見出し画像

真剣さと正直さを足した日(C-010 2018.07.10)

2018年7月、西日本で豪雨災害が発生。これは発災4日後の7月10日に書いた記事です。悔しさ、やるせなさなど、当時感じた「強い気持ち」で溢れてます。心から相手のこと、大切な人のこと、この国のことを思い、真剣さと正直さというあり方を、この時自分に足しました。今日の気づきは、「真剣さと正直さで伝える」「「生きる」と決める」です。

--------------------
この記事は、メールマガジン【前進の軌跡】(2018年7月10日配信)の転載です。

西日本豪雨、発災

この度の西日本豪雨(平成30年7月豪雨)により亡なられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、全ての被災者の皆様方に対しお見舞いを申し上げます。

西日本豪雨による被害者の数は増え続け、13府県で死者は126人、心肺停止が2人、行方不明は79人(9日22時)と報道されています。死者100人以上を出した豪雨災害は、1983年に島根県を中心に被災した「昭和58年7月豪雨」以来で、平成に入って最悪の被害とのこと。厚生労働省によると、9日18時時点の断水は、広島県呉市の約9万戸、岡山県倉敷市の約1万戸など、計27万戸に及んでいます。

前々号の大阪府北部地震、前号の美濃加茂市断水に続き、3号連続で被災、被害について書くことになるとは考えもしませんでした。福島原発事故調査・検証委員会の畑村洋太郎委員長の

「あり得ることは起こる。あり得ないと思う事も起こる。」

という言葉を思い出します。

今日のコンテンツは、西日本豪雨で感じたことを感じたままに書きます。批判も覚悟の上です。

真剣さと正直さ

死者126人。

7日から日を追うごとに増えていく被害者数に、ショックを受けています。6日夕方からNHKのテレビ放送で動向を見続けました。
「数十年に一度の記録的な大雨」
「重大な危機が差し迫っている」
「土砂災害、浸水害、河川の増水や氾濫に最大級の警戒を」
と気象庁は11府県に特別警報を発表しました。

「こんなの今まで聞いたことない」。夜中までテレビを見続ける私の印象でした。と同時に「そうは言っても、一向に土砂崩れや河川の氾濫の報道はない。きっと大丈夫なのでは」と感じる自分もいました。今考えれば、まさに「正常性バイアス」でした。

事態が一変したのは7日。
正午すぎに帰宅したところでLINEが入りました。

「こちらは水害で大変なことになっています」

広島に住む友人からでした。家屋1階部分が水で浸っている写真が送られてきました。慌ててつけたテレビは各地の被害状況を伝えています。

すぐにその友人に電話。状況を聞きました。早めに避難して本人は無事であることにひと安心。そして次の言葉に耳を疑いました。

「避難"指示"が出ても、避難を迷った」

いやいやいや……「指示」だよ。「勧告」なら迷うのもわかるけど「指示」だから。

これが現実、これが人間。100人を超える尊い命。失ったそのすべての原因を把握してはいません。夜中にかけて被害が拡大したこと。非常放送などが雨で聞こえないこと。理由や課題は山のようにあるでしょう。

それでも3分の1、いや半分以上は、避難によって救われたのではないか。そう思えてなりません。はがゆいです。悔しいです。特別警報も避難指示も、受け取られなければ空しいばかり。無力感を感じました。

かく言う私も「最大級の警戒」というキャスターの言葉を聞かないようにしていた自覚があります。「大丈夫では?」と思っていたのは上述のとおり。対岸の火事だから「なぜ逃げなかった」と言える。自分がその場にいたら、と考えると……まるで他人事ではありません。

これまで私は、備えを伝える立場として「意識は少しずつ浸透し、育まれれば良い」と考えていました。押しつけた時の反発をおそれ、怖がっていました。遠慮していました。

心から相手のこと、大切な人のこと、この国のことを思い、真剣さと正直さというあり方を今、自分に足しました。

今回の被害は防げました。

誰かのせいにせず、自分の責任で選択する。
すべての人のあり方に変化が必要です。

======================
◇今回の気づき
======================

真剣さと正直さで伝える
「生きる」と決める

---------------------------------------------------------------------------
この記事は、メールマガジン【前進の軌跡】(vol.010  2018年7月10日配信)のコンテンツ部の転載です。(タイトルの"C"は、"Content"の頭文字)
あきらかな誤字・脱字を除き、当時の文章をそのまま「軌跡」として残します。

この日の「編集後記」はこちら。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?