遠野物語32

千晩ヶ岳だけは山中に沼がある。この谷は物すごくなまぐさい臭いのするところで、この山に入って帰ってきた者は本当に少ない。昔何の隼人という猟師がいた。その子孫は今もいる。白い鹿を見てこれを追ってこの谷に千晩こもったので山の名とした。その白鹿は撃たれて遁げ、次の山まで行って片脚を折ってしまった。その山を今片羽山という。そしてそれから前にある山へきてついに死んでしまった。その地を死助という。死助権現として祀られているのはこの白鹿であるという。

○まさに古風土記を読んでいるようだ。

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