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ゴルフ場で出会ったすごい人

昨日、東京昭島市にある「昭和の森ゴルフコース」に行ってきました。

このゴルフ場は1969年に米軍から払い下げられたゴルフ場を、昭和飛行機という会社が母体となり運営してきたパブリックコースで、現在はメンバーシップになっているようです。

東京の東端の江戸川区に住んでいる私にとって、新宿より西側はまさに未開の地同然というわけですが、JR昭島駅北口一帯に広がる「昭和の森」と言われるエリアには、ホテルやテニスコート、ショッピングセンターなどが点在していて、ゴルフ場も昭島駅から送迎バス5分という便利な場所にあります。

今回はある方が、この日予約を入れていて、一緒に回る予定だった方が濃厚接触者になってしまい中止になりかけたのですが、休みもとっているし予約ももったいないからやりませんかとお誘いを受け、結局3人でプレーすることになりました。

スリーサムの場合、ひとりでやって来たメンバーさんが入ってこられることはよくあることですが、この日もやはりカートには4つのバッグが積まれていました。

この方、ご挨拶すると一見してかなりのご高齢とお見受けしましたが、なんと93歳だということ。
頭もしゃべりもはっきりしっかりされていて、ただ、歩くスピードはゆっくりなので、カートのリモコンは自分に持たせてほしいと。

93歳と聞いて、私はとっさに
「ということは昭和3年のお生まれですか?」と聞くと、まさにその通り。

「死んだ親父が昭和3年生まれでした」と、93歳の方の前で「死んだ」という忌み言葉を使ってしまったことにすぐに気づいて、軽くお詫びをすると「はっはっはっ!」と笑っていただきホッとしました。

この方、Iさんは自宅がゴルフ場のそばで、バッグはゴルフ場に置きっぱなしで自転車で来ている、60歳を過ぎたころからほぼ毎日来ていて、最高に来た年には年間300回来た、最近は雨の日以外は必ず来ているということ。

印象に残った言葉はふたつ。
「知り合いは次々にいなくなってしまった。」
「私は人に頼りたくないからね。」

スタートホールの第一打、もちろんシニアティーから打ったのですが、私のナイスショットと変わらないところまで飛んでいて、ドライバーショットは180ヤード。93歳ですよ!

第一打目から、これはただモノではないぞと3人とも驚いてしまいました。

キャディーバッグについている会員エンブレムに「四天王」と刻まれていたので聞いてみると、
「春夏秋冬、年に4回のクラブ競技会優勝達成のことだよ。グランドスラムってやつ。といっても、もう20年も前のことだよ。はっはっはっ!」

えっ!年間4回クラブ協議会優勝達成⁉

さらにもっと驚いたことに
「65歳からエイジシュートは50回だ、毎回エイジシュートを目標にゴルフしているんだ。だって、93は叩かんだろう。はっはっはっ!」

スタートはパー、その後、ボギー、パー、ボギー、ボギーと続き、最終2ホールでトリプルを連発してしまい午前は終了。47。

カートがクラブハウスに戻ると係の人たちが
「Iさん、ハーフで終える?」
と聞くと、
「そうだな、午後から病院だから。はっはっはっ!」
といって帰っていかれました。

93歳。今月62歳になる私にとって、30年後の世界。

体力、気力、経済力。
これから30年、自分にこの三つが備わっているだろうか?
まず自分の足で歩くことができなくなったらゴルフはできない。
自分の足で歩くことができても、痴呆になったらどうする?
元気で長生きできても、お金が無かったら・・

人生の設計図をもう一度書き直さなければまずいと思わされた一日でした。

ちなみ、この昭和の森ゴルフ場は40万坪の敷地を海外のファンドに売却済みで、今年の年末までに閉鎖になり、その後は物流倉庫に生まれ変わってしまうそうです。

そうなったら、毎日通っているIさんはどうなってしまうのだろう。

たった2時間の交流でしたが、多くのことを学ばせていただいた2時間でした。


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