20240408 下書き供養

※4月3日の下書きを(そんなに厳密じゃない)手直しして供養。

定期的に流れてくる「クラブは新しい音楽との出会いの場、知ってる曲で盛り上がりたいだけならカラオケでもオフ会でも良い」ってやつ、ある一面を重視するあまり他の側面の価値や視点を切り捨てすぎてるなと毎度のこと思う。

自分もそういう新たな楽曲や体験との出会いだったら良いなと思うときはもちろんある。でもそれってクラブという場所や出来事のあくまで一面を切り取った価値や魅力であって、みんな(入場している客やコミュニティ)が知ってる曲で一体感を持って盛り上がるというのもひとつの価値や魅力だと思う。

となると、そういうモノ申し(とあえて表現するが)はちょっと言葉足らずで、『盛り上がることを目的にしたパーティやクラブ体験じゃなくて、新たな出会いを目的としたパーティやクラブ体験が増えてほしい、それにただ盛り上がりたいだけなら~以下略』と続くのが順当なとこだろう。まず本筋とは別の指摘になるが、自分が不服に思っていることを口にするとき細かな背景は自分が承知していることから省略しがち。その無意識に省いたものをきちんと言語化することで自分の独りよがりになっていないか、実態と解離した主張になっていないかを確認することは失言が許されない昨今では面倒だが必要な手続きだと思う。

話を戻すと、自分も新しい音楽と出会いたいという思いはある。ただ、新しいものに触れるというのは体力的にも精神的にも負荷がかかるものであり、重い腰を上げて普段いかない場所に行ったり、いつも通りに逆らった行動や思考が必要になる。まず純粋にそのニーズは数多くの人が抱えていたとしても生活や趣味における優先順位のリストの中で高めに設定することは多くの人にとっては難しいという前提がひとつ。自分の周りでも盛り上がるのが好きだけど新しい好みのものをまったく求めていないという人は実際少ないと思うし。

それから、これは嗜好の問題だと思うが集まる人間の多くは盛り上がっているという状況が楽しいと感じること、自分がいいと思ったものを人とプラスの感情を伴って共有したい、という思いが強く、次第にその場とコミュニティで共通する楽曲を取り上げる方が何かとプラスに働くという傾向が強いんじゃないかなと。

たとえ新しい楽曲との出会いを提供できたとして、それに対するフィードバックというのは無いとまでは言わなくとも、目の前で即時的に盛り上がる情景が見えることに比べればあまりにも薄味だろう。もちろんそういったことにやりがいを感じる人間もいると思うが、少数派だと思う。

何なら日に日に自分に至っては「これの良さは自分が分かっていれば良い」と思うようになっており、自分の好きなものを広げたくない(私物化)思いであったり、その発信が好意的に受け入れられなかった時のがっかりを味わいたくないという思いであったり、そういう省エネな生き方になってきた。

「姫様"拷問"の時間です」原作63話では、『一番好きなものを否定されるということは心の背骨折られるのと同じ!』と描写されるシーンがある。

これもまた、ひとつクラブやDJとお客という関係にも当てはまるエッセンスがあるんじゃないか。自分が本当に好きなものというのはとてもプライベートな情報という意味で。(作中では他人に向けて一般的にオススメの映画と自分の趣味で好きな映画、どちらを選んで勧めるかという状況)

もちろん人間は様々存在するため、誰にどう思われようとも自分の好きなものを一方的に布教するという行動に快を得る人種もいると思うが(僕は正直そういう人種のことは好意的に思わない)、自分の周りにはそういう人は比較的少ない。

すべての人間が易きに流れると断言はできないものの、どこかで流行ってる流行ってない関係なく自分の発信したものを多くの人間に快く受け取ってもらいたいと感じる心は実在していてその傾向が転じた結果、わかりやすく、共有しやすいものを持て囃すいわゆるメインストリームが形成されるのではないか。そもそも大衆的なものに新しいとか、先進的といったものを求めること自体がナンセンスというか、そういうものを求めるのであればそういうコミュニティを探しに行くか、もしくはクラブやパーティという大枠の中でもある程度狭いコミュニティを狙う、そして最終的には自分がそういった理想のコミュニティを提起・立ち上げるしかないのだと思う。

・わかりやすく共有しやすいものを楽しむのもクラブとパーティにおいてはあくまで1つの側面である
・新たな出会いを求める場を本気で求めるならばもっと小さいコミュニティを訪ねるか自分でそういうポリシーの場所を作るのが文句を垂れるより早い

明確に見えないニーズ(そもそもニーズってそういう意味か→それは潜在ニーズでした)を拾い上げるのって難しいって話でした。以上。

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