許されざるあの人へ(後編)
「――ありがとう、小傘。いい時間になりました」
小傘の過去の話を聞いていた村紗は、横にいる小傘にそうお礼を伝えた。それに対して小傘は「いいえー」と答えたが、直後に「あれ?」という表情になる。
「話を聞いてもらったのは私だから、お礼を言うのは私の方なんじゃ……? あれ?」
「あはは。まぁ話させた発端は私にありますし、細かいことは気にしなくていいんじゃないですか」
「うーん……そっか、それならそういうことにしよう!」
お互いに納得する地点に落ち着いたところで、この会話は一旦終わった。傍から見ればよく分からなくとも、当事者同士が納得していればそれでいいのである。
今日はよく晴れた暖かい春の日。桜はもう散っているので、段々と夏が近付いている。この心地よい空気を感じられる日々の終わりは、そう遠くはないのだろう。
村紗がそう思った横で、からんころんと音がした。小傘が履いていた下駄を脱ぎ捨てた音だった。ずっと座っているし、足を解放させたかったのだろうという予測は立つ。
――夏、下駄。
だがその音が、村紗の記憶を想起させる。今の今まで忘れていた記憶が、少しずつ、少しずつ。お祭り、そして……海。
「……村紗?」
多少雰囲気がかたくなった小傘のその声で、村紗は我に返った。慌てて小傘の方を見ると、赤と青の瞳が共に、心配そうに村紗のことを見つめていた。
「急に怖い顔になっちゃったけど、どうしたの? 大丈夫?」
「あ、あぁ! ごめんなさい、ちょっと考え事を……」
そこまで言って村紗の言葉が止まった。「考え事」は、表現として正しくない。普段ならそんなことなんて気にも留めないのに、何故だか些細なことで引っかかってしまった。小傘の真っ直ぐな目を真正面から受け止めてしまったからだろうか。
――いや、それもこれも、ただの言い訳だ。
『人が何かを相手に話す時、一番してほしいことは《ただただ話を聞いてもらうこと》なんだよ。だからこうして聞いてもらえると嬉しいのさ』
それを誰が言っていたのか思い出した村紗は、ぽつりと呟いた。
「……ずっと記憶の底に沈んでいましたが、ふと思い出したんです」
「思い出した?」
「ええ、小傘が今話してくれたような、私の昔のことをね。随分前のことで、最近では思い出すこともなかったのですが……」
知らず知らずのうちに、自らの足元を見て俯いていた村紗。そんな彼女を見て小傘は言った。
「その話は、私が聞いてもいい話?」
「えっ?」
「だってなんか村紗、悲しそうなんだもの。さっきまでは私の話を村紗が聞いてくれていたでしょ? だったら今度は私が聞く番だよー」
自分のことを「悲しそう」と評したその言葉と小傘の優しい微笑みに、村紗は戸惑いつつも笑った。
「ありがとうございます、小傘」
そう言い、ゆっくり息を吸って、吐く。
「……『美波』の話を、聖以外の誰かにするのは初めてです」
*
今でこそ私は「村紗水蜜」であり「妖怪」です。でも、妖怪になる前は念縛霊でしたし、そもそも私は「美波」という名の一人の人間でした。そういう意味では、私も「元人間」の一人なのかもしれません。
「美波」の名前の由来も両親のどちらが考えたのかも、今ではすっかり忘れてしまいましたが、その名前に導かれたかのように、私は物心ついた時から海が大好きでした。ですが、住んでいた場所から海までは大分距離があったので、いつも海に行く日を楽しみにしているような日々だった気がします。
