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ラミー2000、万年筆に関する二年前の覚え書き

メモを繰っていて、ラミー2000に関する二年前の覚え書きをふと見つけました。曰く、

 私はいわゆる仏壇色の万年筆も嫌いではありませんが、では好きかといえば、好きというほどでもない気がします。万年筆でいちばん重要なのは書き心地であって、見た目はよほど特徴的なものでないかぎりは気にならない、といったところです。
 ところが、このラミー2000を持つと、〈クリップはあんなに金ぴかである必要があるのかしら〉などと他のペンのいろいろなところに、それまで感じなかった引っ掛かりを覚えるようになります。
 対照的に、ラミー2000はデザイン面において気に障るところがどこにも見当たらないペンです。軸と尾栓との境目がわからない……クリップのステンレスもキラキラせず落ち着いている……マクロロンのテクスチャーがいい感じに渋い……などなど。(2021/02/17)

Lamy 2000 Fine nib / Sheaffer Blue-Black / Life Noble Note A5

それから、

 四の五の言ったって、万年筆のデザインなんてものはそんなものだよという諦めが心のどこかにあるんですね。諦めというのが適当でなければ、割り切りといった気持ちです。
 実際、そうした割り切りが悪いものだとも思わないのですが、ラミー2000を持ったときはそう割り切っていることに疑念が湧いてきます。〈おい、そんなに簡単に割り切ってしまっていいのかよ〉と問いかけられている気がします。
 すると話はペンの話ではすまなくなって、〈おい、人間そんなに簡単に諦めてしまっていいのかよ〉とか、〈人生そんなに割り切ってしまっていいのかい〉といった哲学的な問いにまで発展してしまいます。
 そうした広がりを含んでいるという意味でも、このラミー2000は好きなんですね。(2021/02/20)

Lamy 2000 Fine nib / Sheaffer Blue-Black / Life Noble Note A5

二年前とはいえ、自分が書いたものですから、やはり〈ふむふむ、そうだな〉と頷きました。同時に、どこか軽い違和感も覚えました。

これは上に引いた覚え書きにも記してありましたから、含みに差があるにしても、ごくわずかの差なのですが、私は仏壇色の万年筆は嫌いではないし、むしろ好きなのですね。

それから、文筆上の戦略とはいえ、ペンの外観にのみフォーカスし、書き心地に触れようとしない二年前の私にもどかしさも感じました。

さて、このラミー2000の書き心地に関することですが、ニブは小さく、しなりを生じるほどのサイズ的な余裕はありません。硬直的といえますが、紙に接地する際は、あたかもペン先の付近にごく薄いクッションでも挟みこまれているかのように、仄かなやわらかみも感じます。私的な印象です。

たぶん私は、そうした硬直的だけれども、紙に接地する際には仄かなやわらかみも感じられるニブが好きなのだと思います。個人的、主観的な好みですが、あまり軟らかすぎると、速く書こうとしたときについて来てくれない気がします。

ラミー2000は悪い意味ではなくて、〈パッと見、サインペンだよな〉と思っていたので、並べてみましたが、よく見るとそれほど似ていませんね。

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