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プロにありがちな納得しかねる言動

時折、耳にする言葉で、どうも納得できない、ふと首をかしげてしまう言葉いくつかあります。

そのひとつがプロの仕事人の「〇〇してあげた(る)」というフレーズです。

「店舗のデザインを頼まれたので、クラシックな雰囲気で作ってあげたら喜んでくれて」というインテリアデザイナー。

「屋根が雨漏りするっていうから、直してあげたらピタッと雨漏りが止まったよ」という防水工事屋。

「今日は特別美味しい酒が入ったから出してあげるよ」という鮨屋のおやじ。

お客さんからお代を頂戴して仕事をしているのに、どちらが上なんだかわからないような言動。
これって、腕に自信があるプロの職人気質の方に、たまに見かけますよね。

私はこれがダメなんです。
このフレーズを聞いた瞬間に、何かが急に冷めていくのを感じてしまいます。

それからもう一つ。
「あそこはうちの客だ」という人。

私は建設業界にいたのですが、その当時、得意先の社長の何人かがよく言っていました。

自分の得意先の元請け会社に、新規参入しようとしてきた同業者が安い見積もりを出すことってよくあることじゃないですか。

元請け会社の担当者も、安いに越したことはないし、新規開拓している同業者も新たな開拓先に頑張った見積もりを出すことは、両社の利害が一致しているわけです。

でも、従前からその元請け会社から仕事をもらっていた会社の社長が、よく私たちにこう言って毒づいていました。

「まったくいきなり安い見積もりで突っ込んできやがって!
あそこはうちの客だぞ!

そういう時に、私は決まって心の中でこうつぶやいていました。
「それを決めるのは、あんたじゃなくて先方だよ。
大体あんただって、過去に同じことをやって得意先に入り込んだんだろう。それと同じことをされているだけじゃないか。」

そもそも、現在の顧客が永遠に自社に仕事を出し続けてくれると考えている方が、おかしいでしょう。
むしろ「あっちの方が安かったけどお宅に頼みたいから発注するよ」と言われるためにはどうしたらいいだろうかを、一度でもいいから真剣に考えてみてよ、といつも思っていました。

そういった人々も、商売を始めた最初の頃は、学ぶ姿勢もあったし何事にも謙虚に応対していたんじゃないかと思うのですが。

商売人というのは、腕に自信がつき経営が順調に回ってくると、いつの間にか傲慢になってしまうのかもしれませんね。


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