そうして見に行った海はいつも、全く同じ表情をしていることはなくて、全く同じ声を発していることもなくて。時には優しく、時には元気で、ころころと様子が変わるんです。それをずっと見ていても飽きることはありませんでした。
本当に、今思うと呆れるほどに、美波は海が大好きでした。
ある夏の日、お祭りが開催されるというので、両親と共に行ったんです。一番好きなのは海でしたが、夏の風物詩でもある盆踊りも結構好きだったんですよ。これまた楽しみにして向かっていたのは覚えています。
雑踏の賑やかな声や、下駄が鳴る音、屋台のかけ声。色んな音が共鳴し合っているあの非日常の空間はやっぱり面白かったです。美味しいものを食べたり、花火を見たり、とても楽しんでいました。
そんな時に、私はある人を見かけました。
『船のおじちゃーん! こんばんは!』
私が定期的に海へ行くと、必ず船を出している一人の男性がいたんです。私は勝手に「船のおじちゃん」と呼んでいたのですが、私がそう呼びかけるといつもにこにこしながら応えてくれるものですから、いつの間にかその呼び方で定着していました。この時も、彼は笑いながら手を振ってくれました。
『これはこれは、海のお嬢ちゃんじゃあないか。今日はお祭りか?』
『うん! お父さんとお母さんと一緒に来たの』
『そうかぁ、ちゃんと挨拶しに来て偉いなぁ』
彼はそう笑いながら、少し屈んで私の頭をぽんと撫でてくれました。
『船のおじちゃん、海じゃないのに何でいるの?』
『おじちゃんだってたまには海じゃない所にもいるさ。今日はお嬢ちゃんと一緒で、お祭りを楽しみに来たんだよ』
「じゃあ一緒だね!」と笑って答えると、その直後に「あ、そうだ」と思い出したように彼が言ったのです。
『お嬢ちゃん。もし明日海に来るなら、おじちゃんの船に乗るかい? 明日は特にお客さんがいなくてねぇ』
『えっ! いいの!?』
思わず大きな声を出してしまうくらいには喜びました。というのも、私は海は好きでしたがずっと浜辺から見ているだけで、実際に船に乗ったことはありませんでした。彼が船を出しているのは知っていたし、海の上から見る海の姿がどんな感じなのかも気になっていたので、「いつか船に乗りたい」という思いはずっとあったのです。
『ねぇ、お母さん! お父さん! 私、明日船に乗りに行きたい!』
私は強引に両親を説得して、その翌日に船に乗りに行くことにしました。
『へぇ、ゆらゆらしてて面白いね!』
『だろう? それも船の魅力ってやつなんだよ』
『美波、よかったわね』
『うん!』
恐らく、この時の私の表情は今までにないくらい明るかったのでしょう。母が笑っていたような気がします。
浜辺で声をかけた時も彼とはしばしばお話ししていたのですが、船の上だと彼はよく喋りました。この船の情報から、今までに乗せたお客さんのこと。この船の上で起きた出来事まで。元々彼の明るい話し方が好きだったのですが、この時はそれをさらに堪能できて嬉しかったです。あまり彼と話をしたことがなかった両親も、一緒に話に聞き入っていました。
そして、彼は一通り話し終えると、急に「聞いてくれてありがとうよ」と言ってきました。
『どうしてお礼を言うの?』
『人が何かを相手に話す時、一番してほしいことは《ただただ話を聞いてもらうこと》なんだよ。だからこうして聞いてもらえると嬉しいのさ』
『そうなの?』
『そういうもんさ。いつか役立つかもしんないから、それだけは覚えておくといいぞ』
そう言って彼は得意気に笑いました。
そんな穏やかな時間が続いたまま一日が終われば良かったのですが、その後に事故が起こるのです。この辺りは私も記憶がないので、詳しいことは覚えていませんが……。
