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「直球」の大切さに気づいた瞬間(C-006 2018.06.12)

同じ興味を持つ、考え方の近い人たちとの「居心地のいい」交流から一転、翌日はショッピングモールでの啓発活動。思うように興味をひけず、ひるんだ自分がいました。「なぜ興味をもってくれない……」。その時の私の心はどっちを向いていたか? 今日の気づきは、「すべての土台は心のあり方」「直球あっての変化球」です。

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この記事は、メールマガジン【前進の軌跡】(2018年6月12日配信)の転載です。

TEAM防災ジャパンオフラインミーティング

TEAM防災ジャパンオフラインミーティングが6月9日(土)に開催されました。内閣府の佐谷説子参事官をはじめ、全国から130名を超える防災リーダーが名古屋大学減災館に集まりました。

4時間のミーティングの後、お酒を交えての懇親会、2次会と盛り上がり、気づけば9時間近く……。参加者同士が交流、親睦を深め、互いを理解することができました。

私も登壇させて頂いたプレゼンテーションでは、
● 多文化防災、多言語防災
● 学生だからできる被災支援
● 産業防災と市町を越えたBCP(碧南市)
● 災害派遣トイレネットワークプロジェクト
● 観光防災まちづくりの推進(伊豆市)
● コンビナート火災に対応する革新技術(四日市市)
● 防災企業同士の連携、情報共有
● 国民運動の愛知版(愛知県)
● 地区防災計画策定の先進事例(岡崎市)
● 地域防災は「田おこし」(名古屋大学)
と所属、地域、内容のすべてが多岐にわたる11の発表が行われました。

会場には共感が生まれ、ディスカッションを通じて新たな価値の発見につながりました。

で、私の発表はどうだったのか。前号同様、編集後記でお伝えします。今日のコンテンツは、その翌日の「苦戦」から得られた気づきの話です。

心の向きはどっちだ

6月10(日)にイオンモール名古屋茶屋で、携帯トイレの啓発イベントを行いました。

名古屋市港防災センターのPR活動への"付帯"というカタチで、イオンでの出展が実現。当日は名古屋市の職員さん、防災センターのスタッフさんと一緒に活動しました。今回は店舗側の都合により、携帯トイレトレーニングは行わず、パネル展示と説明のみでした。

午前9時。開店とともにイベントがスタート。ほどなくして、来店客が目の前を通過し始めます。

「災害時のトイレの使い方をご案内しています」

こう声掛けするも、朝一番で来店する人は目的がハッキリしているのか、こちらに見向きもしません。開始早々「分の悪さ」を感じとった我々は、すぐに対策をしました。

● パネルを前に出し、通過する来店客に近づける
● 手書きのポップを作成し、掲示する
● 名古屋市港防災センターです、と名乗る

少しはマシかな、と思える程度の効果がありました。しかし足を止める人は増えず、苦戦は続きます。

試行錯誤を繰り返すうち、ひとつの「上手くいくパターン」を発見しました。港防災センターの"シール"を子どもにプレゼントします(シールというだけで、なぜか喜んで受け取ります)。すかさず「3分くらいなので、お話聞いて頂けると嬉しいです」と親にアプローチ。

すると一瞬の間はあるものの、高い確率で「あ、いいですよ」と応じてくれました。受け取ると返したくなる、いわゆる「返報性の法則」が働いているのを感じました。

足を止めてくれさえすれば、最後まで話を聞いてくれ、しかも納得し、満足してくれました。「こんないいことなら、もっとPRしてください」と激励ももらいました。

しかしこの必勝パターン、子連れにしか通用しません。前日と打って変わったアウェー感。2日連続の立ち通しで身体を襲う疲労感。15時を過ぎる頃には、いよいよ心が折れそうになっていました。

そんな時「災害時のトイレの使い方かぁ」と興味を示して足を止めた方がいました。説明すると、熱心にうなづきながら聞いてくれました。そのとき、私の気持ちに変化が起きました。

「直球でも、伝わる」

土曜のオフラインミーティングは、防災に熱い人の集まり。そこはエネルギーがあり、居心地がいい。しかし現実は違います。日曜のイオンでの反応、光景こそがリアルであり、日本全体の縮図です。それを目の当たりにして、ひるんだ自分がいました。「聞いて欲しい」「なんで興味をもってくれない」という自分都合の気持ちが無意識に強くなっていました。気づけば「どうしたら気が引けるか」と方法ばかり考えました。

「災害時のトイレの使い方をご案内しています」

聞いて欲しいという自分向きではなく、届けたいという相手向きの思い。それが目の前の人に自然に伝わる。終わってみれば324人、80組を超える方に携帯トイレとその使い方を説明していました。「えっ、そんなに多かった」と実感との違いに驚いています。

思いは、伝わっていました。

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◇今回の気づき
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すべての土台は心のあり方
直球あっての変化球

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この記事は、メールマガジン【前進の軌跡】(vol.006  2018年6月5日配信)のコンテンツ部の転載です。(タイトルの"C"は、"Content"の頭文字)
あきらかな誤字・脱字を除き、当時の文章をそのまま「軌跡」として残します。

この日の「編集後記」はこちら。


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