思い出すと笑える占い体験

気が付くと、最後の記事から半年が経過していました。時間が経つのが早くて怖いです。なんだかバタバタ過ごしていますが、その間にもネタはたまる一方ということで。そろそろ小出しに書いていきたいと思います。まあ、また間空いちゃうかもですが・・・

さて

私はいわゆる「占いの館」に所属しているわけではない、野良占い師なので、お誘い受けていろんな場所で占いを披露します。といっても、世にもやる気のない占い師なので、神出鬼没というか、ほとんど出ていかないのですが、そんな私がたまたま友人の紹介で、とあるバーで占いをすることになりました。

そこは、フェティッシュバーという触れ込みのバーで、普通のお酒を飲むバーのしつらえなのですが、店員さんがボンデージ姿だったり、店の天井に人を縛って吊るす用のフックがあったりと、まあまあコアなしつらえ。特に何も考えずに引き受けたのですが、店に入ったときに強めのメイクにどえらいハイヒールを履いたボンデージファッションのお姉さんに出迎えられたときは、ちょっとだけ身構えました。といっても、そのボンデージのお姉さんもめちゃめちゃ親切でフレンドリーだし、スタッフさんもお店の常連さんも和気あいあいといった感じで、とてもやさしいお店だったのですけど。

別件のついでに引き受けた占い仕事だったのですが、お店自体が初訪問だし、こんなどこの誰ともわからない野良占い師に、わざわざ相談するような人なんているのかいな、と実はお店に行くまでは半信半疑だったわけです。相談者が誰もいなかったら、一杯飲んで帰ろ~、くらいに思っていたのですが、紹介してくれた友人が大げさに宣伝してくれていたこともあってか、蓋を開けてみれば待ち客がカウンターにずらりと並ぶは、見てもらった人が友人に紹介したら、そのお友達がてっぺんすぎてタクシーで駆けつけるはといった感じで、けっこうな盛り上がりになってしまいました。ありがたいことです。

さて本題はここからです。

そんな感じでわいわい占いをやり始めて数時間。時刻は12時前ころだったと思うのですが、若い男性数人のグループがお店に入ってきて、私が占いをやっているテーブルのそばに座りました。どうやらお店の常連さんのようで、だいぶ酔われているようでしたが、明るくにぎやかで、お酒を注文しながら楽しく談笑されていました。

私は占いに集中していたのですが、急にどっと盛り上がる感じがあって、店中が大笑いになり、あまりの騒音で占いを一瞬中断せざるを得なくなったタイミングがありました。何事か、と振り返ると、その男性グループのリーダー格のような男性がシャツを脱いで半裸になるところでした。そういえば、ここってフェティッシュバーだったねえ、とその時初めて思ったわけですが、まあ、酔っ払いのすることだし、関係ないし、楽しそうだし、いいよね、と占いに戻ったわけです。

その後、真夜中にすみません、と謝られながらやってきた飛び込みの相談者を鑑定して短い占い待ち行列は終了し、やれやれひと段落、とお酒をいただいていたところ、くだんの半裸の男性(すでにその時はパンイチでした)が、占いってやったことないんだけど、俺もいいかなあ、と典型的な「酔った勢いの余興」の風情で席に着かれました。

正直、私もちょっと面白がっていたことを告白します。さすがにパンイチは初でしたが、バーで深夜に占いをやっていると、酔った勢い、高めのテンションの勢いで余興的に占いに来るお客さんがまあまあいらっしゃるので、私もある程度慣れていて、さほど動揺もせず、いいですよ~と引き受けて、鑑定を開始しました。

最初は、これなんてカードなんすかあ、と、けらけら笑っていた彼でしたが、カードを開いて説明を始めると、途端に顔が真顔になり、改めて椅子に座り直し、姿勢を正されました。姿勢を正すと、パンツしか履いてないのが露骨に出てしまって、ちょっと可笑しかったのですが、彼もそれに気づいたらしく、急に「こんな格好ですみません」と謝られてしまいました。いやいや、何をいまさら(笑)

最終的にはパンイチの彼が、真剣な顔で身を乗り出し、自分の進むべき道についてのアドバイスを求めたりしていた(はず、、、なんせ憶えていない、、)のですが、どうやら同じグループのお友達連にはその様子が相当印象的だったようで、鑑定が終わると、そのお友達も、僕もいいですか、と相談にいらっしゃいました。入れ替わりで立ち上がったパンイチの彼が、すっかり酔いも醒めた様子で、ちょっと恥ずかしそうに「ありがとうございました。今日はこんな格好でほんとすみません」と頭を下げられたのがとても印象的でした。ええ人や。

あとでお店のスタッフさんに、あの状況で何一つ動じる様子もなく、淡々と占いされるのすごいですね、と褒められたのですが、占いやってる最中はそこに集中しているので、目の前に座っているのは一人の相談者に過ぎません。どんな格好していても、人間は悩みを抱えているし、誰かに相談したいのだなと思います。なので、どんな人が来ても、割と淡々と対応しています。都内で占いしていると、たまにびっくりするような有名人とか大きな会社の社長さんとかいらっしゃることがありますが、特別何かすることもなく、一人の相談者として対応しています。まあ、占い終わってから気が付いて、ああ、もっとしっかり顔見みとくんだった、と後悔したことも何回かありますけど(笑

とまあ、冷静な私ですが、今になって状況を思い出すと可笑しくて可笑しくて。

部下を率いてバリバリ仕事をしている感じのアクティブさを感じる男性が、罰ゲームみたいにパンツ一丁になり(ハイブランドっぽいボクサーでした)、ゲラゲラ笑おうと席について、おもわず素で相談し、悩みを打ち明けることになり、そんな恰好なのに、真顔で占いを聞いている。コントか?という感じの絵だったよなあと。

すっかり酔いも醒めた感じの彼は、服を着替えてお会計を済ませた帰り際、改めて近寄ってきて、今日は会えてよかったです、次の機会があれば酒飲む前に来ます、と丁寧にご挨拶してくださいました。真面目ないい人なんだなあと、改めて思ったのですが、どうにもこうにもパンツの印象が強すぎて、顔を全く覚えておらず、服を着て別れの挨拶に寄った彼を、次の相談者かと思って席に案内しそうになったのは内緒です。

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