覚えているのは、船が岩にぶつかってしまったこと。四人とも海に投げ出されてしまったこと。あれだけ大好きな海が怖くて冷たかったこと。
そして、気付いたら両親もおじさんも亡くなっていて、私はその衝撃で海から離れられない幽霊になってしまっていたこと。
それがまず、私が人間から幽霊になった時のお話です。
その「気付いた時」に、まず私が見たのは荒れ狂う海の真ん中でした。最初は海に投げ出されて生きていたのかとも思いましたが、現実はそんな甘くなく。自分の体が薄く透けているのを自覚して、混乱しながらも私は死んでしまったのだと悟りました。まさか、あれだけ大好きだった海が理由で命を落とすなんて、と、途端に恐怖感が襲ってきました。その原因の場所にこうしているのもとても怖くなりました。
だから私は、できるなら元いた浜辺に、だけど陸地が見えればもうどこでも良かったんですが、必死に泳いでどこかに辿り着くことを願いました。幸いにも岸からそう遠くないところにいたようで、暫く泳いでいたら岸が見えたんです。
助かった。既に死んでいながらもそう思いました。
ですがその時、水中からぐっ、と足を引っ張られるような強い感覚がありました。予想だにしていないその力で私は水中に引きずり込まれたのですが、そこにはおぼろげに人の顔が見えるような何かが薄らと三つほどいたのです。何かされる、と思った私は逃げようとしました。しかし……。
《みな……み……》
そんな声が聞こえて、思わず振り返りました。でも、もうそこには何もありませんでした。
三つの物体、そして「みなみ」と呼んだ声。そこから「両親もおじさんも亡くなったのだ」と推測するのに、時間はそうかかりませんでした。
『そ、んな……』
あれだけ楽しみにしていた船で、海で、皆が亡くなってしまうなんて、と私はただ絶望していました。そもそも私が「船に乗りたい」と言い出さなければこんなことにはならなかった?と、ひたすら自責の念に苛まれました。私が皆を殺してしまった気さえしたくらいです。
そうして立ち止まってしまった私は、到頭この海から出られなくなってしまいました。
*
「そっか……村紗は海の事故で亡くなっちゃったんだね……」
「そうです。でも、それだけじゃ妖怪にはなりません。小傘は私の能力をご存知でしょう?」
「あっ、『水難事故を引き起こす程度の能力』……だよね」
「はい。……ここからです、私が妖怪となった経緯は」
*
死んでしまって幽霊になった挙句この海からも出られなくなってしまった私は、ひたすらに孤独でした。そもそも趣味が海だったので他にすることもなく、何もできませんでした。何もできないから、いつまでも自分を責め続けるだけです。……とても苦しい時間でした。
そんな時、どこからか音が聞こえてきたのです。その方向をよく見たら、それは船の音でした。懐かしい気持ちと怖い気持ちとが同時にやってきて、私はその場に固まってしまいました。
どうしようと思った時にふと、船の様子が見えたのです。そこにはかつての私と同じように、家族で乗船している人たちがいました。あぁ楽しそうだな、と思いました。
そう思った瞬間でした。
一瞬、ふっと視界が暗くなりました。それと同時に、まるで足元から湧き上がるかのように、憎悪にも似た感情が心の底から噴き出してきたのです。これも念縛霊の運命だったんでしょうか……とにかく、何かに乗っ取られたかのように、私はその感情に支配されていました。
私は大好きだった「海」も家族も失ったのに?
こうしてひたすら孤独に耐えているというのに?
