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ForbesJAPAN 30 under 30の受賞を辞退しようと思った話

本日発売、経済誌Forbes10月号で発表される、ForbesJAPAN 30 under 30 『世界を変える30歳未満』30人を受賞しました!それをきっかけに1年振りにnoteを書きます。

いつも着ないような服をスタイリストさんが用意してくださり、4年ぶりくらいに髪の毛もあげ、おしゃれに撮ってもらった写真によってシゴデキに見えると思います、笑(本当はそんなことない)

そんなカッコ良い感じに写っている今回の受賞とは反対に近い文章をまとめます。そもそもどんな人かわからない人も多いと思うので簡単な自己紹介をはじめにしておきます。

平井 登威(ひらい とおい)
2001年8月14日 静岡県浜松市生まれの23歳
精神疾患の親をもつ子ども・若者支援を行うNPO法人CoCoTELI 理事長
https://cocoteli.com/ 
関西大学4年生(2023年4月から休学中)
幼稚園の年長時に父親がうつ病になり心理的・身体的虐待や情緒面のケアを経験。
SNS→ https://x.com/toi_hirai 

自己紹介もしたところで本題へ。

今回、6月末に受賞のご連絡をいただいた際、受けるかをかなり迷いました。

・自分や組織の力が賞と見合っていないこと
・僕自身が持っているラベルとその暴力性

その2点を強く感じたためです。

僕自身、活動を始めたきっかけは自身の当事者経験からでした。(詳しくは以下の記事から)

そんな当事者経験から始まった活動を進め、当事者の子ども・若者と多く出会っていく中で課題を俯瞰して見ることができるようになり、活動を進める理由が、自分の経験ではなく、社会の現状と課題解決に取り組む必要性に変化しました。

しかし、CoCoTELIの活動を進めていく中で、僕自身がどれだけ自身の当事者性と活動を離したとしても、僕は社会側から『当事者の若者』というラベルで見られることが多いことを自覚しました。
それは、僕自身にそれ以外の力が足りない&『当事者』『若者』というのは社会的にウケが良いラベルであるためです。

そんなラベルは、僕にとって都合の良いものにもなり得るものであり、時に自分以外に対して暴力性を持ちます。

僕のような声が大きい当事者の若者が言ったことがあたかも全てかのようになり、声を上げたいと思っていなかったり、上げようとすら思える状況になかったり、上げれることを知らない当事者たちの声・存在が見えなくなってしまう。マクロの議論をしている際に、n=1である僕の声がデカくなってしまう。

これは、僕がどれだけ『自身の原体験は自分の人生の一部としては大事だが、活動においては全く関係ない』ことを伝え続けたとしても、ここから5年くらいは簡単に外れないものであるということを痛感しています。

でも、僕が解決したいのは社会の課題であって、自分の経験ではない。そんな自身のラベルの使い方に日々気を遣い、自身の経験を求められた際にはできるだけ日々の活動で出会う子ども・若者たちの話をし、同時に僕たちが出会えている子ども・若者の層にも偏りがあることも伝えています。

そんな話をしていますが、逆に僕自身がラベルを持っていることで守られている場面が多くあることも確かです。守られているからこそこのような話ができているとも思います。

そんなラベルを持っている僕は、そのラベルを自由に使うことができ、その使い方次第で良いも悪いもどんな使い方だってできます。そして、それは僕自身がその時々で見えている世界の広さや物事を捉える距離感によって左右されるものでもあり、もっと言えば僕の倫理観次第で凶器にもなる可能性が大きくあるものでもあります。

最初の話に戻りますが、受賞のご連絡をいただいた際、上記理由から今回の受賞は一定大きな暴力性を持ってしまう可能性があるのではないか?ということを考えました。

・子ども・若者、その周囲の大人にとって声を上げることが良いことのように見えてしまうこと。
・それによって声という形での表現が得意ではない人たちの存在が見えなくなってしまうこと。
・僕の存在が目に入った一部の人たちにとって僕の言うことがあたかも全てかのように見えてしまうこと。

