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恐い夢を見た

僕はとあるスナックで飲んでいた。
店には客は僕一人。
顔見知りの初老のマスターが一人でやっている店で、マスターはさっきからまだ娘が帰って来ない、と僕に話している。
もうとっくに帰って来ているはずの時間なのに帰って来ない。
娘は最近、二人組のヘンな男たちに絡まれていて、何かあったのではないかと心配している。
大丈夫ですよ、きっともうすぐ帰って来ますよ、と僕はマスターに言う。
そうですよね、何らかの理由できっと連絡できないでいるだけですよね。
そんな会話を交わしながら僕は一人で酒を飲んでいる。
 
しばらく経ち、スナックに客が入って来る。仕事帰りのサラリーマン風の男性が二人。
酒を注文して飲み始めた二人と僕はなんとなく会話を交わし始める。
マスターは依然として帰って来ない娘のことを心配している。
そのうち男の一人が僕にこっそりと言う。
「可哀想ですね」
「え?」
「マスター」
「娘さん、何かあったんですか?」
「マスターはまだ気がついていないんですよ」
「え?まさか、娘さん、もう帰って来ないとか?ヘンな二人組に殺されちゃったとか?」
「マスターは娘さんだけではなく、自分ももう死んでいるんだってことに気がついていないんですよ」
 
僕は驚く。
目の前で働いているマスターはもう死んでいる。ということは、娘さんもきっと殺されている。おそらくヘンな二人組の男たちにやられたんだ。
じゃあ、こうして酒を飲んでいる僕は?
なぜ僕には死んでいるマスターが見えていて、一緒に会話ができるんだろう?
もしかすると僕もやっぱりもう死んでいる?
そして、今、隣りで飲んでいる二人の男たちは誰?、え?…二人組の男。
 
というところで夢から目が覚めた。

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