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介護の質を上げるには口腔衛生のプロに~歯科衛生士の活用を~

 平成26年6月第186回通常国会・参議院本会議において「地域における医療と介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」の一つとして”歯科衛生士法”が可決・成立しています。歯科衛生士修業年数が3年以上になった結果、25年ぶりの歯科衛生士法改正であり、歯科衛生士の役割は保健、医療、介護、福祉における歯科保健医療サービスの充実に大きく寄与しております。世界に先駆け、超高齢社会に突入している日本では高齢人口の急速な増加の中で、歯科衛生士の口腔ケアの重要性は益々高くなってきています。現在、国は医療・介護サービス提供体制改革を推進している中、在宅医療を含め、医療・福祉の現場においては高い専門職性を前提とした医療・福祉スタッフ間の協働連携、いわゆる地域包括ケアシステムの構築を求めています。他職種が参加するカンファレンスにおいては、他の職種を尊重しながらの高度なファシリテーションスキルが欠かせません。

 私が学院長をしております宮城高等歯科衛生士学院では、2001年度に全国に先駆け、修業年限を三年制へ移行し、カリキュラムの大幅改正、組直しに伴い新たに摂食・嚥下リハビリテーションの教育を導入しました。目標として、摂食・嚥下障害を有する対象者及び高齢者への適切な歯科衛生ケアを行うため、摂食・嚥下指導及び専門的口腔ケアの基本的な知識・技術・態度を修得することとしています。その内容は専門的な講義と機能的口腔ケアに関する実習で構成され、定期的に施設を訪問し、嚥下障害を有する対象者へリハビリテーションを含んだ口腔ケアを実施しています。

 我が国は超高齢社会を迎え急増する摂食・嚥下障害クライアントの需要と供給の観点からinterdisciplinary(seeds‐oriented)からtransdisciplinary(needs-oriented)にならざるを得ないのが実情であり、歯科衛生士の摂食・嚥下障害に対する知識とスキルをどのように高めていくかが教育機関の課題であります。しかし、現場における彼等の能力が十分に発揮できる制度になっていない面があり、国による制度改革と環境整備が必要です。

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