そんな懸念を感じかなり悩みました。

悩んだ末に、『今回の受賞を、多くの方に精神疾患の親をもつ子ども・若者を取り巻く課題について知っていただく機会にしよう。』と決意し受けることを決めました。

答えは見えないし、ないとも思います。

僕が見えるところでは良いように働いていても、見えないところで苦しむ人が多いかもしれません。

そもそも全員にとって良い答えはないとも思います。

もしかしたら1週間後にめちゃめちゃ後悔をしているかもしれないし、出て良かったと思っているかもしれません。

でも、出たからにはもう出た先の未来しかない。
だからこそ、今回の露出が多くの人に、精神疾患の親をもつ子ども・若者、その親を取り巻く社会の問題を知ってもらうきっかけになるよう、色々仕掛けていけたらと思います。

最後に、今回の受賞は、僕の力ではなく、日々関わる精神疾患の親をもつ子ども・若者たち、ご寄付という形で僕たちの活動や想いに賛同し応援くださる寄付者の皆さま、大変なことが多いなか、日々活動を一緒に進めているスタッフ、それぞれを支えてくれる周囲の皆さまのおかげです。

支えてくださる周囲の皆さまへの感謝の気持ちを忘れず、課題・活動に真摯に向き合い、力がない自分なりの戦い方で1歩ずつ進んでいけたらと思います。

引き続き応援いただけたら嬉しいです。

長々と失礼しました。

皆さんへのお願い:もしよければご寄付という形で力を貸してください

子ども全体の15~23%程度いると言われている精神疾患の親をもつ子ども・若者は、他の子どもと比べて自身の罹患率が高く、メンタルヘルス以外にも心身の健康や社会生活においてさまざまな影響を受けるリスクが高いと言われています。

実際に日々出会う子ども・若者から、自身のメンタルヘルスの不調や様々な逆境体験について聴くことが多くあります。 しかし、日本において彼ら・彼女らとその親を対象とした制度的な支援体制、組織的な支援の整備はさまざまな社会的背景から育っていません。また、日本における調査研究もまだまだ少ない状況です。

そんな本領域を俯瞰してみると、利用者による支払いが難しい領域のため資本主義社会では選ばれづらい。税金などの公的リソースを使う行政も説明責任なども大きく執行までに時間がかかる。そんな狭間にあり『必要だけど見過ごされてきた』問題
その狭間で日々困難に直面する子ども・若者を置き去りにして良いとは思いません。

そんな企業や行政が取り組みづらく、狭間に落ちている領域に僕たちは『寄付』の力を信じて寄付型NPOとしてチャレンジしています。
精神疾患の親をもつ子ども・若者支援の土壌をつくることで、彼ら・彼女らのメンタルヘルスの向上に寄与するには、

①直接的な支援の整備と検証、効果的な支援の横(他団体)展開
②日本における現状を明らかにする調査等
③課題の社会課題化(顕在化)、運動体の形成
④課題構造上のセンターピンへのアプローチ、展開

が必要と考え、そこにチャレンジするために23年5月にNPO法人を設立してから1年。 課題解決に向けた1stステップとしてまずは、日本において現状ほとんどない彼ら・彼女らを対象とした、直接的な支援(住む地域に関係のないオンライン上での居場所づくりや相談支援)を行っています。

そんな精神疾患の親をもつ子ども・若者支援の土壌づくりのチャレンジにおいて個人1人1人や企業からのご寄付でのご参加が、僕たちの先にいる子ども・若者にとってとても大きな力となります

また、1日33円(≒1ヶ月1,000円)からの継続寄付としてご参加いただけるサポーターも募っています。

継続寄付は寄付型NPOとしてのチャレンジを進めていく中で安定した財源となり、支援計画や経営計画を立てやすくなることで、結果的に子ども・若者へ安定して支援を届けることができるようになります。

もしよければ、1日33円(≒1ヶ月1,000円)からの継続寄付として、精神疾患の親をもつ子ども・若者支援の土壌づくりのチャレンジにご参加いただけたら嬉しいです!

いただいたご寄付は、子ども・若者へ伴走支援を行うスタッフの人件費や団体として持続可能で適切な組織運営を進めていくための管理費等に使わせていただきます。

昨年の活動・会計報告は以下報告書にまとめていますのでぜひご覧ください。

23年度活動報告書

https://storage.googleapis.com/studio-design-asset-files/projects/EjOQZNAXqJ/s-1x1_0fbffd64-e432-44e7-934e-a2aa3effcbe6.pdf

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