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"純度100%の暗闇" は、思ったより、怖かった。

こんばんは、とはずです。

6/26 25:00。とうの昔に日没を迎え、電気を消して布団に潜るような時間です。

一度、辺りを見渡してみてください。電気が消え、真っ暗闇に包まれてるとはいえ、夜に目が順応し、微かな光でモノの形はおろか、色まで見えることもあるでしょう。

では、目が慣れることのない、どこまで目を凝らしても何も映らない暗闇で、人は一体何を感じ、何が見れるのでしょうか。

「ラストマン・イン・ザ・ダーク」を体験しました。


今回参加したのが「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」と日曜劇場『ラストマン -全盲の捜査官- 』のコラボイベント、「ラストマン・イン・ザ・ダーク」です。どちらを取っても聞き馴染みないかもしれないので、それぞれ補足していきましょう。

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」とは?

目以外のなにかでものを見たことが ありますか?
ダイアログ・イン・ザ・ダークは、視覚障害者の案内により、完全に光を遮断した”純度100%の暗闇”の中で、視覚以外の様々な感覚やコミュニケーションを楽しむソーシャル・エンターテイメントです。

https://did.dialogue.or.jp

『ラストマン -全盲の捜査官』とは?

主演・福山雅治×大泉洋 無敵のバディ誕生!
全盲の人たらしFBI捜査官と
犯人逮捕のためには手段を選ばない
孤高の刑事が
凸凹バディを組んで難事件に挑んでいく!
そして、その先には
誰も予想できない運命が待ち受けていたーー
ミステリアスなストーリーが交錯する
新時代の痛快バディドラマが
いま、開幕!

https://www.tbs.co.jp/lastman_2023_tbs/

先日の日曜日、最終回を終えたラストマン。最後まで、その「香り」や「触感」に頼ってなされる捜査が印象的でした。

「ラストマン・イン・ザ・ダーク」とは?

そのような「目の見えない皆実捜査官の世界を体験してよう」というコンセプトのイベントが、「ラストマン・イン・ザ・ダーク」です。

立て看板

体験 - 明

実際の体験についてご紹介します。少なからずネタバレを含みます。お気をつけ下さい。

まずはじめに、

白杖練習場

このような点字ブロックがある道で、視覚障害者の方に教えてもらいながら、白杖の使い方を練習します。まずは目を開けて、次は目を閉じたまま、スイカ割りのように周りの声に助けられて…。ここで、足の感触や白杖を通して伝わる凹凸の感覚、さらには周りの人の声への信頼を実感します。

「それでは、今からは私が皆さんの目になります。」

体験 - 闇

練習を終えて、いざ扉を開けて暗闇の世界へ入ります。その際に、次の言葉が投げかけられました。

それでは、今からは私が皆さんの目になります。

視覚障害者のアテンドの方の言葉

いざ入ってみると、そこは音しか聞こえない空間が広がっていました。一緒に体験していた5名及び、アテンドの視覚障害者の方と自分を合わせた7人で、暗闇に佇んでいます。しかし、その姿は全く見えません。距離も掴めず、ただただ恐怖を覚えました。

暗闇に入り、部屋の中央へ集まろうとするも、それすらもとても怖い。いつでもそのような状態である視覚障害者の方の、生活の怖さを身をもって感じます。

その後、小さなレクリエーションをしました。輪になって手を繋ぎ、自分のニックネームを言います。その後、左手を2回握ると、次の人へバトンタッチ、というような感触の伝言ゲームのようなものです。
この体験で、言葉を呼び合う一体感と、感触を頼りにする意識が生まれます。

レクリエーションが終わると、前方の扉を探します。そこには、表札があり、部屋番号が書いてあるそうです。ここが、皆実捜査官が住んでいたホテルの入り口でした。

その後は、皆実捜査官の部屋を探索し、触って物を確かめたり音で確かめたり、探検を続けていくという流れで進行しました。

色々な語感を使った活動を終え、また明るい世界に戻ります。そこで、アテンドの方から、こう投げかけられました。

「これからは、皆さんが私たちの目になってくださいね。」

ハッとしました。このような体験をしなければ、道の途中で白状をついているひとを見ても、大変だと思うに留まっていたかもしれません。

相手の状況や求めてる支援には、その環境を味わったからこそ見えてくるものがあると感じました。

ラストマンにおいて、皆実のセリフにも、このような言葉があります。

私はこれまでも、人の手を借りて生きてきたんです。

ラストマン、皆実のセリフより。

誰かの助けがなければ何もできないことを自覚し、「ありがとうございます」と誰に対しても感謝をする皆実のキャラクターからも、同様の支援を求める姿勢を感じます。私たち、障碍を持たない者としての行動指針を再度考えるきっかけとなるドラマ『ラストマン』、またそれを促進させる体験「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」だと思いました。

この感想は、体験とドラマの相乗効果による日常生活への還元についてでした。では、体験とドラマではどうでしょうか。

体験とドラマの相互関係

「ドラマから体験」に関しては、皆実の感覚を体感できることの面白さという面で、とてもエンタメであると感じました。
暗闇での体験の途中では、実際に皆実が聞いている4倍速の音声が流され、聞き分けられるかのクイズも行われました。

これが相当難しい。

しかし、私が「足元を」が聞こえた!と発言すると、アテンドの方は、「本当ですか?!○○さんすごい〜」と応えてくれました。
この時、私は満更でもない気持ちだったのですが、それよりも私の声で名前をすぐに判別しているという事実に驚きました。

実はこのクイズは、初めの自己紹介のすぐ次の時間で行われたものでした。名乗った名前を覚えつつ、さらに声色で人を「見分けている」のだと。

正直私は名前を覚えるのが苦手で、会った人の名前もすぐに忘れ、顔と一致するのはもってのほかということが多いです。それに対して、名前と声を即座に一致させる、という視覚障害者の方の日常的な行為に感銘を受けました。

一方、「体験からドラマ」に関しては、皆実の動きにより敏感にみられるようになりました。「ここでは、何を確かめているんだろうか」の行動面や「ここで早く歩いてるの怖いだろうな」などの心情面も含めてです。
体験を通して、感情移入の幅が広まったと感じました。

おわりに

「ラストマン・イン・ザ・ダーク」は、6/30(金)まで。ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」アトレ竹芝シアター棟 1Fにて開催中です。
今のうちに、皆実の世界へ駆け込んでみてはいかがでしょうか。新しい気づきが、きっと見つかるはずです。

脚本のセロハンが吊るされている入り口

HP:https://lastman.dialogue.or.jp

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