わざわざ見せつけるように目の前に現れるなんて……。
――その船を沈めてやる。
そして私みたいになってしまえばいいのよ。
いっそのこと幽霊仲間にでもしてしまえばいいんだわ。
その一方的な恨みがいつの間にか手に柄杓を握らせていました。きっと強い念から生み出されたものだったのでしょう。そこからはもう、ひたすらに船を沈めてやるという一心で、少しずつその船に水を注いでいきました。
そして暫くして、その船は、幸せそうだった乗客たちは、私の望み通りに海の底へ沈んでいきました。
『……ははっ、あははははッ!!』
それを見ていた私は、笑っていました。達成感もありましたが、何よりそれが楽しいと思っていたのです。船を沈めることも、幸せそうな顔がどん底に堕ちてゆくその様も、見ていて快感に思いました。
『やることがないなら、こちらに来た船を沈めればいいんだわ……』
そうして私はこれを機に、取り憑かれたかのように船を沈め始めました。
最初は「不慮の事故」とか「海の神様が怒っている」とかそんな噂が立っていましたが、段々と事故の件数が増えていくにつれ「海の魔物が船を沈めている」という噂に変化していきました。まぁ、私は魔物ではなく幽霊だったんですが……。
そうやって恐れられているうちに、私は徐々に自分の身体が「実体」を取り戻していくのが分かりました。本当に文字通り、体が元に戻りつつあったのです。人に恐れられるにつれて力を持つ。それが「妖怪」だということを、私は後に知りました。そういう経緯で、私は妖怪になったのです。
また、その時に私は自分の名前を変えました。船に乗っていた人たちが丁度面白い話をしていたのです。「水蜜桃(すいみつとう)」という柔らかくてみずみずしい甘い桃があるのですが、その特徴から「堕落」や「破滅」という意味で使われる言葉でもあるそうです。船を沈めることに悦を感じていた私にはなんともぴったりな言葉でした。
その「水蜜」の読み方を変え、私は「みなみつ」と名乗ることにしました。
その瞬間から、海を純粋に楽しんで愛していた「美波」は海の底へ沈み、私は船を沈める魔物として恐れられる舟幽霊、「水蜜」になったのです。
……あ、恐らくその後は小傘もご存知でしょう。私を倒しに来た聖が最終的に聖輦船を与えてくれたことで私が海から解放されたり、封印された聖の復活を果たすために異変を起こしたり。そこは割愛しますね。
*
「……ということが、遠い昔にありました」
ふぅ、と息を吐きながら村紗は回想話をそう締め括った。横で聞いていた小傘も、きっと先程の私みたく言葉が出てこない状態になっているだろうな――。そう思い、村紗は横を向いて小傘を見た。
「ッ!? こ、小傘!?」
思わず村紗は驚いた。小傘が横で声もなくぼろぼろと泣いていたからだった。
「な、何で泣いてるんですか……!」
「だって……だって……」
しゃくり上げながら答えた小傘のその後の言葉に、村紗は一瞬だけ感情を失った。
「村紗、とても可哀想なんだもん……」
……可哀想、だって?
そして、村紗がその言葉をやっと頭で理解した時、フッと苦笑した。
「そうですか……小傘は私の過去を可哀想だと思ってくれるのですね。優しい」
「へっ……?」
「それは私とあなたがこうして親しくしているからですよ。小傘は私のことを良い方向に見てくれようとしているんです。私は……今の今まで忘れていたとはいえ、今では過去の行いを悔いています」
村紗は墓地に佇むお墓の方向を見ていたものの、その視線の先はどこも見ていなかった。
「人間も妖怪も平等な世界を望む聖としては、対人間に特化した私の能力はあまりにも危険なものでした。だからこそ聖は私を救い、考えを改めさせようとして私に修行をさせてきているのです。私も時間をかけてその意図と聖の理念を理解したので、今でも修行に励んでいますが……修行を積んだって、私のした行いは何がどうなっても、決して許されるものではないんです」
「……自分でもそう思っているんだね?」
「ええ。いくら感情に乗っ取られたから船を沈めたとはいえ、それも自分の弱さが招いたことです。今ならそれが分かります。ですが理解したところで、その浅はかな行動で多くの罪なき人の命を奪った事実は、どれほど時間が過ぎても変わることはありません。
