記憶の底で忘れ去られているモノ

長いこと放置状態ですみません。昨年後半の多忙に甘えて、更新をさぼっておりました。こんなブログでも、読んでくださる方がいらっしゃり、お会いした際に、更新ないですねえ、と言われることも数回。いやはや申し訳ないです。

昨年後半はなんだか無駄に忙しくなってしまい、ひっそりやってた電話での鑑定も対応できなくなってやめてしまったり。細々とやってる電話占いでも定期的にご相談いただく方が複数人あり、その方たちには前触れできないままやめてしまうことになってしまって、本当に申し訳なかったなと思っています。

その一方で、リアルでの占いは地味に続けていて、相変わらずいろいろな不思議なことに遭遇しています。

昨年暮れのことです。

占いとは全く関係なく知り合い意気投合した方が、占いに来てくださいました。その方は、とても陽気で楽しく、仕事も遊びもバリバリという方で、そんな人の悩みっていったい何だろう、くらいに思っていました(やや失礼・・)。

その方のお話は、かいつまむとこんな感じでした。

一昨年の暮れくらいから、約一年、とにかく病気と怪我に見舞われ続けていた。自転車で転んで顔を怪我する、階段から落ちて足を怪我する、新型コロナにかかって症状はどうということなく元気なのに味覚障害が長く続いた。挙句の果てに、何もないところでも転んで、そこそこ大きな怪我をしてしまった。そのほか、仕事でもトラブルに巻き込まれそう。などなど。

お話を聞くだに、大変な一年を過ごされたようでした。

その方の相談は、こんなにツイてないのは、なにか悪いものでも憑いているのではないか、もしそうならどうにかして祓うことはできないか。というものでした。

私自身はその種のことは、はっきり言って不得手です。また、仮に何かに憑かれているということがあっても、私自身はお祓いするといったことができません。いろんな人に、できるはず、と言われるのですが、きちんと勉強したり修行したりといったことをしていない以上、素人として手を出すべきではないと思っているので、やっていません。代わりに、「上の人」にどうやったら去って行ってくれるか、その方法を教えてもらい、それをお伝えするといった方法で対処させていただいています。

方法は人によって異なり、水辺に行って流すとか、山に行って清廉な空気を吸うとか、なんかそんなことを言っているようです(あまり覚えてない・・)

で、この方の場合も、なんだかそんなようなことを言ったようなのですが、最後に

「あなたはお守りを持っているはずなので、それを身に着けるか、なるべく持ち歩くようにすると良い」

言ったようなのです。

「それは、アクセサリーで、既に持っていて、ネックレスというかペンダントのようなもの。少し大きく、ブローチやスカーフ留め的な印象もある。お守り的な役割を担う石か意匠があり、自分で買ったというよりもらったものだと思われる。」

というようなディテールまで付け足したのだとか(後で彼女に聞きました)。

ちなみに、私が覚えているのは、「たぶんネックレス。すでに持ってるはずだから買わなくていいはず」といったことくらい。頭のいい人は、細かいとこまでよく覚えてるなあと感心したわけですが、記憶力に長けた友人は「そんなものは持っていない」と強く主張されました。

実はその方、数年前に引っ越しされた際に、家の中のものをすべて見直し、人生最大級の断捨離を決行。その際に、洋服からアクセサリーまで、バカスカ捨ててしまったのだとか。なので、自分の持ち物はすべて把握しているが、私が言ったような条件に該当するようなものは持っていない。そもそも、石の入っているアクセサリー自体、ほとんど持っていないので、あればすぐにわかるはず、と。

あまり納得いかない印象だったので、お代はいいですよ、と言ったのですが、それはそれ、ときちんと占い代を頂戴してしまい、私からの好感度はさらに上がったのですが、持ってるはずなんだけどなあ、と私自身も納得できないまま、その日は終了したのです。

