こくみん政治塾の卒塾認定

※注意
本noteの記述は私個人の見解であり、こくみん政治塾および玉木雄一郎塾長、伊藤たかえ副塾長には一切の責任はありません。

はじめに

 こくみん政治塾の卒塾認定をいただきました。やったー。

PCの画面がきたねぇ

 6回にわたる講義、懇親会での議員・塾生の皆さまとの交流、大学を出てから久しく書いてこなかった論文へのチャレンジなど、非常に楽しく刺激的で、得られるものが多い塾でした。

 今回の記事では、自身のふりかえりと、願わくば第2回以降に参加を考えている方、論文を執筆しようとしている方の参考になればと思い、自分が提出した論文と、国民政治塾が目指していたところについて書いていこうと思います。

本記事の概要

 ざっくりと2パートに分けて書いていきたいと思います。前半は卒業論文の振り返りで、以下の手順で説明したいと思います。なお、卒業論文は概要だけの公開とさせてください。あとで少しだけ触れますが、本文はとても人前に出せるクオリティではないので。

  1. そもそもどういう課題だったか

  2. テーマ、概要

  3. 概要に沿って、書いたことや考えたこと

  4. 執筆の着想、手順、意識したこと

  5. 余談:執筆中に起こった事故

  6. 自身の反省

 後半は、この政治塾の目指していたところを、卒論の講評を手掛かりに一受講生の感想という形で話せればと思います。

卒業論文のふりかえり

課題について

 X(旧Twitter)で「卒塾認定のためには卒業論文が……」「論文難しかった」など、「論文」に関していろいろな言及がありますが、どういうものであるのかというのはあまり知られていないと思います。まずはその説明から。
 卒塾に当たって、我々塾生には以下の2つが課せられました。

  • 800字のレポート

  • 4000字の論文

 前者は全6回の講義からひとつ取り上げて、そこで得た学びや気づきを書く、いわば感想文のようなものです。
 「論文」と言われているものは後者で、次の条件が定められていました。

  • 政治塾で講義を行ったテーマのうち1つについて課題と解決方法を4000字以内で記すこと。

  • 十分な論拠となる出典を最後に一覧で示すこと。

  • 最初に400字以内の概要を付すこと。(アブストと言った方が分かりやすい人もいるかも)

論題とテーマ、概要

 私の論文は「新・ASGに関する検討 -電力需要増大に対処する海底送電」と題して、電力をテーマに執筆しました。(ちなみに提出時にタイトルは不要で、これは便宜的につけたものです。)概要は次の通り。

<概要>
 日本の電力需要は、今後ますます増大することが予想されている。その原因は、建設が予定されている半導体工場や、研究・推進が盛んになっているAI利活用である。その一方で、日本の電力は火力発電に依存しているが、その資源である化石燃料は他国からの輸入がほとんどを占める。ところが、輸入のための航路は、台湾の南洋を通過することから、近年上昇するチャイナリスクと無縁ではいられない。産業の発展を止めないためにも、日本は台湾有事下でも十分な電力や資源を確保する必要がある。
 この解決策として、電力の貿易を検討したい。電力貿易の利点として、船舶輸送の必要がないため、台湾有事の影響を受けることはない。一方で、最も大きな電力貿易相手国となるであろうロシアは、目下国際秩序に反抗し、信頼関係が築きづらくなっている。日ロ関係の改善を探っていくことが、安定した電力供給の鍵になるであろう。

 ただし、「電力」をテーマとしつつも、台湾有事などの話は第6回の「安全保障・国際情勢」回を下敷きにしています。そのため、私の認識としては、「電力」と「安全保障」のハイブリッドと思っています。

概要の解題

日本の電力需要は、今後ますます増大することが予想されている。その原因は、建設が予定されている半導体工場や、研究・推進が盛んになっているAI利活用である。

 この部分に関しては、自分の経験をもとにしています。職業柄、AIの消費電力については調べたことがあり、専門家や企業では研究の対象となっていることを知っていました。また、半導体の電力需要については講義中の質問で学んだものです。

その一方で、日本の電力は火力発電に依存しているが、その資源である化石燃料は他国からの輸入がほとんどを占める。

 これはよく言われていることですね。いまさら何か付け加えることはありません。

ところが、輸入のための航路は、台湾の南洋を通過することから、近年上昇するチャイナリスクと無縁ではいられない。産業の発展を止めないためにも、日本は台湾有事下でも十分な電力や資源を確保する必要がある。

 この部分は、第6回講義で学んだことをベースにしています。その上で、いったいどれくらいの量/割合がシーレーン封鎖の影響を受けそうかという点についてはできる限り定量的に記述しようと心掛けました。

この解決策として、電力の貿易を検討したい。電力貿易の利点として、船舶輸送の必要がないため、台湾有事の影響を受けることはない。

 概要文の中で唯一明確に失敗したと思っている一節。私の中では、海底送電網を敷設し、じかに送電できるシステムを用意すれば、資源を船舶輸送する必要がなくなり、ある程度安定して電力を確保できる(電力の冗長化ができる)のではないか、という趣旨で書いたのですが、太字で示した前提の部分を抜かしてしまったために、何故か唐突に船舶輸送に語りだしたように見えるという痛恨のミス。

一方で、最も大きな電力貿易相手国となるであろうロシアは、目下国際秩序に反抗し、信頼関係が築きづらくなっている。日ロ関係の改善を探っていくことが、安定した電力供給の鍵になるであろう。