……なのに私は、どうしてそれを今の今まで忘れていたのでしょう」
村紗は、自らの太腿に乗せていた両手をぎゅっと握り締めた。
「いや、自分でも分かってます。罪の意識に苛まれるのが辛いから忘れたかっただけなんです。償いきれないことを分かっていながら、報われたかっただけなのかもしれません。『こうして幻想郷で幸せな日々が続くなら、これでよかったのかもしれない』だなんて……そんな甘い考えがいつからか芽生えていたんでしょうね。私が……っ、私が一番、私を許してはならないはずなのにっ……」
手を握り締めても遅かった。思いを言葉にしていくうちに、村紗の目元にも涙が滲んでいた。知らず知らずのうちに俯き、落ちてくる涙の冷たさに気付くと「あれ、どうして……」と呟きながら、村紗は目を手の甲で擦った。その泣きたくないという気持ちが、涙が声に出ようとするのを必死に止めていた。
そんな村紗を見て、少し前に泣き止んだ小傘は。
――ぎゅっ
「……ずっと辛かったねぇ」
そっと横から村紗を抱きしめて、そう言った。
「こが、さ……?」
「泣きたい時は泣いていいんだよ? 我慢するのはよくない」
「で、でも……」
「村紗が過去の自分を許せなくても、今の自分の幸せくらいは認めてあげなよ」
小傘は一旦、腕を解いて村紗から少し離れた。
「忘れていたことだって、それが村紗にとって前に進むために必要なことだったんなら、決して悪いことじゃないよ。いつまでも過去に囚われていたって、自分を責めているだけじゃあ何も変わらないもん」
「それは……そうですね……」
「今こうして過去を思い出して向き合えて、『あの時は悪いことをしたな』って思えたんだから、それでいいじゃない! 大丈夫だよ」
その言葉に驚く村紗の顔を見て、小傘はニッと笑った。
「過去に何があったって、私は『今の村紗』が好きだし、出会えてよかったよ!」
満面の笑みでそんなことを言われるものだから、ただでさえ泣いていた村紗には耐えきれるはずがなかった。何か言葉を発する前に、ぼろぼろと涙がこぼれ落ちる方が先だった。
「――そうですよ、村紗」
その時、後ろの方からそんな穏やかな声が聞こえてきた。村紗と小傘が振り向くと、そこには微笑みを浮かべた白蓮の姿があった。
「ひ、聖……どうしてここへ……?」
「ナズーリンが帰ってきても村紗の姿がまだ見えなかったので、周囲を探してみようと思ったのですよ。あなたは小傘さんと話していたのですね」
「あ……すぐに戻らずすみませ――」
「謝ることはありません、話は途中から聞こえていました。あなたは自分の過去を振り返って悔やんでいたのですね」
白蓮はにこりと笑って続けた。
「そうやってあなたが自らを省みるのも修行の一つになります。それにあなたの過去を踏まえても、私も今の村紗が好きですよ。きちんと過去を乗り越えてここにいるあなたは素敵な人です。もっと胸を張って過ごしてください。ここではあなたを責める人は誰も、どこにもいないのですから」
「聖……私は、それでいいのですか……」
「ええ。過去はどうしたって変えられません。それならその分未来を変えていくしかないのです。これからも未来に、そしてかつて人間だった頃のあなたに、恥じないように生きなさい、村紗」
白蓮にそう言われ、村紗は暫く俯いていた。しかし、ぽつりと「小傘」と呟いた。
「なーに?」
「……ちょっとだけ、胸貸してもらえませんか?」
村紗が小さく言ったその言葉に、小傘はまたもニッと笑って両腕を広げた。
「いいよ!」
「……ありがとう、小傘」
お礼を言うとほぼ同時に、村紗は小傘の胸に飛び込んで泣き出した。
「今日は泣いちゃえ~。人里ベビーシッターの私があやしてあげる!」
「わっ、私は赤ちゃんじゃないですっ……」
「もー、こういう時くらいは素直に甘えてよねぇ」
笑いながら背中を優しく叩いてくれる小傘の優しさに、村紗の涙は加速する。
――過去の自分のことは、一生かけても許せそうにない。
――でも、かつて「美波」だった私も、私はいつか受け入れてあげたい。
しかし、村紗の表情に虹が架かるのは、ここからそう遠くない未来のことだった。
fin.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?