東邦歯科診療所

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その稚拙さを憂う『週刊新潮』の記事を受けて

日歯連盟の役割 再認識をその稚拙さを憂う『週刊新潮』のl記事を受けて 日歯連盟の役割 再確認を  2024年5月2・9日合併号の『週刊新潮』にMONEY「日歯連『国民皆歯科健診』導入工作で自民党議員に1億円超献金」のタイトルで記事が掲載された。日本歯科医師連盟に関する内部情報は記事になるようなものではないが、「政治資金パーティ裏金事件」に絡めた巧妙な悪意ある内容になっている。 問題なのは、前回の15年に特捜部への情報提供による事件発端と同様、今回も

    • 生物学的な咬合 その5 咬合の育成に関して発生、生理解剖学

       人体の咬合育成においては適切な栄養、歯科ケア、発達段階での咬合誘導などが重要です。また、咬合の育成には、健全口腔筋の発達や機能の促進も必要で、これらの要素を考慮しながら正常な咬合の形成をサポートすることが重要です。 ●発生学的な咬合の形成は胎児期から始まり、胎児期には歯の形成や歯周組織の発達が始まるため咬合面の形成に重要な影響を与えます。正常な発達を促すためには胎児期から適切な栄養や環境が必要です。 ●生理解剖学的には咬合の育成には顎骨や歯の発達、顎関節の形成などが関与

      • 「日歯会長直接選挙は日歯会員にとって制度的な最低限の保障」=国民・会員に開かれた歯科医師会の構築に向けて=

         2015年4月30日の東京地検による強制捜査は日歯内部からの告発で行われたことを当局から連盟役員に告げられたそうです。私が知る限り、日歯連盟は2004年の不祥事以来、コンプライアンスに則った運営を行うべく、連盟弁護士およびアドバイザリーボードの指導を受けながら対処し、必要な機関決定の下で執行してきました。特に連盟の最高決定機関である日歯連盟評議員会は全国の都道府県会長および評議員によって構成されていますので、この10年間の懸案事項はすべて審議されてきたはずです。その結果とし

        • 生物学的な咬合 その4 咬合の要は顎関節

          A. 顎関節の複雑な構造と機能 顎関節は口の開閉や咀嚼などの機能を可能にする重要な関節であり以下の複雑な構造と機能を持ち口の動きや咬合機能に重要な役割を果たしています。よって、顎関節の健康状態を維持し関連する疾患や障害を適切に管理することが重要です。その複雑な構造と機能について考察します。 1. 解剖学的構造 顎関節は、下顎骨(顎骨)と頭蓋骨の頭頂窩との間に位置し複数の構成要素から成り立っています。主な構成要素には下顎骨の顎頭、頭蓋骨の窩突起と関節窩、間接軟骨、関節包、

        その稚拙さを憂う『週刊新潮』の記事を受けて

          生物学的な咬合 その3 咬合は歯科医師の唯一の業務独占

          A. 咬合の役割 咬合とは、下顎を閉じた時に上下の歯が接触する関係を指します。これは、歯科の健康と機能のさまざまな側面で重要な役割を果たしています。咬合に関するいくつかの重要なポイントを考えてみましょう。 1. 機能的側面 咬合は、咀嚼、話し、飲み込みなどの機能に欠かせません。適切な咬合は効率的な咀嚼機能を確保し消化プロセスを支援します。 2. 安定性 咬合は、歯列弓の安定性や口腔構造のバランス全体に貢献します。安定した咬合は歯の位置を維持し、移動や歯並びの問題な

          生物学的な咬合 その3 咬合は歯科医師の唯一の業務独占

          生物学的な咬合論 その2       医科・歯科での診断について

          A.医療で病態検査のための検査項目について  病態審査のための検査項目は、症状や疾患の特性によって異なるため、患者の状態や臨床的な問題に合わせて適切な検査を選択することが重要です。また.検査結果を総合的に評価し病態を包括的に理解することで、適切な診断と治療が提供されます。病態審査のための検査項目は、医学の進歩や技術の発展に伴い常に変化しています。新たな検査法や技術が導入されることで、より効率的で正確な診断が可能となります。そのため医療従事者は常に最新の情報を取得し、適切な検

          生物学的な咬合論 その2       医科・歯科での診断について

          歯周病が人体に及ぼす影響について その7  過度の消毒剤の使用はスーパーバグの発生原因にも

          A.歯周病菌に対する消毒剤の種類と薬効歯周病菌に対する消毒剤は、口腔内のバイオフィルムを制御し、歯周病の進行を防ぐのに役立ちます。しかし歯周病の管理において役立つものの、歯科医の指導に従い正しく使用することが重要です。また歯周病の進行具合や個人の健康状態に合わせて適切な消毒剤を選択することが必要です。 ●クロルヘキシジン(Chlorhexidine) クロルヘキシジンは広く使用されている口腔消毒剤で歯周病の管理に効果があります。クロルヘキシジンはバイオフィルム内の細菌の

          歯周病が人体に及ぼす影響について その7  過度の消毒剤の使用はスーパーバグの発生原因にも

          歯周病が人体に及ぼす影響について その6 Dysbiosisの原因は抗生剤と過度の消毒

          Ⅰ. DysbiosisとはDysbiosisは、通常の微生物叢と比較して異常な微生物の存在や分布が生じる状態を指します。この用語は微生物叢のバランスが崩れ健康を損なう可能性がある疾患や状態を記述するのに使用されます。微生物叢は、体内の様々な場所で発生し、それぞれが特定の役割を果たします。通常、これらの微生物は共生関係にあり互いに影響を与えバランスを維持します。しかし、外部要因や内部要因によって微生物叢が変化するとバランスが崩れ、Dysbiosisが発生します。Dysbios

