイトルの"C"は、"Content"の頭文字)
あきらかな誤字・脱字を除き、当時の文章をそのまま「軌跡」として残します。

この日の「編集後記」はこちら。


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