仕事のできる人、という印象の彼女は、その印象の通り、帰宅したのが深夜だったにも関わらず、帰宅後すぐにアクセサリーの捜索を始めたそうです。そして、すぐにメッセージを送ってこられました。

「ありましたああああああ」

帰ってすぐに、枕もとのアクセサリーボックスをひっくり返したところ、ヒスイのペンダントが転がり出てきたのだとか。円形のメダリオンのようなデザインで、何らかの意味がありそうな彫刻が施されており、直径4~5センチほどと大きかったため、彼女のファッションに合わず、そのまましまい込まれて忘れ去られていたのだとか。

「香港かどこかで、現地の友人に突然もらったんですよ。そういうことする人じゃないのに、たしか去り際に「これを上げるわ」と渡されたの。理由も説明も何もなかったんだけど、ああ、これはもらっとかないといけないんだな、って思ったのを思い出しました。そういう意味だったのね。彼女は分かってたのかしら。」

さすがに、普段着に着けるには自身のファッションに合わないので難しいが、とりあえず持ち歩きます、と彼女は言っていました。

翡翠にはいろいろな意味がありますが、護符としての役割も知られています。割と万能に近い印象のものですが、古くからお守りとして使われているように、やはり人を危険から守る作用が強いと考えられます。

https://www.gemstone-wiki.com/164-jade.html

彼女は、私が言っていた条件が、守りの石であること、サイズ、ペンダント(ネックレス)であること、既に持っているものだったこと、などなど、当たっている部分が多く、心底驚いたが、なにより一番驚いたのは、自分がこれを所持していることを本当に全くもって微塵も記憶していなかったことだ、と。

そこなんだ(笑)

彼女の曰く

「だって、あなたの占いや霊視が当たることは分かってたから。どちらがって疑うべきは自分の記憶だと思ったわけよ。」

と。

ありがたいような、恐れ多いような。

人間の記憶というのは、心底いい加減なもので、そんなものはない!と言い切ったものが、記憶の底の底に忘れ去られている、ということは実はよくあります。それが、モノにまつわるものである場合は、そのモノにまつわる記憶が、本人が忘れたいものであり、でも、忘れられない(忘れたくない)ものであり、それゆえに、そこにまとわりつかれ、本人の前進を阻んでいるということがあります。

今回のケースは、そうしたしがらみのない珍しいパターンですが、たいていの場合はモノにまつわる様々な由来があり、そこから自分の心の奥の扉を開き、様々な問題への解決策を探る旅が始まるというケースは多いものです。

それで思い出したのですが、別の友人で、やはり占いをした際、

「過去の人を捨てきれていない。その人にもらったものは、すべて捨ててしまったと思っているが、まだ捨て終わってないものがある」

という話をしたことがあります。

その友人も、自分はモノに執着が無く、まして関係を断った人にもらったものなどは、惜しみなく捨てきっているので、残していることはあり得ない。同じように、過去の人に気持ちを残して、今の自分に影響を与えているといったことは無い、と言い切って帰られたのですが、翌朝になって、

「トオルさ~~ん。あったよ~~~!!」

とメッセージが届きました。

朝起きて、何気なく髪をまとめようと枕もとにおいてあるバレッタを手に取って悲鳴を上げてしまったのだとか。そのバレッタは、ずいぶん昔に付き合っていた人からもらったものだったと。

「きれいさっぱり忘れてた。誰にもらったとか、もう何十年も使ってるんだよ、気にしてもいなかったよ。これ、捨てたほうがいい?」

と聞かれたのですが、おそらく問題はモノではなく「それを忘れていた自分」「それをもらった頃の自分が何を考え、感じ、何をしたいと考えていたか」なのだと思います。

ということで、そうお伝えしたところ、

「なるほど。自分のことは自分がしっかり把握していると思ってたけど、まだまだザルだということね。そのザルの部分に、悩みの本質がある気がする。もう一度考えてみるわ」

と。

人間の記憶って、本当にあてにならないという話でした。


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