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張碧勇の憂鬱(第10話)

翔くんはマッサージ師になりたいと言って、鍼灸の専門学校に通い始めた。
僕にはまだなりたいものがなかった。僕はいつの間にか二十五歳になっていた。秋が来たら司法修習を始めようかなどとぼんやりと考えていた。
ヒロシは夜間のビル清掃の仕事を始めた。人のいないしんとした夜のビルで黙々と機械を操作し、床を磨きあげていく仕事は自分に向いているとヒロシは言った。

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