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機能しなくなったものは廃棄しないと前進できない

世の中には実に無駄なことをいつまでも続けている組織がたくさんあります。

それらがイノベーションを妨げています。

ドラッカーはこのように教えています。

イノベーションを魅力的なものにするための第一の段階は、すでに活力を失ったもの、陳腐化したもの、生産的でなくなったものの廃棄を制度化することである。

「イノベーションと企業家精神」ダイヤモンド社 175p~

ドラッカーはまた、別の本でも集中して新しいことに取り組むにあたって、最初にすべきことは、生産的でなくなった過去のものを捨てることだと教えています。

集中のための第一の原則は、生産的でなくなった過去のものを捨てることである。

「経営者の条件」ダイヤモンド社 142p

そのためには、自らの仕事と部下の仕事を定期的に見直す必要があります。
この作業は年に1回は必ずやった方がいいと、私は考えています。
そして見直す基準は次の問いに対する答えです。

「まだ行っていなかったとして、今から、これに手をつけるか」

答えが無条件のイエスでないかぎり、止めるか大幅に縮小すべきだというのです。

こんな私の身近な事例があります。

私は長いこと、ある非営利組織の活動に参加していますが、コロナになってからあらゆる活動が停止や縮小に追い込まれ、今年になってようやくメインの活動をフルに再開することができるようになりました。

ところが、メインの活動以外の活動の中には、コロナ禍の3年半の間、まったく活動していなかったにもかかわらず、誰も何も困らなかった活動がいくつかありましたが、なんとそれらが最近になってすべて再開になったのです。

コロナは無駄な活動を洗い出してくれたいいチャンスだったはずで、この活動をしなかった期間、何も不都合は起きなかったのだから止めましょうと、声を大にして発言したのですが、この非営利組織には70歳以上の年配の方が大勢いて、続けることに意義があるのだという主張が強く、押し切られてしまいました。

これが企業であれば、もう少し簡単に話がついたと思います。
なぜなら企業には「利益」という評価基準があるからです。

非営利組織には、ミッション以外に判断基準はありませんが、そのミッションもそれぞれの参加者の受け取り方に違いがあり、「やめよう」という判断にはなかなか至りません。

でも、今日ここでお伝えしたいことは、営利組織か非営利組織かの違いではなく、もう役目を終えたはずの過去の物事を廃棄しようとすると、総じて経験の長い人たちが反対しがちだということです。

このことには組織の形態の違いはあまり関係ないようです。

ある程度理解できないこともありません。
それらの活動は、その年配者たちが若いときから取り組んできた馴染みの活動で、かつてはその活動が大きな成果を生んだこともあり、彼らはその時の主役であったわけです。

それを廃止するということに、成果だとか生産性などという概念は受け入れられないのでしょう。
でも、どんな組織にも未来に対してやるべき新しい活動があり、最も大切な人材という資源を過去に投資し続けることはできません。

過去を廃棄し成果をあげるために集中することが大事です。

みなさんも廃棄にあたっては判断に苦しんだり、特に年配者が存続を強く主張したりすると、つい引きずられそうになるかもしれませんが、それでは成果を出すことはできません。

集中とは、「真に意味あることは何か」「最も重要なことは何か」という観点から時間と仕事について自ら意思決定をする勇気のことである

「経営者の条件」ダイヤモンド社 152p

ドラッカーは、あらゆる意思決定の最後の決め手は「勇気」だと言っています。

「まだ行っていなかったとして、今から、これに手をつけるか」

答えがイエスでないならば、勇気を持ってあなたの身の回りにある、機能していない過去を廃棄していきましょう。

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