社長に理解して欲しい「思考の癖」
人は生まれ育った環境によって、得てきた知識や経験が異なるため、人それぞれ「思考の癖」があります。
組織を拡大していく上で、従業員の「思考の癖」を理解することが、社長にとって重要です。
今回は、社長に知って欲しい「思考の癖」についてお伝えします。
これまでの自分の成長で印象に残る成長は?
「これまでの自分の成長で印象に残る成長は?」
この質問、あなたなら、どのように答えますか?
人によって様々な回答がありますが、皆さんは、この質問に対する回答、どのようなものになったでしょうか。
2つの思考の癖について
この質問、あなたはどのように回答されましたでしょうか?
この質問に対する回答ですが、大きく分けて2つの種類に分類することができます。それは、・・・
1.自身が設定した目標に対して、試行錯誤の上、成長した経験
2.他者が設定した目標に対して、試行錯誤の上、成長した経験
この2つです。
「新規企画」「起業」等、自らが設定した目標に向かって行動した時に成長した経験を持つ方は、前者、
「試験」「資格」「お客様の要望」等、他社が設定した目標に向かって行動した時に成長した経験を持つ方は後者、
となります。
人は目標に向かって行動する際、「自分で設定した目標」「他者が設定した目標」、どちらの目標に向かって行動した時に成果を上げる経験を積むことが出来たか、思考の癖があります。
これは、前者、後者、どちらが優れているとか、劣っているとか、ではなく、あくまで、それぞれに思考の癖があり、異なっているというだけの話しです。
創業社長・創業初期メンバーの思考の癖
創業社長は、前者、「自分で設定した目標に対して成果を上げ、成長してきた経験」を持ちます。
自分で目標設定し動くことは得意ですが、他人に目標設定されて動くことは苦手ですし、性分に合いません。
ベンチャー企業の場合、社長を始め、創業初期メンバーについては、前者の思考の癖「自分で設定した目標に対して成果を上げ、成長してきた経験」を持つ方の割合が多くなります。
なぜなら、ベンチャー企業の創業期はリスクが高く、自らリスクを背負って行動する自走思考の強い方でないと、そもそもベンチャー企業に参画する選択肢を取らないからです。
変わりゆくメンバーの思考の癖
しかし、創業後、会社が成長するに従い、後者の思考の癖を持つメンバーの数が増えていきます。
会社が成長し、従業員が20~30名を超えるようになると、求職者にとっては、地域でそれなりの企業に見られます。
特にベンチャー企業の場合、
という目で求職者から見られることになります。
するとどうなるか。
創業当初は、
「この社長と働きたい」
「この素晴らしい商品、サービスを広めるために、この会社で働きたい」
「社長が掲げる理念や目標に賛同したから、この会社で働きたい」
というメンバーが大半を占めていた段階から、
「いくつか企業を見たが、この会社もよさそうだなぁ」
「転職したいけれど、このぐらいの成長段階の企業が面白そうだ」
「今の会社よりも、この会社の方がましかもしれない」
というように、数ある企業の中から、選択肢の一つとして、自社を選択するメンバーの数が増えてくるのです。
このようなメンバーは、後者の思考の癖、「他者が設定した目標に対して、試行錯誤の上、成長した経験」を持つメンバーとなります。
自分で何かを決めて、そこに向けて成果を出すよりも、他者が求めるものに対して成果を出してきた経験が多いメンバーが、企業の成長期に増えて来る傾向があります。
企業の成長期、社長は何を思うか?
このように考えに至る社長、多くいます。
「なぜ、新規に採用した従業員は指示待ち人間が多いのか・・・」
「なんで自分で考えて動かないのか・・・」
「自分で考えて動けることがベンチャー企業の醍醐味なのに・・・」
こんな考えに陥った社長は、時に誤った行動を取るケースがあります。
それは何かと言えば、
「自分の考えが、新規メンバーに伝わっていないからだ。だからコミュニケーション頻度を上げていこう!」
「新規メンバーが自走できないのは、目的意識が希薄だからだ。目的を理解できるまで、ワンオンワンミーティングをしよう」
「自走できるメンバーが減ってきたのは採用に問題があるからだ。自分が採用活動に積極的に参画しよう」
このような考えの下、本来社長が行うべき業務ではないことに時間を使ってしまうのです。
思考の癖が違う
人には、
自身が設定した目標に対して、試行錯誤の上、成長した経験
他者が設定した目標に対して、試行錯誤の上、成長した経験
2つの思考の癖があります。
これは、どちらが優れているとか劣っているということはないのです。
単純に、異なる思考の癖を持つ人がいるだけのことです。
勿論、単純に2つに分類出来るというよりも、どちらかの傾向が強い、という分け方の方が正しいでしょう。
社長の多くは、1.の思考の癖を持っています。
その場合、2.の思考の癖を持つ従業員のことを理解できないことがあります。
こんな風に従業員のことを見ている社長もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかしながら、この社長の考え方は間違っています。
2.の思考の癖を持つ方は、「他者が設定した目標に向かって行動する方が成果が上がる」のです。
目標設定と評価基準が必要になる
2.の思考の癖(他者が設定した目標に対して、試行錯誤の上、成長した経験)を持つ従業員が増えてくると、明確な目標設定と評価基準が必要となります。
「目標や評価基準は自分で決めるもので、他人が決めた目標や評価基準があると堅苦しくて、やる気がなくなる」
このように考える社長もいらっしゃると思いますが、一方で、従業員の多くは、目標や評価基準が明確な方が、働きやすい、かつ、頑張りやすい、と考えるものです。
これが思考の癖の違いになります。
これは個人的な見解ではありますが、前者と後者の割合、即ち、「1.自身が設定した目標に対して、試行錯誤の上、成長した経験」「2.他者が設定した目標に対して、試行錯誤の上、成長した経験」を持つ人の割合は、世の中において、2割対8割、もしくは1割対9割、ぐらいに、後者の割合の方が多くなっているように感じます。
思考の癖を理解して組織を作ることが大切
社長の多くは、自由に力を発揮したい、他人の下ではなく自主独立の気概を持って働きたい、このような思いで会社を起業されたことと思います。
しかしながら、世の中の大半の人は、「他者が設定した目標に向かった成果を上げてきた経験」を持つ方になります。
この思考の癖の違いを理解した上で、会社がある程度の規模になった際には、「目標設定と評価基準を明確にする」運営に切り替えていくことが、会社の業績を継続的に上げていく上で必要不可欠になるのです。
社長の皆さん、「人はそれぞれ皆違う」、この観点で、組織運営できていますか?
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