駅の人たち

人々の激流も
縦横に広がる 布地のようで
本よりも 空気を読むのが 得意なようで
誰もが誰もに ぶつからないよう
まるで事前に決められたかのよう

点が折り重なって、線となる
線は再び点となって、異方にて再び線。
無機質な原子のような 化学のような
試験官の内部のような
誰かの掌の上のような

人は行く。鋼鉄の入れ物に、
目的だけ携えて。
人は行く。安全な直方体に、
移動費用だけ詰め込んで。

世界に張り巡らされた網目は
日々細かくなりそれは

きっと、人を逃がすまい。

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