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Vtuberは今こそ"キャラソン"を歌うべき #とうふレポート

Vtuberもいまや2020年1月時点で1万人を超えているらしい。
※株式会社ユーザーローカル調べにて、2020年1月時点で1万人を達成とのこと)

Vtuberの活動の一環、及びプロモーションのためにオリジナル楽曲を作成して投稿するという動きは、ここ最近のVtuberの活動の手段として1つの王道パターンになっています。

ホロライブの音楽レーベル「イノナカミュージック」所属のVsinger、AZKiさんの企画である「音楽を止めるな」においては、総勢約250組のVtuberによる約750曲以上の楽曲MVが集まるという盛り上がりを見せた。Vtuber楽曲というジャンルはあくまで主観的な判断でしかないけど、大きな盛り上がりを見せていると判断しても良いと思う。
というか純粋に最低でも楽曲総数750曲以上今あるんだ…という物量に対する驚きがある。

※「音楽を止めるな2」にて膨大なセットリストを取りまとめを行っていたあのんくんのnote記事を是非ご参照ください。企画側もそうですがそれらを受け取る皆の熱量の一端を感じられるかと思います。


急成長と共にいまやその幅広い作風の楽曲がリリースされていることにより、リスナーも同時に育ってきているVtuber楽曲市場。楽曲としてのどうこうはリスナーの耳や価値観に任せるとして。
僕個人としてVtuber楽曲はこうであって欲しいという姿は楽曲としての厚みを重視したものよりかは、そのVtuberらしさを前面に出したいわゆる「キャラソン」としての側面を前面に出している楽曲なんですね。
ファンの多数が抱いているVtuberのイメージに合致する曲調・歌詞・ジャンルとマッチしているといったほうが厳密な表現かもしれないけれども…。Vtuberというキャラクターが先行して存在していてかつ、その存在感は無視できないし、より楽曲としての深みを出すのってその個性なんじゃないかなと思うんですよね。

自分もVtuberというカルチャーに足を踏み入れてそろそろ1年、DJという立場としても1ファンのオタクとしても色々な曲を聞いてきて、その中でやっぱり自分がこの「キャラソン」重視のスタンスに落ち着くまでになった曲を、いつも通りのオタク語りを添えつつ今回は紹介していきたいと思ってます。

お品書きは下記。

①Ahoy!我ら宝鐘海賊団☆ 宝鐘マリン
②#あくあ色ぱれっと 湊あくあ
③ぺこらんだむぶれいん 兎田ぺこら

……取り上げる楽曲群のラインナップを見て「結局この記事は大箱賛美ではないか」と言われてしまいそうだけども。
今回取り扱うトピックの性質として「該当するVtuberに対する興味関心・注いできた時間による理解度を持って紹介する」という立場を取っています。理解が深まっていないものに浅い説明や薄い気持ちで触れるべきでないという考えがあるので、このような曲の選定になっちゃいました。大箱以外のVtuber楽曲もおおよそ活動して発生した文脈を大なり小なり汲んでいると思いますが、今記事では僕の理解度の都合上取り上げません。
というかそういう語りを僕は皆に書いてほしいというのが本音で。その配信者の活動と文脈を理解したうえでの感想とか怪文書であったりとか、形は様々ある中で大事なファンとしてのアウトプットだと思うし。それにそういうファンの声が何かを動かすってことを僕らは今まで何かしらで目の当たりにしてきたわけなんだから、そういうムーブメントを観測する側じゃなくて自分が発起させる側に、せっかく熱入れて応援してるならやってみたくないですか?と思います。100%僕個人の主観と価値観からの意見ですが…。

前置きはそれなりに、本題入っていきましょう。

①Ahoy!!我ら宝鐘海賊団☆

尻上がり構成楽曲、掴みバッチシ、サビは最強、読んだ歌詞はエモーショナル。超絶な勢いでシンデレラストーリーを駆け上がる自己実現の海賊コスプレ女、宝鐘マリン初の完全オリジナル楽曲。

この曲のリリース前に『#幻想郷ホロイズム』という東方projectの二次創作にてメインボーカルとして据えられておりましたが、こちらの楽曲はあくまで東方projectの二次創作楽曲として捉えているため、純粋なオリジナル楽曲としてはこちらの『Ahoy!!我ら宝鐘海賊団☆』を取り上げます。

「#幻想郷ホロイズム」についてはもう大体これに書いてあるので読んでください。ここまで解像度が高い文章投げられると他人の書いた文章でもとにかくまずはこれ読んで!って言ってしまう…。

宝鐘マリンさんの自己実現ストーリーの強度を担保しているのって、Vtuberとして活動する以前の境遇からの躍進における高低差だと思っていて。個性も強く、様々な要素が大きな魅力を引き出していると思うんですが、特に大きく感情を揺さぶってくるのは、この界隈を怒涛の勢いで駆けあがっていく爽快感だと思うんですよね。

