タロットカードの意味を説明すること

最近よく言われることに、視えたり聞こえたりするなら、カード使う必要ないでしょう、というものがあります。まあ、確かに、カード開いても読んでないことも多いし、無くても行けることも多いのですが、やはりカードを開いて説明した方が、ちゃんと理解しやすい形でお伝えできたりするわけです。

タロットカードの絵は、それぞれに意味を持ったものですが、直接的なもの以外に、その絵を用いると説明しやすい概念的なものを表しています。このカードにはこんな絵が書いてあるけど、これはこういう事象を意味しているのですよ、みたいな感じで説明するわけです。

例えば、以前に説明した「塔」のカードでは、ビルが崩れているイメージですが(そういえば、最近、フロリダでそんな事故がありましたね・・)、これの意味は「頑張って立てたビルが崩れ落ちる」から「それまで努力して築き上げたものが崩れてしまう」ことを意味しています。過去の出来事としてこれが出てきた場合は、それまでのキャリアを全て捨てる感じで仕事を変わったとか、結婚がダメになって離婚した(それも多くは泥沼)とか、とにかく大きな変化を意味していたりします。

さて、そんなような説明をしながら、占いをするのがタロットなのですが(というか、私のやり方ですが)、先日、ちょっと面白いことがありました。

以前から交流はあったものの、プライベートについては全く存じあげないという方が、占いをして欲しいと言われ、初めて占いました。その方は、自分のことも見てほしいが、お兄様のことが気になっているので、そちらをまず見てほしい、と言われました。

こうした依頼は割と多いのですが、基本的に、ご本人を目の前にしないと占いの精度は下がります。どうしても目の前にいる人(占いの相談者)の目を通した人物像になるため、多少のバイアスがかかってしまうから、と私は思っているのですが、まあ、とにかく希望されたことだし、と占うことにしました。

いつものようにカードを開いたところ、現状を意味するところに、「塔」の逆位置が出てきました。

先ほどちょろっと説明した通り、「塔」の意味するところは、それまでの努力の崩壊、破滅など、かなり悪いものです。タロットカードは、正位置と逆位置で意味が反転し、良いカードが悪くなったりすることが多いのですが、塔の場合は例外で、正位置の「非常に悪い」に対して逆位置では「そこそこ悪い」くらいにしか薄まりません。

塔の逆位置は「崩壊寸前、半壊、これ以上無理というような状況」といった感じで、正位置の「塔」の意味に向かっている途中、あるいはなんとかギリギリ回避したが、被害甚大、くらいな意味が一般的な解釈です。稀に、崩壊状態からの回復傾向、という解釈もありますが、割と特殊な解釈かなと。私が最初に勉強した時は、「半壊、全崩壊は免れたが一部は壊れてる」くらいな説明だったのですが、長いこと占いをしていると、どうもそちらではなく「これ以上建てられない」という意味の方が多いように思えてきました。

例えば仕事だと、計画を建て、一緒に頑張っていきましょう、と何人かで仕事を始めてみたが、一緒に働くには問題の多い人物だった、能力・経験が不十分だった、そもそも計画が甘かった、などなど、様々な理由で仕事の計画遂行が不可能であることが見えてきた。そんな状況を「塔の逆位置」が示唆するのです。

一緒に10階建てのビルを建てましょう、と仲間を集めて、建て始めたら、地盤が悪いことが判明したとか、設計図に問題があったとか、そもそも仕事をしっかりできる人たちではなかったとか、もろもろ問題が勃発し、建築途中で頓挫してしまい、さてどうしたもんか、でもこのまま進めることはできないから、どっかのタイミングでエイヤと放り投げるか、もう一度壊してやり直すか、そんなことで悩んでいる。こんなストーリーをお話して、意味をわかっていただきます。

もちろん、この物語はイメージなのであって、その人ごと、お悩みごと、状況ごとで解釈し、当てはめる事で現状の把握や未来の予測ができるという仕組みです。

長い前置きでしたが、そんなわけで、かの知人のお兄さんの件について、こうした説明をしたわけです。そうしたら、くだんの知人がびっくりしすぎて絶句したまま青ざめてしまう、という状態になりました。

私は、まあ、こんな感じのたとえ話で、そこからイメージしていただければ今の現状の問題とかが見えると思いますよ、と補足したのですが、知人は私の補足説明を制して

「いや全くその通り。例え話とかそういう問題でなく、その通りなのです。」

と言われました。

知人のお兄様は不動産・建築関係のお仕事をされているそうです。いわゆるデベロッパーという仕事で、施工主としてビル建築の計画を建て、プロジェクトを指揮する立場とのこと。それが、最近の案件で、建設予定地を掘り起こしてみたら、地下から色々出てきた挙句、元々の予測より地盤が弱いことが判明し、地下の埋蔵物を掘り起こすために深く掘ってしまうと、近隣のビルに影響が出そうということが判明したのだそうです。もちろん、建設計画は途中で止まり、今まさに「これ以上進められない建物」という状態なのだとか。

こんなシャープに言われた占いは初めてです、と、知人はびっくりされていましたが、いや、当てたこっちもビックリですよ。こんなことってあるんだねえ、と。何十年もタロットやってますが、いまだにこんなことが起こるので、人生何が起こるかわかんないもんだと思った日でした。


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