          歯周病が人体に及ぼす影響について その6 Dysbiosisの原因は抗生剤と過度の消毒

          歯周病が人体に及ぼす影響について その5 過ぎたるは及ばざるサイトカイン

           1957年にウイルスに感染した細胞が特定の物質を放出し、周囲の細胞をウイルス感染から守るインターフェロンをアリザ・アイザックとジャン・リンデマンによって発見されました。1970年には免疫細胞の放出する他のシグナル分子であるインターロイキンが発見され1979年にユダ・ガリンによって初めて特定されたサイトカインがインターロイキン‐1(1L-1)です。1980年代に入るとインターロイキン2(1L-2)やトゥモア・ネクロシス・ファクター(TNF)などのサイトカインが続々と発見されサ

          歯周病が人体に及ぼす影響について その5 過ぎたるは及ばざるサイトカイン

          歯周病が人体の及ぼす影響について その4 キーストーン病原体とPg菌& Red complex

          Ⅰ.キーストーン(keystone)とは A.概要  キーストーン(keystone)は、建築学や比喩的な文脈で使用される用語で、構造物やシステムの中で中心的で重要な要素を指します。キーストーンは、その存在や機能によって全体の安定性や機能性が支えられる要素として位置づけられます。歯周病の文脈で「キーストーン病原体」という用語が使われています。これは、歯周病の進行において中心的な役割を果たし、他の病原体との相互作用によって病態の進行を促進する微生物を指す言葉です。具体的には、

          歯周病が人体の及ぼす影響について その4 キーストーン病原体とPg菌& Red complex

          歯周病が人体に及ぼす影響について その3 慢性歯周炎による全身への影響

          Ⅰ.歯周病の慢性炎症が全身への影響を生じるプロセス  歯周病の初期段階から慢性炎症が全身に影響を及ぼし、炎症性サイトカインの産生と循環が他の臓器や組織に影響を及ぼす可能性があります。これにより、心血管系の疾患、糖尿病、リウマチ、呼吸器疾患などの全身的な疾患のリスクが増加し、これらの疾患の発症や進行が促進される可能性があるとされています。  このように、歯周病の慢性炎症は全身への影響を持つ重要な要因となり得ます。したがって、歯周病の早期診断と適切な治療、口腔ケアの重要性が強調

          歯周病が人体に及ぼす影響について その3 慢性歯周炎による全身への影響

          歯周病が人体に及ぼす影響について その2 歯周ポケット内の微生物達

          Ⅰ.歯周ポケット内の微生物の種類と役割  歯周ポケット内の微生物叢は多様で、さまざまな種類のバクテリア・ウイルス・真菌などが存在します。これらの微生物はバイオフィルムを形成し、相互作用しながらポケット内で共存しています。これらの微生物の相互作用やポケット内での生態系は非常に複雑で、歯周病の進行に影響を与える要因として研究されています。さらに、バクテリアがバイオフィルムを形成し歯周ポケット内の環境を変化させ炎症を刺激する一方で、免疫応答や他の微生物との相互作用にも影響を及ぼし

          歯周病が人体に及ぼす影響について その2 歯周ポケット内の微生物達

          歯周病が人体に及ぼす影響について  その1 歯周病発生の原因と部位特異性

          Ⅰ.歯周炎の初期段階では、歯周組織にいくつかの変化が見られます。  これらの変化に気付くことが重要です。早期に歯科医師の診察を受け、適切なケアを行うことで進行を防ぎ、歯周炎の進行を遅らせることができます。また、適切な口腔衛生習慣の実施も重要です。炎症は1~7の順で進行します。 歯垢の蓄積と細菌の付着  歯垢は口腔内に細菌や食物の残渣から形成され、歯面に付着します。初期の歯周炎では、歯垢が歯と歯肉の境界に蓄積し、細菌の増殖が促進されます。それに伴って、口腔内には細菌が数多く

          歯周病が人体に及ぼす影響について  その1 歯周病発生の原因と部位特異性

          歯肉マッサージ効果について *************** 歯周病の方に必見‼

          歯科医師や歯科衛生士による歯ブラシの歯肉マッサージの指導を受ける場合があると思いますが、その効果を専門家の立場から考察します。 Ⅰ.はじめに全身のマッサージ効果について  マッサージは血行促進をサポートし、組織や臓器に必要な酸素や栄養素の供給を向上させ、同時に老廃物の排除を助けます。この効果は、多くの健康上の利点をもたらすことから、さまざまな状況で広く利用されています。 (1)筋肉の緊張緩和:筋肉の緊張を緩和し、筋肉をリラックスさせる助けになります。 特に頭や首、肩

          歯肉マッサージ効果について *************** 歯周病の方に必見‼

          AAE Discussion Open Forum

          Dear AAE, I am Naoto Yoshida, an Active Member certified by the Association of Active Experts (AAE) since 1983. I have previously made a post titled "Memory with the great professor Grossman" on AAE's official website. Currently, I am acti

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          バイオフィルムの不思議な世界・その6/バイオフィルムの制御は森林保護と同じ

          Ⅰ.バイオフィルムの制御を森林保護の木の間引きに例えることは、バイオフィルム制御の理解を助けるために有用なアナロジーになります。  バイオフィルムの制御において「木の間引き」に相当する概念は、微生物のバイオフィルム内での微生物の種の密度や量を調整し、宿主の健康を維持するための方法を指すことができます。また、バイオフィルム制御は微生物のバランスを調整し、宿主の健康をサポートするための戦略の一部として考えることもできます。微生物叢の密度や組成を適切に管理することは、生体内の生態

          バイオフィルムの不思議な世界・その6/バイオフィルムの制御は森林保護と同じ