ブラック社員時代の社畜トークの切り抜き。ここ最近はそんなに聞いてない気がするけど、一時期はブラックに勤めていた頃のエピソードトークも多く、身一つでこの世界に飛び込んできていることが伺える。

曲の話に戻ると。
歌詞もさることながら、ネタ満載のセリフパート、モリモリのキーワード…オタクは落ちサビにメッセージ性の強い歌詞が来ると自然と涙が出るようにプログラムされてるんだよな…。

夢を見よう この船で
後悔なんてさせない
キミたちのおかげで私は
船長になれるから

ただMVはshort.verなので聞いてほしいパートを聞いてもらえないのが残念…。Spotifyとか駆使すると聞けますのでなんとか1回は通しで聞いてほしい。パワフルな個性を電波ソングのノリで盛り込んで殴ってくるタイプの曲ですね。

また、これは多くの人が言及している言説だけど、配信ネタを楽曲に盛り込むことでオタクの感情を揺さぶるのは月ノ美兎さんの『Moon!!』や『それゆけ!学級委員長』でも使われている手法で、これらの楽曲も「キャラソン」色が強く出ている楽曲ですね。


③#あくあ色ぱれっと

湊あくあさんはめちゃくちゃ参照すべき資料が多いうえに2期生ということから単純な活動歴が長いこともあり(2018年8月8日デビュー)、2020年1月時点でハマった人類からするとカバーがしきれん…

2020年8月開催のソロライブに向けてのインタビュー記事。今までの活動の振り返りや配信におけるマインド、ライブに向けての意気込みについてがメイン。

オタクは推しの自己実現の追体験に一番弱いってところがありますが、そこのスタンダード・王道を行っているのが湊あくあというVtuberで、特に人間関係について前向きになってきた、という人見知り改善エピソードについては外せないところだと思います。

──VTuberとして活動してきた2年間で、自分が成長できていると感じたり、変わってきたなと感じたりしていることはありますか?
あくあ 一つは、自分自身の人間関係についてですね。昔から人と全然喋れないタイプで、友達って作るのが難しいなとずっと思っていたんです。でも今は、2年前の自分では考えられないほど、たくさんの優しい人たちが仲良くしてくれて。その優しさに触れて、自分も人間関係に関しては、ちょっとだけ前向きになれたのかなって。そこは、この2年間で、すごく変われたことかなと思います。
──では、初めてのソロライブを、どのようなステージとしてファンの皆さんに届けたいですか?
あくあ 2周年の集大成にしたいですね。「集大成」って言うと終わりみたいに聞こえるかもしれないですが、それよりも3年目に向けてという意味で。ここで「2年分の湊あくあ」をドンっと観せて、3年目もさらに頑張っていきたいです。そして、いつも支えてくれているたくさんの人たち、ホロライブのメンバーや運営さん、何よりもいつも観てくれているリスナーさんに、これまでの感謝の気持ちも伝えられるようなライブにできたらと思っています。

細かな配信内での言及については正直なところ追い切れていないので、湊あくあフリークの皆さん、オススメの切り抜きや配信アーカイブ教えてください…。

ホロライブメンバーのインサイトをピックし続ける大空スバルさんの雑談枠での一幕。ほぼ同時期にデビューした仲間として湊あくあさんの変化について言及しています。
※ライブ後の雑談枠切り抜き。自分のチャレンジを通して支えてくれる仲間の存在に気づき、感謝する一幕。

正直『#あくあ色ぱれっと』に関しては曲全部が文脈で殴ってくるみたいな曲なので抜粋云々よりこちらも歌詞を眺めながら聞いてほしい曲ですね…。この曲のフルテン火力が出たのは『湊あくあアニバーサリーライブ2020 あくあ色すーぱー☆どり~む♪』内での歌唱だと思うので、早く円盤なり映像作品として出してください…。
個人が背負った大きな文脈の決算であるイベントをアーカイブできるかどうかってファン側からするとメチャクチャ大きいと思うんですよね。これは史料とか編纂寄りのオタクの発想だと思うんですけど…。

と、ここまで言ってきた手前ですが直近だと僕はチャンネル登録者数100万人見届け歌枠で、100万人達成後に『#あくあ色ぱれっと』歌うのかと思ったら直後は初期投稿である歌ってみた楽曲『ダダダダ天使』を歌ってから、枠の〆として『#あくあ色ぱれっと』を歌うのあまりにも天晴すぎると思ったけどね。アオリも完璧。1期OPを特殊EDとして使用したあとにCパートで完全エモ新曲お披露目みたいなもんじゃんやってること…感情がバキバキ、さようなら。(早口絶命オタク)
みんな見て。

46:33~からThe Everlasting Guilty Crownを歌い始め、曲途中で100万人を達成。『その目は互いを認めるため その声は想いを伝えるため その手は大事な人と繋ぐためにある』ってよ…。