 日本が送電網を繋げられそうな国を検討しました。①距離的な制約はあるか(加えて送電ケーブルの限界距離も)、②相手国の資源は安定的であるか③国内の情勢や世界の中での立ち位置は大丈夫そうか……。結果として、③がメチャクチャ不安だけどロシアくらいしかないだろう、そして電力貿易を実現するためには関係改善を模索しなければならないという結論を導きました。
 ちなみに、ロシア以外に韓国も検討しました。しかし、韓国は日本同様エネルギーの輸入が多いというデータがあります。今回想定したシナリオでは、台湾有事によりエネルギーの輸入がままならないという状況ですが、韓国も同じ状況に陥らないか?(≒②が不安)と思い、候補としてはあまり良いとは言えないと判断しました。

 そのほか細々とした検討は行いましたが、基本的な話の筋は上記の通りとなります。

着想や手順、意識したことなど

 概要解題で書いた通り、問題意識のベースとなるアイデアは自分がこれまで蓄えた知識でした。その上で、どう解決できるかについては思いつきレベルでもいいから自由に発想するよう意識しました。第一回講義で玉木塾長は「常識にとらわれない」「左右にとらわれない」ことの重要さを説いていましたが、それを実践した形と言えるでしょう。結果的には、現状一部の国家間・地域で実施されている取り組みではありましたが、独自に発案したつもりです。
 その上で、実例や実際の数値を調べつつ、実現可能性と、それに至るまでの障壁・問題点を洗い出していきました。下記は調べたものの一例です。

  • 日本の電力消費量の推移と電源構成

  • 韓国・ロシアの電源構成、資源輸入量

  • 半導体工場人工知能の消費電力

  • EUや北米での送電網について

大事故の発生

 ここから少し余談になります。ASG(アジアスーパーグリッド)、最近聞き覚えがないですか?察しの良い方はお気づきかもしれません。そう、自然エネルギー財団が熱心に推し進めている政策ですね。実際、私は自然エネルギー財団の資料を結構読みましたし、論文に引用もしました。執筆時は「自分と論旨が近い団体もあるじゃ~んwこれこれこういうデータが欲しかったんだよ!」という軽い気持ちでいましたが、いやぁ、参りましたね、アレ。

 もちろん、引用元が炎上しようが評価されるのは自分の論文。さらに提出後の発覚と言うことで、減点されることはないだろうとは頭で分かりつつも、ケチがついたなとちょっと落ち込んだのを覚えています。

自身の反省

 ひとことで言えば時間がなかったということに尽きます。取り掛かりが遅かった+期限間際に体調崩したというダブルパンチで、論文をあまり深くまで掘り下げられませんでした。結果的に2500字程度の提出となってしまったことが悔やまれるところです(何ならこのnoteの方が長文になった)。このあたり、夏休みの課題を最終日にやっていた頃から変わっていなくて嫌になりますね。

講評を読んで

卒業論文の講評

 卒塾認定と同時に、玉木塾長、伊藤副塾長からのコメントが寄せられていました。とくに話題になったのは伊藤副塾長の審査の観点で、曰く、

1. 問題意識が明確で、課題設定が適切であること。
2. 課題解決に必要な、ターゲットやゴール、評価指標等が確認出来ること。
3. 事実調査・文献資料などの探索が十分に出来ていること。
4. 分析の切り口が明確かつ説得的で、論理展開が一貫していること。
5. 内容に現実社会のリアルやオリジナリティがあること。

国民民主党HP 【第1期こくみん政治塾】卒塾認定について
https://new-kokumin.jp/news/information/20240426_2

とのことでしたが、私はこれを読んで、問題意識をしっかり持ち、どうしたらその問題が解決できるかを突き詰めろというメッセージを受け取りました。しかしそれ以上に、その前文にあった

頂いた論文は、論旨への同意・不同意を基準とはせず、以下の観点から評価させて頂きました。

同上

という言葉も重要なのではないかと考えています。

こくみん政治塾とは何だったのか?

 6回にわたる講義に通い、卒業論文を書いた今振り返って考えてみると、この政治塾では「対決より解決」の思考を広げたいという思いが一番にあるのではないかと感じています。すなわち、党派や思想の左右を超えて、日本の現状と課題を認識してその解決策を考えられる、ある種のリテラシー的なものを持った人間を育てるための場だったのではないでしょうか。伊藤副塾長の講評は、それを如実に表したものだと言えるでしょう。その結果として、国民民主党の仲間が増えれば万々歳(党として運営している以上、優秀な人材のリクルートや支持者の拡大が第一なのは当然です)、しかし他の道に進んでも、それはそれで良いというスタンスだと思っています。

おわりに(に代えての宣伝)

 上記の姿勢は賛否分かれるものだと思います。とくに熱心な支持層になればなるほど受け入れ難いものもあるのではないでしょうか。ただ、私みたいなゆるく、そこまで熱心でもない支持者からすると、非常にありがたいものでした。「他党はダメ!」「ウチの党の方がいい!」一辺倒の感じにならずに、憲法やエネルギー政策、国際情勢についてどういう問題があるのか、どういう対処がなされるべきかを各分野の専門家たちに伺えたというのは貴重な経験でした。いま直面している課題が何か知りたい方、是非申し込みましょう。

 また、落第がありうるという緊張感の中で書いた論文を、政策のプロである議員に見てもらえるというのもなかなかない機会です。そしてそれ以上に、「対決より解決」の姿勢を真に実践するためには、やはり論文にチャレンジするのは欠かせないと思います。書きましょう。その際に本noteが一助になったら望外の喜びです。

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