塔(タワー)のカードを人間関係で見る

タロットカードの三大凶カードといえば、「悪魔」「死神」、そして今回のテーマである「塔」のカード。

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ちなみに、私はちょっと珍しいタイプのカード(ライダーウェイト版ではないタイプ)を使っているので、こんな感じの絵です。

3枚とも出るとギョッとするようなものですが、中でも、最悪で最凶と言われるのが、この「塔」。悪魔や死神には、解釈によってはポジティブに捉えることができる側面があるのに対し、塔のカードにはそうした側面がほとんどありません。また、多くのカードが逆位置では意味が反対になり、良いものが悪くなったり、悪いものが良くなったりしますが、塔の場合はどちらも悪く、逆位置では正位置の意味が少し弱まると言う程度で、悪いことに変わりないと言うのが、困ったところです。

塔の意味するところは「崩壊」。ここから、破滅、物事がひっくり返る、倒産、破産、恋愛・結婚の終了(しかもよくない形で)などなど、ロクでもない解釈がずらずらと示されます。

「塔」が意味する「崩壊」「破滅」は、それまで努力して積み上げてきたものが壊れてしまうことを示しています。それまでの努力が水の泡ということ。これは単に悪いことが起こるという予兆というより、現在の苦労を全否定されるので、キツい。過去に出ている場合は、それまで築いてきたキャリアを投げ捨てた、と言われて青ざめた人が大勢います。

もう一つは、崩壊というトラブルが、現在進行形で続いているということ。よくカードの絵を見ながら解説するのですが、積み上げてきたものが壊れ落ちて、そこらへんに瓦礫が散乱している状態なので、それらを撤去するまで、次の建物を建てられないという状態なのです。つまり、何かよくないことがあって、人生を一変させるような状態になったが、まだそこから立ち直っておらず、次の道に向かって歩き始めていない、ということを意味します。過去にこれが出ている場合は、もうただひたすら同情。御苦労なさいましたね、と一言かけただけで、涙腺崩壊した男女が数多くいらっしゃいます。

一般的な解釈だと、タワーの逆位置は、こうした作用が弱まり、全壊ではなく半壊くらい、と説明されます。ただ、悪いことを避けられるという解釈は稀で、ギリギリアウト、くらいにとどまる、多少の被害は出る、といった解釈がほとんど。ただ、この解釈って、わかりにくいなあ、と私は個人的に思っていました。

私もカードの解釈本は好きで、色々持っていますし、ネット上での解釈も随分見ているのですが、その中に出てきたものをつなぎ合わせているうちに、ある解釈にたどり着きました。

それは、「半壊」ではなく「それ以上建てられない」と見る解釈です。つまり10階建のビルを建てる予定が、4階くらいで設計ミスに気づき、これ以上建てたら崩壊してしまうぞ、どうしたもんかいなとなる、という状態。これが、人間関係を観る場合に、非常にわかりやすく、また的中率も良いのです。

仕事で見る場合、一緒に組んでいる人との関係性の崩壊が正位置なら、軽い付き合いならOKだが、重要な仕事は任せられない人だと気づく、といった具合。恋愛の場合は、軽い遊びのような関係なら良いが、結婚相手としては無理ということに気づくといった具合。つまり、より深い関係に進めなくなる、進んではいけないことがわかる、という解釈です。

タワーにはバベルの塔の寓話が示唆されていると言われています。

バベルの塔は、人間が協力しあって天へ届く塔を建てようとしたが、その驕りに怒った神によって壊されます。あまり知られていませんが、その時、神様は二度と人間が協力しあって大仕事を成し遂げないよう、言葉を分けてしまったと言われています。言葉が通じないので、協力して作業をできず、また意思の疎通ができないための誤解などから人間たちが争うようになり、二度とバベルの塔は建てられることはなかった、という話です。

これらの話を人間関係に当てはめると、塔の解釈は非常にわかりやすくなります。

正位置の場合、最初は協力し合い、和気藹々としていたのが、だんだんと相互理解ができなくなり、険悪な関係になって、人間関係が崩壊する。結局お互いのことが何もわかっていなかったと気づいて、喧嘩別れ、泥沼離婚的な話も表れます。

逆位置の場合は、上記のようなことが水面下で起こるように思います。崩壊まではいかないのだけれど、その関係に未来が無いことがわかってしまい、進めなくなってしまった状況と解釈できるのです。

なんでこんな話をいきなりしているのか、というと、ここしばらくで、この「塔の逆位置」を見る機会が増えたな、と感じるからなのです。特に、現在、目的、近い未来によく現れます。恋愛の場合は深層心理に出てくることも多いように思います。

私の勝手な想像ですが、コロナを発端とした昨今の世界の激変によって、それまで見えなかった人間の本質のようなものを垣間見る機会が増えてしまったのではないかと。危機的状況や困った時には、その人の本性が出てきやすいもの。それらを察知しているのに、そんなものを見たくない、という自分フィルターによって見えなくなっている状況。でも、本能的にそれを感じて、どこかでブレーキを踏んでいる状態。そんな時に、塔の逆位置は出てきやすいように思います。

そんな困った「塔」ですが、これが現在や近いかこに出てしまった場合の対処法は一つしかありません。とにかく、一刻も早く片付けてしまうこと。正位置でも逆位置でも、瓦礫撤去か、建物の立て直しは必須。放置していても、何も始まりません。崩壊直後は疲れ切っていて何もできないでしょうから、そこを無理する必要はありませんが、とにかく後片付けしないと先に進まないのは事実。放置していてはダメです。

そして、これが未来に出た場合。どうやってそれを避けるか、もしくは被害を最小限に抑えるか、ということになります。逆位置の場合は、そもそもの塔の高さの計画が大きすぎたのでは?と考えます。

でもまあ、出ないに越したことはないカードですよね。最終結果は時間があるので、避けやすいので、あまり気にしませんが、近い未来で出るとギョッとしてしまいます。そして、大体の人が、破滅に向かって進んでいたりするので、困ります。

繰り返しますが、以前はほとんど見なかったと記憶していますが、今年は結構な率で拝見するように思います。こんな世の中だからでしょうか。私は世相を見たりはしないのですが、とにかく一刻も早く、安全で平和な世界になりますようにと祈るばかりです。

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