③ぺこらんだむぶれいん

作詞畑亜貴、作曲俊龍というバケモンコンビを雁首揃えてきたバケモン楽曲。めちゃくちゃありがたかったのは推しのオリ曲来たは良いけど自分の音楽の趣味に合わないってケースじゃなかったこと。「それでもまあ推しの曲だし…」というフクザツな心持で受け入れなきゃいけない現象が一番ツラいとこなんですけど『ぺこらんだむぶれいん』に関してはハナマルです…ありがとうございました…。

ちなみに今回の制作陣(作詞作曲MV)については兎田ぺこらさん本人直接のオーダーだったってのも面白エピソードでした。畑亜貴氏は普段聞いてるアニソンから、俊龍氏は小倉唯さんの一番好きな曲を手掛けていることからオファーをかけたようです。MVに関しても強いこだわりがあってのオーダーだったようで、『ぱにぽに』のようなイメージ(いわゆるシャフト演出と思われる)と配信で言っていました。

この曲、聞き込んでいくうちにめちゃくちゃ兎田ぺこらさんっぽい曲だな~と感じるようになりました。それこそこれは普段の配信を追っていてうっすら感じるような印象、感情を根拠とした楽曲への評価なのですけれども、この曲ってめちゃくちゃ普段の兎田ぺこらさんのVtuberとしての配信スタンスに基づいた楽曲な気がするんですよね。

退屈イヤだったら こっち来れば?
だいじな場所なんてさ 自分で作らなくちゃ
これぞ説教だ!
どうだっ どうだっ どうだっ
ありがためいわくか〜

兎田ぺこらさんはキチンと自分の売り方というかそういうキャラクター性をきちんと分かった上での配信をやってると思っていて。その意識やキャラクター性をオリジナル楽曲の歌詞の色として出してくれて、歌ってくれるのってファンとしては一番嬉しいことだな~って思うんですね。畑亜貴先生本当にありがとうございました…。

タイヘンな毎日を楽しく過ごして欲しいという気持ちを込めて書きました
⇒マジでそれなんだよな~~!!!!!!!

どこか気持ちのいい大雑把さが爽快で、でも自分のやりたいこととか居場所に対するハングリーさとかは感じられて…。どこか突き抜けたところがある大らかさとエネルギーが曲に表れてるのが本当に自分の捉えてる像とも一致してて…それこそ今記事をきちんと仕上げよう!と思ったきっかけになるくらい、自分の考える「キャラソン」として理想のオリジナル楽曲だなと思います。

というかもうそろそろ推して長いんだからどこが好きとか魅力だって言語化できてもおかしくないのにいまだに難しいの何なんだろうな…ある意味そういう自分の中で納得した理由が言語化しきれてないから追いかけ続けてるのかな…。

兎田ぺこらさんの100万人記念までの動きや当時の情勢が詳しく書かれている記事です。阿斗乃真釣氏のエントリはホロライブに限らずひろくVtuberというコンテンツを取り扱っており、ひとつひとつがとても質の高い記事になっておりますので、Vtuberというカルチャーに興味がある人は絶対チェックしておいたほうが良いです。


結びに

曲を聴いたり、衝撃を受けてる時って常に新鮮なんだけどこうやって振り返って解析しなおすと同じようなパターンと構成にやられてるんですよね、オタク。
ただ逆に言えばそれだけ聞き手の感情に訴えかけるその人特有のキャラソンってのが、一番ファンにとっては嬉しいものなんじゃないかなと思いますし、僕は好きなVtuberほどそういう曲歌ってほしいなと思います。

こうやって書いてて分かったことなんですが、自分が求める「キャラソン」っぽさって結局のところその曲を歌唱する人じゃなきゃいけない理由があるかないかを重視してるかってことなんじゃないかと思いました。だって今時は娯楽も楽曲も大量に湧き出る時代、その人だから良い!っていうトクベツがなければ、無駄だとは言わないものの、もったいないと思うんですよね。それに、そういう個性を押し出した作品が評価されることってファンとしては出過ぎた感情かもしれないけれど、認められたような気がして嬉しいんですよね。

また、この記事を書いてて思ったのは「汎用お気持ち刺激兵器」として急激に市民権を得て歌ってみたが大量に投稿されたり、カバーされている楽曲として『ファンサ』があったんだろうなと思いました。

TrySailのオタクなのでチェックはしていたんですが、Vtuberの文脈でこんなに聞くことになると思ってなかったという…。

今記事は楽曲の厚みを重視するユーザー層を完全に無視する形で書きました。取り上げた楽曲も大箱周りの曲だったし。自分の周りには楽曲の厚みを重視して聞いている人が多いので、昨今のVtuber楽曲のリリース傾向とかまとめてほしいな~と思ったり。当然のことながらもう個人でカバーできる範囲ってのはとっくの昔に越えてしまっているので各々がカバーしてる範囲をまとめて発信してほしいな~という気持ちです。皆推しの話をしてくれ!

以上!

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